猫の話をしようか

なかなか聞けない猫の話。こっそりおしえる猫の話。

新しい涙と、心に掛かる虹の橋 ~銀の鈴/虹の橋の猫(第6話)~

f:id:masami_takasu:20171124192309p:plainイラスト&文:水玉猫

不意に、心の中で何かが煌めいたような気がして、その人は歌うのをやめました。
それまで口ずさんでいたのは、今はもういない、雉白もようの猫が好きだった歌でした。

たった今――

生きていた時と同じように、猫が上機嫌で歌に合わせて鳴いているように感じたのです。窓の外で――

――気のせい?

その人は窓に背を向け、首を横に降りました。

――気のせいに決まっている

どうせ、またいつもの空耳で、窓の外を見たって猫はいなくて、また、つらくなるだけだと、その人は思いました。

なくしたものはものは、二度と戻らない。
なくしたものとは、もう、二度と出会えない。

その人は幾度となく自分に言い聞かせたことを、また繰り返しました。
でも、それでも、やっぱり、窓を開けて確かめずには入られませんでした。

その人が、窓を開けると、空には美しい虹が架かっていました。
そして、確かに、耳の奥で、猫が歌っているのです。 

その人は、猫がたった今、長い長い船旅を終え、無事に虹の橋に着いたことを悟りました。
そして、自分の心と、遠く旅立って行った猫の心に、今、虹の架け橋が架かったことも――

涙の雨で、心と心に架かったこの虹を渡れば、きっと、いつかは愛する猫に会いに行くこともできるのだ。
その人は、そう信じました。

胸の中で固まった重い悲しみは消えはしませんでしたが、涙の雨で磨かれて、気がつけばそれは、虹色にきらめく水晶となっていました。

そして、その水晶の中には、いつだって愛してやまない猫の姿が映っていました。

その人の目から、また新しい涙が止めようもなくあふれ出しました。

――銀の鈴/虹の橋の猫(第6話)・つづく――

作:水玉猫

――次話です――

――前話です――

 

ブログランキングに参加しています。投票にご協力ください。

f:id:masami_takasu:20171012001610g:plain

ブログランキング・にほんブログ村へ