ここは『ハナちゃんの動物病院』(猫版)です。
今日は子宮蓄膿症のお話です。
犬と違って、猫の場合はなかなか気が付かない事もあるんですよ。ホルモン剤(発情抑制)のメリット、デメリットを交えて説明します。
(注:手術の写真が含まれます)
今回の猫ちゃんは、飼い主さんが避妊手術を希望されて来院されました。
しかし、お話をお聞きするとその猫ちゃん、数年前に他院で首の部分にホルモン剤を埋め込んでいます。
これは避妊手術をやらず、発情・妊娠を避けるという方法です。
普通はこれで、2~3年は妊娠が避けられるはずです。
これがホルモン剤
皮下にある白い棒状の物体わかるかな~
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飼い主さんによれば、今回その猫ちゃんは、妊娠してしまったかもしれないとのこと。
おなかが大きくなったからということでの来院でした。
ホルモン剤の効果が切れて妊娠しちゃったのかどうか?
お腹はパンパンに大きくて、もしも妊娠ならば、すぐにでも産まれそうな様子――
しかし、陰部のあたりが汚れていて分泌物があります。
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お腹を触診すると、子宮の中には赤ちゃんらしきものはなく、柔らかく液体が溜まっている様子です。
結局、子宮の中に膿が溜まる子宮蓄膿症でした。
この病気には良く出会いますが、なぜか猫ちゃんたちは、この病気でも元気も食欲もあって、飼い主さんも気が付いていないことが多いんです。
ワンちゃんなら、食欲も元気も落ちて吐き気もでちゃうのにね。
今回は、陰部から膿がでていたので、飼い主さんもおかしいと思ったのかもしれません。
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さらに、猫ちゃんの血液検査をしてびっくり!!
すごい高い値がでました。
猫ちゃんの正常値は、6000~13000/mlくらいです。
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※以下、手術の写真が載っています。苦手な方は、閲覧にご注意を。
手術で、膿の溜まった子宮と卵巣を摘出しました。
子宮は膿が溜まり、パンパンに膨れています。
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子宮がきちんと摘出できれば大丈夫。
こんなにお腹もぺったんこになりました。
体調が回復するまでしばらく入院治療になりそうです。
注射のタイプと、体に埋め込むタイプがあります。
両者とも、黄体ホルモンの作用で偽妊娠状態にし、発情を抑制します。
副作用として子宮内膜炎、子宮蓄膿症、乳腺腫瘍になる確率が高くなります。
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子宮蓄膿症の診察記はこちらにもあります。
ハナちゃんママからアドバイス
私は、避妊手術の代替えとしてホルモン剤を使用することは、お薦めしたくありません。将来は出産させたいが今は産ませたくない、そんな時に一時的に行うものだと思っています。
そして一時的使用の場合は、出産させる事が可能になった時には、ホルモン剤を摘出し て下さい。
ホルモン剤の使用は両刃の剣で、メリット・デメリットがあります。
繰り返しになりますが、避妊手術の代替えとして、安易に考える選択肢ではないと考えています。
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【Withcatより】ここでご紹介したものは、病気を疑ってみる初歩的な知識です。もしもご家庭のワンちゃん、ネコちゃんに該当する症状があったら、すぐに動物病院を受診なさってください。
▶ハナちゃんママ:犬 の診察記のご紹介
▶ハナちゃんママ:猫 の診察記のご紹介
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――次話――
――前話――
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この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――ハナちゃんの動物病院(猫)・初回の記事です――
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――出典――
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。