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鈴が歌う、おかあさんが歌う、猫も歌う ~第1章・銀の鈴(5/7)/虹の橋の猫~【猫の絵本】

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虹の橋の猫 ―愛と絆と永遠の物語―
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イラスト&文:水玉猫
 

渡し守は棹(さお)をあやつって、船を進めます。

その棹の先には、リボンで結んだ鈴が、ひとつ付いています。
渡し守が棹さすたびに鈴は澄んだ音をたて、渡し守はその音に合わせて歌をうたいました。

猫は、長い船旅の間に、渡し守のうたっていた歌をすっかり覚えてしまいました。
そして、いっしょに口ずさむようになりました。

虹の橋に着くと、渡し守は棹の先に結んだリボンをほどき、鈴を外しました。
そして、船を降りた猫に渡しました。
「きみが、地上から持ってきたものだよ」

猫は、びっくりしました。
重荷は、みんな地上の船着き場においてきたはずです。

大切なたくさんの思い出も、地上に着いたばかりの仔猫に託してしまいました。だから、猫は何も持たずに虹の橋に渡って来たとばかり思っていました。

渡し守は、猫に言いました。
「歌ってごらん」

猫が、旅の間に覚えた歌のひとつを歌うと、鈴がきれいな音で鳴りはじめました。

鈴の音は話し、笑い、歌いました。

その音は、地上に残したお母さんの大好きな歌声になって、猫の耳にとどきました。

猫は、おかあさんのうたう歌といっしょに、歌いました。
地上にいた時と同じように。

猫が虹の橋に持って来た、たったひとつのものとは、猫をなによりも愛してくれた人の懐かしい声だったのです。

その声が、鈴の中に入っていたのでした。

――銀の鈴/虹の橋の猫(第5話)・つづく――

作:水玉猫
 ▶水玉猫:猫の作品
 

――次話――

――前話――

まとめ読み|虹の橋の猫 ①
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週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この物語の第1話です――

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