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葉っぱのしたの雨宿り ~第2章・歌うたいの猫(5/10)/虹の橋の猫~【猫の絵本】

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イラスト&文:水玉猫
 

大きな葉っぱの下で、雨宿りをしながら、歌うたいの猫の歌を聞いているうちに、黒い仔猫と白い仔猫は、地上で暮らした日々が、懐かしくてたまらなくなりました。
そして、地上でいっしょに暮らした人たちが、恋しくてたまらなくなりました。

「おうちに、帰りたいよぉ」

「おうちのみんなに、会いたいよぉ」

黒い仔猫と白い仔猫は、とうとう泣き出してしまいました。

でも、歌うたいの猫は、仔猫たちをなぐさめようとはせず、そのまま歌い続けました。

雨音と仔猫の泣き声の中を、歌うたいの猫の歌声が、静かに流れていきます。

歌は、まるで、子守唄のように黒い仔猫と白い仔猫を優しく包み込み、いつしか、ふたりの仔猫たちは眠ってしまいました。

でも、灰色の仔猫は、相変わらず、葉っぱの下のカエルばかり見ていました。

しばらくすると、カエルが言いました。
「虹」

「虹?」

灰色の猫は、カエルの見ている方に振り返りました。

眠る黒い仔猫と白い仔猫の上に、虹が架かっています。

黒い仔猫の上に架かる虹は明るく輝き、白い仔猫の上に架かる虹は優しくきらめいていました。

歌うたいの猫が歌うのをやめて、灰色の仔猫に言いました。

「ほら、虹が架かったでしょ」

灰色の仔猫は歌うたいの猫をちらりと見ましたが、すぐにまた、うつむいて黙り込んでしまいました。

カエルが、ぴょんと灰色の仔猫の頭に、飛び乗りました。
その拍子に、灰色の仔猫の鈴が揺れましたが、鈴は何の音も立てませんでした。

歌うたいの猫は、灰色の仔猫をじっと見ていましたが、再び、歌い出しました。

しばらくして、黒い仔猫と白い仔猫は目を覚ましました。
そして、うれしそうに、それぞれが見ていた夢の話をしました。

「おうちで、みんなと遊んだよ。おやつも、もらった!」

「おうちのみんなが、代わりばんこで抱っこしてくれたし、なでてくれたの!」

歌うたいの猫は、にっこりと笑いました。
「虹が架かったからね。もう、いつでも、おうちのみんなといっしょにいられるね」

黒い仔猫と白い仔猫は、不思議そうに歌うたいの猫を見ました。

歌うたいの猫は、答えました。
「涙の雨に架かる虹は、心と心に架かるんだよ」

でも、黒い仔猫と白い仔猫にとっては、それは答になっていませんでした。
歌うたいの猫の言っていることが、まるで、わからなかったのです――

 

――歌うたいの猫(5/10)/虹の橋の猫(12話)・つづく――

作:水玉猫
 ▶水玉猫:猫の作品
 

――次話――

――前話――

まとめ読み|虹の橋の猫 ②
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――第2章のはじまり(第8話)です――

――この物語の第1話です――

 保護猫のお話です

活動家に保護された猫、夕(ユウ)。
幸せに暮らしていた夕は、ある日リンパ腫の診断をうけてしまいました。

 

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