ここは『ハナちゃんの動物病院』(猫版)です。
今日はオシッコがつまってしまう病気、閉尿のお話です。
寒い時期に増える病気。猫も犬も男の子に多いんですよ。飼い主さん、気を付けてあげてくださいね。
(注:この記事には、手術の写真が含まれます)
寒い時期は、膀胱炎が多くなります。
とくに、オス犬、オス猫では、オシッコが詰まってしまう、閉尿になることがあります。
尿閉になると、尿毒症となり、命にかかわってきます。
以前から、尿石症をもっていた猫のMくんは、9月にも尿閉で当院に入院しました。
閉尿は体質や肥満、運動不足などいろいろな原因で起こるため、対処方としては、とにかく処方食を食べていくことと、定期的な尿検査が必要となります。
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9月から、連絡がなくなってしまったMくんには、電話で様子を尋ねてみましたが、やっぱりその後も音沙汰がなく、先週の土曜日に、突然、調子が悪いと連絡が入りました。
今回も9月と同じで、オシッコが出にくくなっています。
9月と同じ入院治療では、同じことの繰り返しになってしまうでしょう。
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私は、手術を勧めました。
男の子のMくんのオシッコの出口を女の子の出口のように広げる手術です。
この手術は、予防をしても繰り返しやすい場合や、飼い主さんの都合で、なかなか予防をできない場合に行うことがあります。
正式な名称は、会陰尿道廔設置術という手術です。
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※以下、手術の写真が載っています。苦手な方は、閲覧にご注意を。
まずは尿道カテーテルを入れて、膀胱にたまった尿をだします。
術前の患部。尿道カテーテルで尿道を確保しておきます。
※手術の写真が苦手な方もいらっしゃいますので、ここからは図式にて説明します。
陰茎を骨盤付着部から分離して、骨盤部尿道を周囲の組織から十分に分離します。
そして、陰茎の先端から骨盤部まで尿道を切開します。
尿道骨盤部を肛門の下の皮膚に縫合します。
尿道粘膜を広げるようにして会陰部の皮膚に補剛する。
大きな尿道口が形成されたことを確認して終了です。
肛門の下に新しい尿道口ができました。
男の子だけど、女の子のような形になります。
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これで、オシッコは詰まりにくくなりますが、膀胱炎にならないような予防は今までどうり必要にはなります。
Mくんの飼い主さんも、術後も気を付けて欲しいと思います。
ハナちゃんママからアドバイス
Mくんは、術後は、ごはんを食べて、オシッコも良くでています。
尿石症は、調子が良いともう治ったと思い油断してしまいますが、また、再び、オシッコが詰まってしまうことが多いです。
手術までやらないで済むように気を付けてもらいたいです。
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【Withcatより】ここでご紹介したものは、病気を疑ってみる初歩的な知識です。もしもご家庭のワンちゃん、ネコちゃんに該当する症状があったら、すぐに動物病院を受診なさってください。
▶ハナちゃんママ:犬 の診察記のご紹介
▶ハナちゃんママ:猫 の診察記のご紹介
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――次話――
――前話――
【子宮蓄膿症】
猫の場合は、なかなか気づかないことも
妊娠と間違って来院し、発見された例です。
猫はこの病気、気付きにくいのだそうです。見つかって良かったですね。
ホルモン剤(発情抑制)のメリット/デメリットを交えて。
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この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――ハナちゃんの動物病院(猫)・初回の記事です――
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――出典――
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。