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【画家と猫ってなんだか似合う】画家:呑山政子さんを訪ねて、行動美術展へ ~猫のいるアトリエ:インタビュー(前編)~

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f:id:masami_takasu:20180404123330j:plainインタビュー:画家|呑山政子 (聞き手)樫村慧
撮影:呑山政子

先日私は、上野の東京都美術館に、『行動展』という絵画の展覧会を見に行ってきました。
どうしてかというと、いつも仲良くしていただいている、画家の呑山政子さんからご招待をいただいたからです。

呑山さんは行動美術協会の会員さんです。

 

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呑山さんと私
呑山さんの作品の前で

行動美術協会に限らず美術協会の会員さんは、画家さんだったら誰でもなれるというものではなくて、偉い先生方の推挙と審査があって、はじめてなれるもの。
だからもう何というか、呑山さんは私にとってズバリの”The画家”さん。雲の上の存在なのです。

でも――
呑山さんはいつも気さくに、優しく接してくださいます。

私と呑山さんの接点は、犬仲間だということ。
動物って邪心がないからかなあ、普通ならば繋がらない方々と、自然にご縁を結んでくれますよね。
不思議ですねえ――

 

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呑山さんの作品の題名は、
『ものがたりものがたれ』
このシリーズはずっと連作なのだそうです。

さて、犬繋がりではあるのですが、今回は猫のお話が中心です。
呑山さんのご家族は、犬(ジャックラッセルテリア)のミントちゃんと共に、猫のピッピちゃんと暮らしています。

WithdogとWithcatで時々掲載する、夏目潤一郎先生の随筆に登場するミントとピッピは、実は呑山さんのお家のミントちゃんと、ピッピちゃんがモデルなんです。

呑山さんのアトリエには、いつも猫のピッピちゃんが一緒にいるのだそうです。
でも――、ミントちゃんはアトリエには入れない。
どうして?

呑山さんの愛情あふれる猫のお話。そして、少しだけ犬のお話。
作品制作のお話を交えながら、お伝えしていこうと思います。

行動美術協会
http://www.kodo-bijutsu.jp/

 

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展覧会の開場はものすごく広いです
因みに、行動美術協会は、旧二科会の主力メンバーの方々が、
旧二科会の精神を受け継いで設立されたもの。
歴史を遡ると、ドラマがあります。

―― 以下、インタビュー ーー

Q.まずは呑山さんが、画家になられた経緯を教えてください。確か中学校で”図工”の先生をされていたんでしたよね?

私は大学の教育学部を出て、東京で小学校の図工教師をしていました。
絵を描いて発表をしようと思い、個展を20回ほど続けたのちに、誘われて行動展に出すようになりました。2001年からですね。

Q.で、行動美術協会に推挙されたのですね。

一般出品から会友になったのはすぐでしたが、会員になったのは3年前です。美術協会というのはどこもそうですが、会員は狭き門なんですよ。
私の場合は、何と足かけ14年です。

Q.画家と言う立場って、我々からすると、世界の違う人と言う印象です。ご自身ではどう思われているのですか?

絵を描いて発表すれば”絵描き”と言えると思うのだけれど、私は自分のことを”絵描き”だと、あんまり思ったことがありませんね。
私にとって、絵を描くことは家事をすることと同じ、日常の営みなので特別なこととは思わないんですよ。
だから私は――
絵を描いたりするおばさんって感じかな(^^)

あ、でも、会員になるとちょっと違いますね。
協会の中にも、社会的にも責任が出てくるので、”絵描き”としての意識が高まるように思います。

因みにね、”絵描き”、”画家”って言ったって、絵を売って生活出来る人ってほんの僅かです。多くの画家さんは 教室や学校で、絵を教えることで収入を得ています。

 

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行動展のスナップ(その1)
『円相~風の記憶~』近藤昌昭

Q.アトリエはご自宅にあるのでしたよね。

35年前に家を建てた時に、2階の2部屋を繋げてアトリエとしました。
いつか自分のアトリエを持つのが、私の夢みたいなものでした。独身時代はオンボロのアパートの部屋を借りて描いてましたからね。
結婚してから家を建てるまでの間は、学校の図工準備室が私のアトリエでしたよ。

Q.夢の場所ですか。呑山さんにとってアトリエは、特別な場所なのですね。

アトリエは絵を描く場所ですからね。”絵描き”にとっては、勝負の場所です。
絵を描くことは、自分の心と対話するようなもの。頭で考えても、答えは見つからない。真摯に謙虚に描くことで、ふと何かを掴んだり、掴んだと思っていても スルリと逃げて行ってしまったり――
そんな事を、私はアトリエで、繰り返し繰り返ししているのです。

Q.アトリエの中の様子をもう少し詳しく聞かせてください? 一人で悶々と考えながら、絵を描いていらっしゃる感じですか? 何だかそれも、画家さんぽいですね。私の考えがステレオタイプなのかもしれませんけど。

制作中は常に一人きりです。
展覧会は次々あって、私はアトリエではいつも何かを制作しているのですが、その間は、誰も中には入れません。夫も入ってきません。

――え、何故かって?
アトリエに人を入れると、心の中の微妙な部分を、晒してしまうような気がするからかなぁ。
一人でいると、ヤル気ってなかなか出てこないので、アトリエに入ると まずCDをかけて 気持ちを盛り上げてます。この頃は クラシックが多いかな。

ああ、でも例外が1つというか1匹います。
ピッピだけは、いつも私と一緒です。

 

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行動展のスナップ(その2)
『Chance or necessity N0.2』安倍健太

Q.なるほど、特別な場所に、特別なピッピちゃんというわけですね。ピッピちゃんを迎えられたときのことを教えてください。

ピッピはね――、誰も貰い手のない捨て猫だったんですよ。
何匹かいた捨て猫の中の1匹で、ピッピは特別に状態が悪くてね。当時は体中湿疹だらけで、毛が抜けて、鼻もカサブタで真っ黒。見た目が悪い上に、お腹も壊している状態だったんですよねー。

えー、それは可哀想ですね。

最初に見つけた方が、医者に連れて行ってくれて、ミルクをスポイトで飲ませてくれていて。その続きをうちでやったのね。最初に面倒見たの方というのは、主人の同僚で中学校の先生だったの。優しい女性の先生。
そういえば生徒って、良く捨て猫を、拾ってくるのよね。

他の子は次々と貰われていったんですね?

そうそう。一匹だけ残った子がピッピ。さっきの女性の先生が、面倒をみてて、最初は学校猫にすると言っていたのよ。
でも私はそれを聞いて、「学校猫なんて、絶対ダメ」と思ったの。
誰が可愛がっているのか分からなくなるし、先生は異動でそのうちにいなくなるし。子供も成長して卒業しちゃうし。
で、主人に「うちに連れて来て」と言ったんですよ。

~インタビューはまだまだ続きます~

 

――猫のいるアトリエ(前編)・つづく――

インタビュー:樫村 慧

――呑山政子さんのブログはこちら――

――次話です――

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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