ボスの旅立ち
~ボスが嫌がることをやめた~
9月21日|この日、ボスの嫌がることをやめた
ボスが、ご飯とお水をほぼ取らなくなって一週間。仕事帰りの車の中でのことでした。私は 意を決して、主人に話をしました。
「ボスを看取ってあげよう」と。
心の中は、ぐちゃぐちゃでした。
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もっと一緒にいたい――
でも苦しめたくない――
もう嫌がることはしたくない――
いや、薬をあげたら良くなってくれるんじゃないか――
自分から言い出しておきながら、話していることは支離滅裂です。
苦しかった――
でも、本当に苦しいのは、私達ではなくボス。
この日から、ボスが嫌がることをやめました。
やめたもの
・サプリ
・吸着剤
・腎臓の薬
サプリは特に嫌だったね、粒が大きかったからね。
飲むの大変だったね。吸着剤も、口の中がじゃりじゃりになって嫌だったね。
腎臓の薬も 苦かったね。飲ませた後いっつもすごい顔してたボス。
でも、なんとか高濃度のミルクだけは、シリンジで飲み込んでくれました。
こうして、1日1日 頑張って、ボスは強く生きていました。
9月22日 |ボスの週2回の点滴の日
先生に、ボスを看取る覚悟ができたことを伝えました。
『この人よく頑張ってるもんね。後はこの人が、少しでも楽になるように考えよう』
そう先生は、言ってくれました。
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先生からは、こうも言われました
『ご飯が食べれなくても、朝晩必ず、好物のご飯を準備してあげること。匂いだけでも ご馳走だから』
『いつもと変わらない生活を送ること。特別なことはしちゃだめ』
『たくさん撫でて、たくさん話しかけて、思い出をいっぱい作ってあげて。彼らは人間の感情がわかるから』
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私は、他の患者さんがいたにも関わらず、大泣きしてしまいました。
この頃はボスがいなくなる恐怖と、ボスがいなくなる寂しさにばかり心が奪われていて、感情がコントロールできませんでした。
毎日 毎日、泣いてばかりいました。
ボスごめんね、辛いのは お前なのに、泣き虫の母ちゃん許して――
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この日、ボスが少しでも楽になるように、栄養を摂る静脈点滴の日程を、9月30日、10月1日、10月2日と決めて家に帰りました。
先生からは、こんなことも言われました。
『いろいろ サインをくれるから、それを見逃さないで』
『でも、父さんと母さんなら大丈夫。強い絆があるから』
この日から、1日1日が、さらに大切になりました。
――ボスの旅立ち(5/10)つづく――
文:ボスのかあちゃん
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※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。