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【猫の保護/ふわふわのタオル】ゴロゴロゴロ、百円ショップに眠るお宝 ~犬派の僕が猫と暮らす理由|ひとつの命を拾うこと(8/10)~

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ねこさん、拾いました
f:id:masami_takasu:20180813091627j:plain撮影&文:紫藤 咲

ホームセンターでの買い物を終えてから、隣接している百円ショップに立ち寄ってみた。メッシュマットは買ったが、それだけではちょっと寒そうな気がしたからだ。

ホームセンター内を見て回ればよかったのだろうが、そこまで気が回らなかった。しかし、逆にそれがよかったのかもしれない。
このとき百円ショップに立ち寄らなかったら、その後の彼の運命を変えるアイテムに、ぼくは出会えなかったかもしれないから。

さて、百円ショップに入ったぼくはぐるりと店内を見て回る。手のひらサイズ並みの小ささであるねこさん。加えて、なんだか元気がない。母親と離れてしまったことで、心身ともに傷ついたのか。

いや、そもそも離れてしまったのか、離されてしまったのかもわからない。兄弟はいなかった。一匹だけで生まれたのか。

犬の出産の経験からすると、一匹だけの出産は考えにくかった。体が大きくない小型犬でも、二匹くらいは産むのである。

では、見捨てられたのか。たしかに野生の動物などでは多頭で産んだ場合、生き抜くために、一番弱い子供を見捨てるということはよく聞く話である。しかし、理由はどうあれ、子どもにとって、母親は母親である。恋しいに決まっている。だから、なんとか母猫に代わるものがないだろうかと考えた。

代替え品で一番最初に思いついたのが、彼の寝床に敷いたタオルである。
毎日使う物であるし、元気のないねこさんは、一日の大半を寝て過ごしている。

タオルを敷いてはいるものの、雑巾に代用できるような、なんの変哲もないノーマルタイプの物である。排泄物で汚れても捨ててしまえばいいくらいに惜しくはないが、白とか緑とかの一色で、模様も何もない。

味も素っ気もない上に、肌触りも微妙であった。子猫なのだ。どうせなら、もっとかわいいのがいいと、タオルコーナーへ向かった。

数あるタオルのなかで、ぼくが手にしたのは肌触りの柔らかな、ふわふわのタオルだった。 手触りがとにかく優しい。ふかふかだ。

――これなら、いいかも!

すぐに購入を決意した。洗い替え用も欲しいだろうし、男の子なのでピンクよりはブルーだろうと、水色のストライプ柄と黄色と青の水玉柄の二枚を購入してみた。

家に帰って、早速、購入したメッシュマットとタオルで寝床を整える。
カプセルホテル(キャリーケース)の中に、折りたたんだメッシュマットを敷き、その上にふわふわタオルを乗せる。

排泄で汚れても、すぐに交換ができるように、ノーマルタオルも一緒に入れる。手で確認してみる。プラスチックが直接触れることによって、身体を冷やすことはなさそうな程度には厚手になった。

よしよし、これならいいぞと、段ボールからねこさんを移動させてみる。
すると、どうだろう。

 ゴロゴロゴロゴロ……

それまで、泣きもせず、ちんまりと段ボールの端っこで座ったり、丸まっていたりしたねこさんが、ふわふわタオルに頬をすり寄せ、喉を鳴らし始めたのである。
さらにタオルの感触を確かめるかのように、前足でふみふみし始めたのである。

このふみふみ行動は、母猫のお乳の出をよくするためにするものらしい。
前足でふみふみ揉みながらお乳を飲むのだ。

毛布などあたたかくて柔らかいものに触れると、その時の感触や幸せな気持ちを思い出して、思わずやってしまうものらしい――ことを、後日知ったのだが、本当にふみふみをするねこさんは、とても嬉しそうに見えた。

 ゴロゴロゴロゴロ……

ずっと喉を鳴らし続け、ふみふみし続ける。それこそ、百円で申し訳ない気持ちになるくらいには、ふわふわタオルの気に入りようはすさまじかった。

そのタオルだけに喉を鳴らし、ふみふみするくらいには、お気に入りになったのである。

 

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見ているぼくは、かなり感動した。かわいいなあと、とってもしあわせな気持ちになった。

――ああ、よかった。本当によかった。
百円でごめんな。こんな安いタオルでそんなにも喜ぶなら、十枚でも、二十枚でも買ってやるよ、ボーイ。

ゴロゴロと頬すりすりを見ただけだというのに、心はかなりグイグイ引っ張られた。 SNSでこのことを報告すると、フォロワーさんから『お気に入りが見つかりましたね』という言葉をいただいた。

――うん、お気に入りが見つかりましたよ!

そう。お気に入りを見つけられたのは超絶ラッキーだった。

このタオルが、今後の彼の運命を少なからず握るキーアイテムになろうとは思いもせず、ぼくはゴロゴロ喉を鳴らすねこさんをのほほんと、ニマニマしあわせ顔で眺めていたのだった。

これが、それ
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お気に入りのもふもふタオルと、
ホームセンターで購入したメッシュマット、
陶器の器です。

(余談)
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――ひとつの命を拾うこと(8/10)つづく――

作:紫藤 咲
 

――次話――

ついにその男がやって来た。
友人であり、猫飼いの水先案内人にして、霊的能力をもつ男――、ハットリ。

「なんか、こいつさあ。目がヤバイよね」
言いたい放題の、口の悪いハットリ。
そして彼は遂に、”運命の一言”をぼくに告げるのでした。

――前話――

ねこさんの暮らしを快適にしようと、ペットショップに。
そこには、見たこともない猫用品の数々――

これ、皆が経験しますよね。
何が必要か分からず、どれも必要そうに思えて、
うちも沢山買いました。無駄なもの。
さて、新米飼い主、何を買うのか?

まとめ読み|猫さん拾いました ②
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この連載の第1話です――

運命の日――
ぼくは猫を拾った。

犬派だった著者が、猫を拾ってからの悪戦苦闘を描くエッセイ。
猫のいない日常に、飼ったこともない猫が入り込んでくる話。
はじまりは、里親探しから。

――当然、未経験。
「ぼくらの物語はこの日から始まった」

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