ボスの旅立ち
~最後の、親子3人川の字で……~
ボスを看取った10月8日、私は仕事で主人は休みでした
私はボスに行ってきますをし、主人に送ってもらい仕事に向かいました。
ですが全く仕事が手につかず、今考えると何をしていたのか全く覚えていません。
ただ早くボスの元へ帰りたくて帰りたくて、それしか頭にありませんでした。
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やっと仕事が終わり、主人に迎えにきてもらいました。
「ボス今日はいい子にしてた?」
と、つい訊いてしまう私。
主人は「ボス兄ちゃんだからいい子にしてたよ」と、いつも通りの会話で返してくれました
「今日はお寿司にしようか? ボスにもカニかま買って帰ろ、大好物だしね」と私。
「今日はボス兄ちゃんのちび通夜だな」と主人。
気づくと私は泣いていました。
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スーパーで手短に買い物をすませ、足早に帰宅。
何時も通り二人で、「ボスただいまぁ」と声を掛けて玄関に入る。
ボスを撫で撫でして「ただいま」をする私。
顔を見るとやはり涙が……
「早く準備して、ボスがカニかま待ってるから」と主人。
「そだねボスお腹減ったね今用意するから」
私は泣きながら準備をしました。
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準備ができると、主人はボスをリビングのソファーに移動させました。
「はい3人でご飯たべるよ」
主人とあれやこれや、今までのボスとの思い出話をしながらお寿司を食べました。
やはり涙が止まらず、しょっぱいってことしか記憶に残っていません。
明日はほんとにお別れ。
その夜も、親子3人で並んで寝ました。
最後の、親子3人川の字で……
夜が開けると、その日とてもいい天気。
家族3人で、最後のお出掛けをする日です。
主人は午前中少しだけ仕事でした。
私は主人が出掛けると、ボスとしばしお昼ねをしました。ボスと手を繋ぎながら…
ボスの肉球、何時も通りつるつるのふにふにでした。
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うとうとしていると、主人が帰宅。
ボスと一緒に寝ている私を見ると、主人も横になりボスを撫で撫で。
そして「そろそろ時間だよ。用意しなきゃ」と
私は主人に促され準備を初めました。
ボスのために、ボスが大好物だったカニかま、うなぎ、サンマを用意。
そしていつものご飯も。
そしているうちに、とうとう出発の時間が……
「ボスとの写真撮って」
私は主人にとお願いをし、2枚撮ってもらいました。
これと
これ
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斎場までは抱っこで連れて行きました
それは斎場の方にこう言われたからです。
『うちは皆さんに抱っこして来館していただいてるんですよ。来るまで沢山お話ができるように』
『お父さんとお母さんとボス君で、いっぱい話をしながらゆっくり来てください』
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私達は言われた通り抱っこして、3人で一緒に「行ってきます」をして、車に乗り込み斎場へ向かいました。
主人が運転をし、私がボスを抱っこして、斎場に着くまでの間はボスの思い出を、ああでもないこうでもないと話していました。
「ボス、今めめ開けたら、このままおうちに帰れるよ」
私はボスに、そう言いました。
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そうしていると、斎場に到着してしました。
私はまだ変な感じで、実感がありませんでした。
ボスを抱っこして車から降りると、初老の男性が向えてくれて、『ゆっくりお話できましたか?』と声をかけられました。
私は「はい、ありがとうございます」と言うのが精一杯で…
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案内されるままに、ボスを抱っこして火葬場へ…
私は主人に「やっぱり帰ろ、やめて帰ろ」と言いました。
その言葉に主人は、無言で首を横にふりました。
主人の目も真っ赤でした。
私は抱っこしていたボスを、係りの方に託しました
係りの方は、ボスを丁寧に横たえました。
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『何か一緒に持って行かせてあげたいものはありますか?』
私達は持参したカニかま、うなぎ、サンマと、いつものご飯を渡しました
係りの方はそれを受け取ると、丁寧に置いてくれて、持参した花も綺麗に飾ってくれました。そして最後に、私達に花を渡してくれて、こう言いました。
『お父さんお母さん、この子はとても幸せだったと思いますよ。だってこんなに安らかな顔をしている。ほんとに寝てるようだ』
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私達は渡された花を、ボスの顔の近くに飾り、最後の撫で撫でを――
そしてボスは…
その瞬間、私はその場で泣き崩れてしまい、しばらく立てませんでした。
主人に抱き抱えられ、控え室へ。
しばらくして落ちついた私は、主人と一緒に外に出ました。
斎場の向かいには合葬墓があり、沢山の写真が貼られていて、お供え物も沢山ありました。私達が見ているあいだにも、何組もの方々が合葬墓を訪れていました。
そうしているうちに、係りの方が呼びに来てくれました。
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――ボスとの対面
『しっかりとした骨ですよ。歯もしっかりしてたんですね。しっかり残ってますから』と係の方は仰いました。
それは、本当に21歳とは思えないほど、しっかりした骨でした。
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ふと見ると、お尻の付近に白い石灰のような固まりが――
私は係りの方に「これなんですかね?」と尋ねました。
『ああこれはうんちですね』と係の方。『ほんと強い子だったんですね。最後まで頑張ったんですね』
その言葉を聞いた瞬間、また涙が溢れました。
ボスは――、ボスは――
最後まで諦めなかったんだ。頑張ったんだ。
そして私達は来た時と同じく、ボスを抱っこして帰宅したのでした。
――ボスを見送るときのこと・了――
文:ボスのかあちゃん
▶ 作者の一言
▶ボスのかあちゃん:猫の記事のご紹介
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――次の子を迎えるお話に続きます――
――闘病記の最終話です――
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――闘病記の1話目です――
――同じ作者の記事です――
――連載の1話目です――
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ペットを送る日
ソーニャ|旅立ちの日
今日から数回、天使の章です。
旅立った猫さんとの、最後のお別れの日です。
一日雨の予定でしたが、さすがは晴れ猫、朝だけはやみました。
「ちゃんと間違えないで、あっちに行くんだよ」
猫さんがふっと微笑んだような気がしました。
ピーチー|火葬を終えて
この日、ピーチーを荼毘にふしました。
わが家にはピーチーがやってきた時のダンボール箱が、大切に取ってあります。
小さな小さなその箱に入って、うちにやってきたアイパンチの女の子が、ちょっと大きな、立派な桐の箱に入ってうちから出て行きました。
火葬の際、色々持たせてやろうと思ったのですが、斎場の決まりでそれは無理。
結局ピーチーは、おやつを少しだけ持っていきました。
服が大嫌いな子だっから、それもまた良し。
「すぐに全部食べそうだな」
ピーチーらしい去り方でした。
出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。