猫宅・44の物語 3話
今回のお話は:華と雪

今日は猫宅の3ニャン目と4ニャン目のお話をしようと思うのですが、本題に入る前に猫宅のことで、1つ書き忘れていたことがありました。
私が娘と家を借りたのは、始めから猫宅が作りたかったからではありません。保護した"とら"を、安全に住まわせる場所が欲しかったというだけの理由です。
しかし、そこは親子4人が住めるほどの一軒家。とら一人で夜を過ごさせるにはあまりにも広い空間でした。とらはいつも寂しそうで、私たちに甘えてきました。
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私は、誰か猫好きさんが一緒住んでくれないかなと思いました。具体的に言うと、猫の飼育可のシェアハウスにしたらどうかと思ったのです。
人や猫がいれば、とらは寂しくなくなりますし、そうすることで、住んで下さる方に家賃も負担していただけますしね。
しかし振り返って考えると、そこでシェアハウスにしなかったからこそ、沢山の猫を救うことができ、結果として今の猫宅があるわけです。あの時シェアしなくて良かったと、今となってはホッとしています。
さて、3ニャン目と4ニャン目に話を戻しましょう。
あれは、茶々が猫宅の一員となった年の夏のことでした。
うちの近所には、ちび茶とちび白という外猫の姉妹がいたのですが、そのちび茶の方が赤ちゃんを産みました。
通称ちゃーは仔猫が成長し、ご飯が食べられるようになると、我が家に子猫を連れてやって来るようになりました。その子猫の名は華(はな)、雪(ゆき)、風(ふう)と言います。私が名づけました。
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やがて季節は秋になり、外猫たちには厳しい冬がやってきました。
猫は冬になると、駐車中の車に集まってきます。エンジンの熱で暖を取るためです。我が家は道路を挟んだ向かい側が駐車場になっており、夏に生まれたばかりのあの子猫たちもそこをうろついていました。
猫はボディーの下にいるだけなら良いのですが、中にはエンジンルームにまで忍び込む子もいます。私は猫バンバンだけでは心配なので、車に乗る前はボンネットを開けて確認するようにしています。
ある日のことです。華と雪が車の後をうろうろしていたのですが、立ち去った形跡がないのに、姿が見えなくなりました。私はその子達を見かけると、いつもその場を後にするまで見ているようにしているのですが、その日はどこにも見当たらないのです。
『さてはエンジンルーム?』
それ以降は、隣に止めている車の持ち主のか方にも声をかけて、確認してもらうようになりました。よそ様の車のエンジン音がする度に、その子たちに何かありはしないかと、心配でなりませんでした。
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その子たちがエンジンルームに入っていることを確信をしたのは、それからしばらくたったある朝でした。いつものように車のエンジンをかける前にボンネットを開けると、そこには華と雪が仲良く座っていたのです。
『このままではこの子達の命が危ない。早急に保護しなくては』
私は娘と相談しました。
お腹の空いてる時がチャンス!
私たちはまず、朝のご飯の時に華を保護する事に成功しました。それは初めて子猫を保護した瞬間でした。華は猫風邪にやられ顔は目やにと鼻水でぐちゃぐちゃで弱っていました。
すぐに華を猫宅に連れていきました。
はじめのうちは、下の部屋に段ボールハウスを作りそこに華を寝かせるように。
部屋が寒いのでエアコンは点けっぱなしです。
やがて、日の当たらない部屋ではダメだと思い、とらと茶々が居る二階へと移動して、抱っこして窓際で日光浴をさせました。
病院にも連れていって、診てもらったような気がするのですが、今となっては記憶があやふやです(-_-;)
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雪は華と違って警戒心が強かったので、なかなか捕まえることができませんでしたが、それから何日が経って、私たちは雪を保護する事にも成功しました。
雪は華より体調も良かったので、そのまま合流させました。
それからは、各部屋開けっ放して4匹を好きなようにしていたと思います。
とらと茶々は大人しい子なので、新しい2匹が加わっても、喧嘩をする様なことはありませんでした。
こうやって、猫宅の住人は4匹になったのでした。
え?
姉妹猫の”風”や、親猫の”ちび茶”はどうしたのかって?
それは、これからのお話でまた登場してきます。
――つづく――
(写真のご説明)
この記事の写真は、以下の通り。
1枚目(扉):華
2枚目:雪
3枚目:猫宅の風景
4枚目:最近の雪
下の写真は最近の茶々(食欲ない)。仲良しのいちごと。
作:女神
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――次話――
44の物語、5匹目のお話。
ベランダで洗濯物を干していたら、ご近所さんの妙な仕草が見えた。
手には毛玉状の物体。
目を凝らすと、それは猫。
庭に迷い込んで来たのだとか。
天と名付け、猫宅に引き取ることにしたのですが、
天は中々猫宅になじめません。
――前話――
44の物語、今日は2匹目のお話。
1匹目のとらが、広い『猫宅』で寂しがる中、2匹目の猫がやってきます。
ある日、ネバネバの体で現れた猫。多分、ネズミ取りにかかったのでしょう。
その子は、とらと仲良しだった野良猫、茶々でした。
1匹ずつに物語がある。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載の1話目です――
44匹の猫が住む家、その名も『猫宅』
今日は保護した猫たちのために、専用の家『猫宅』を借りた飼い主さんのお話です。
1匹ずつに物語があって、今日はその猫宅住まいの最初の1匹目を保護した時のお話。
さて、44の物語、完成するでしょうか?
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