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毛玉と思ったら、なんと猫だった ~猫宅のお話をしましょう(その 4)天~【猫の保護/多頭飼い】

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猫宅・44の物語 4話
今回のお話は:天
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撮影&文|女神
 

前話までで、とらと茶々に、華と雪が加わって4匹になった猫宅――
猫宅は間取りが大きくとられていて、2階の一室は日当たりも良く、4匹はそこで仲良く過ごしていました。とらと茶々は元々仲が良く、華と雪はまだ小さかったので、喧嘩と言う喧嘩もありません。

何事もなく月日は流れ、年が明け、また暑い夏がやって来ました。
この頃、とらと茶々にはスプレー行為が始まったので、去勢手術を受けてもらったのですが、いつも平穏な猫宅に起きる変化と言ったらそんな程度のことでした。

そんな中での、あるお盆の暑い日のことです。
私がベランダで洗濯物を干していると、ご近所のおばさんがご自宅の玄関先で、なにやら妙な行動をしているのが目に入りました。
毛玉を抱いて、タオルで拭いているようなのです。

実は我が家は三階建て構造で、洗濯物は3階のベランダに干すのですが、そこからは周囲が見渡せるのです。

 

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おばさんの仕草が妙に気になって、手元を目を凝らしてよーく見た私。
すると、ふわふわと風になびく毛が――
「子猫だ!」
と思いました。

私はすぐさま階段を駆け降りると、そのおばさんのお宅へ――
お話を聞くと、家の庭に紛れ込んだ1匹の子猫に牛乳を飲ませたところ、身体中がべしょべしょになってしまい、洗ってやって、今拭いているところなのだとか。
『いやいや、いくら暑い夏だからと言っても、子猫を水で洗うのはいかがなものでしょうか』と、心中で呟く私。

子猫はおとなしく抱かれていて、見たところは怪我をしている様子もなく、猫風邪にかかっている様子もありません。しかし、そのおばさん、明らかに猫の扱いには慣れていない。
見かねた私は、「その子、私にあずけてくれませんか?」と願いして、子猫を引き取ることにしました。

その子は「天」と名付けました。
天は一度は猫宅に連れて行ったのですが、娘と話し合い、夜に自宅に連れてきました。

華や雪と違って天は人懐こかったので、まずは自宅で様子を見ることにしたのです。
私が長毛種が好きだからということも理由の一つです。そばに置いておきたいと思いました。

本宅時代の天です
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私は天を甘やかし、自宅で大切に育てました。

当時天は、本宅猫の「ぽっけ」にいつも追い回されていました。
ぽっけは遊んでいるつもりなので、悪気は無いのですが、きっと天には怖かったのでしょうね。

それから天は毎日、夜は私の側で寝るのが決まりになりました。

そうやって、暫く自宅に居ることになった天。
私はそのまま、天は家の子になっても良いと考えていたのですが、なかなか思うようにはいかないものです。私の気持ちとは反対に主人からは、「いつになったら里子に出すんだ!」と言われてしまい、しぶしぶまた、天を猫宅に戻す事になったのです。

 

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華と雪はすんなりと、とらと茶々に受け入れてもらえましたが、「天はどうだろうか?」と私はとても心配でした。

子猫ならば案外簡単に猫の集団に受け入れてもらえるのですが、天はそうするには少し大きくなっていましたし、怖がりでしたので、いきなり集団の中にやっていけるのだろうかと思ったのです。

天は猫宅に入ってからは、皆のいる陽当りの良い2階ではなくて、キッチンや1階の部屋に居る事が多かったです。特に雪とは相性が悪いようでした。

一計を案じた私たちは、夜、猫宅を後にする時は天を1階の部屋に閉じ込め帰りました。しかし天は、どこから出るのか分かりませんが、朝行くと玄関でお出迎えです。
「天、また脱走したの」
これが日課でした。

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やがて私たちの心配が現実になりました。
ある日、天の様子がおかしく怯えているように見えたので、身体を触るとしっぽの付け根を怪我をしていました。恐らく相手は雪です。

結構な重傷で、天は病院で傷口を縫ってもらって猫宅に帰りました。
それからも雪とは、顔を合わすとシャーシャーです。

それから私は、天が先住猫に受け入れてもらえるように、色んな方法で頑張りました。

新しい子が加わった場合は、先住猫の匂いを体にすり付けると案外上手く受け入れてもらえるように感じました。

実は丁度同じ時期に、「月」と言う子も猫宅の仲間に加わりました。
月は天と違って合流が上手く行き、手のかかる子ではありませんでした。

もしかすると、新入り仲間の月の存在も、天が先住猫に馴染む助けになったのかもしれません。

その月のお話は、また改めて書くことにしますね。

さて、今の天はというと――
成長した天は手が早くて、誰にでも喧嘩を吹っ掛けているように見えます。

少々甘やかしすぎたかな(笑) 

P.S.これは、最近の天です。

 

――つづく――

(最近の猫宅:食欲の秋)

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作:女神
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――次話――

44の物語、6匹目。
「この子、お宅の猫?」
ある日ご近所の方が、私を呼びとめました。
その手には、見慣れない黒い仔猫が。
猫宅で預かって、里親探しをするものの見つからず。
「1匹増えたところで……」
娘の一声で、月はうちの子になったのでした。

――前話――

44の物語、今日は3匹目と4匹目のお話。
外猫が産んだ子猫が成長して、やがて季節は冬に――
猫たちは暖を取るために、駐車場に集まってきます。
経験上、エンジンルームに忍び込む子は、猫バンバンでは足りません。
ある日、ボンネットを開けると、そこには――

まとめ読み|猫宅・44の物語 ①
この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この連載の1話目です――

44匹の猫が住む家、その名も『猫宅』
今日は保護した猫たちのために、専用の家『猫宅』を借りた飼い主さんのお話です。
1匹ずつに物語があって、今日はその猫宅住まいの最初の1匹目を保護した時のお話。
さて、44の物語、完成するでしょうか?

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