猫宅・44の物語 7話
今回のお話は:あずきと、陸、海、空
今回は前話からの続きで、ちゃー(本名:ちび茶)が産んだ5匹の子たちのお話をします。
子猫が離乳食を食べられる頃になると、5匹はちゃーの後をついて、ちょこちょこと我が家にやって来るようになりました。私はこの子たちを保護しなければと思いました。そうしなければ外猫がまた増えてしまいます。
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しかしそんな矢先に、我が家から離れたところで、ちゃーが凄い声で鳴く声が聞こえてきました。どうやら、後ろをついて来ていたはずの子の1匹が突然いなくなったようで、辺りを何度も見渡して探しているようです。
私は慌てて家から飛び出して、子猫の姿を探しました。
しかし私が見つけたのは、道路の隅で横たわっているその子の体でした。
ちゃーの子は、4匹になってしまいました。
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それから4匹の保護を始めました。しかし、なかなか上手くいきません。
最初に保護した1匹は、よそ様のお宅に迷い混んだところを悪戦苦闘の末に捕獲。
しかしこの子は諦めが良いのか、捕まえてみると意外におとなしくなって、すんなりと抱っこして猫宅まで連れて行くことができました。
私はその子を、”あずき”と名付けました。
”あずき”は、今度誰かを保護した時に付けようと、用意していた名です。
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これが保護する前のあずきです
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あずきの次に保護したのが、陸と名付けた子でした。
陸は事前にキャリーを用意しておき、朝のお腹の空いてる時を狙ってご飯を食べさせながら、そおっーと捕まえて、キャリーに入れ猫宅に運びました。
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次に名付けた子 海(かい)は、触らさてくれることもなく、外に用意してある外猫ハウスの中でボスと寝泊まりしていましたが、やがて交通事故に――
「さっきまで走っていたじゃない」
私は海に呼び掛けたました。この時ほど車が憎かった事はありません。
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これは前回の記事にも載せた海の写真
あずきと同じ段ボールにいたのです
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もうお気づきかと思われますが、陸 海 と来たら最後に残った子は、空(くう)です。
この三匹で陸海空となります。
空(くう)は直ぐに保護する事が出来ず、そのまま外猫として暮らしていたのですが、 お腹が大きくなり自分から猫宅の玄関をまたぎました。
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あの年は雨が多い年だった様な気がします。
空は猫宅の玄関先に、ご飯を食べに来ていたのですが、軒下だと雨が吹き込んで来るので、私は扉を少し開けて、玄関の中でご飯を食べさせてあげようと思いました。
すると空は、警戒しながらも中に入ってきて、ご飯を食べてからも外に戻らず、そのまま家に居ついてしまいました。
入った瞬間の様子は、今や記憶が曖昧なのですが、他の子のようにキャリーに入れたり、抱いて連れてきたのではなく、自分の足で入ったのです。
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その時の空の気持ちは、どうだったかって?
それは、空にしかわかりません。
でも、空は出産も控えてましたからね。
ここならご飯も食べさせてくれるし、外にいるより安心だと本能で悟ったのではないでしょうか?
それにもしかすると、猫には猫の臭いとか、感じるものがあるのかもしれません。
猫宅には兄妹猫のあずきも、陸もいましたし。
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その後の空は、家猫のように慣れたりはしませんでした。
しかし不思議な事に、猫宅に入ってからは一度も外に出たいと言った事がありません。
人間が嫌いというと、そうでもなさそうです。時々気が向くと、頭を撫でてほしくて寄ってきたりします。
やっぱり、猫の気持ちは分かりませんね。
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あずき、陸、空を迎え入れ、猫宅は合計9匹になりました。
順番通りに書くとこうなります。とら、茶々、華、雪、天、月、あずき、陸、空。
娘と私は妊娠中の空が安心して赤ちゃんを産めるように、段ボールハウスを沢山作りました。その出産はとても待ち遠しくて、私たちは「今夜かな?」「明日の朝かな?」とか言いなから待ったものです。
そして、遂にその日がやって来ました。
――2014年6月4日――
この日の夜、私たちが猫宅を訪れると、空はお母さんになっていました。
猫宅に入った私たちは、すぐに空の様子を確認しにいきました。しかし、空がいつもいる場所にいません。段ボールハウスを端から見て行きましたが、何処を探しても空がいないのです。
空は私たちが用意した段ボールハウスには入らずに、自分で低めの段ボールでハウスを作って、そこで出産していたのです。
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それは猫宅で初めて赤ちゃんが産まれた瞬間でした。
生まれた子猫は4匹。その4匹の内3匹は男の子でした。
私はその子達を、みっけ、てっぺい、真 白(ましろ)、ぱんだと名付けました。
真っ白でオッドアイの子が、真白
毛がふわふわした三毛猫が、みっけ
頭のてっぺんに少しだけ黒い模様があった子が、てっぺい
目の回りが黒いハチワレの子が、ぱんだ
です。
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これが真白です
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上が空で、下がみっけ
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これは、てっぺい
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手前の子がパンダです
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この4匹が加わって、猫宅は合計12匹になりました。
えっ、13匹じゃないのかって?
実はこのとき、1匹減っていました。それはちゃーの子の陸。
陸は家の中が窮屈だったのでしょう。暫くしたら猫宅を飛び出してしまいました。
すぐに捕まえようと追いかけたのですが、その瞬間に外猫ポリスと鉢合わせ。
私がポリスに気を取られている間に駆け去っていきました。
陸はそのまま帰ってくる事はありませんでした。
猫には猫の世界があって、それぞれが自分なりの考えを持っているのですね。
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さて、最初のとらから始まって、12匹まで増えた猫宅ですが、実はこのとき既に、更なる匹の予備軍が外に控えていました。
ちゃーの子で、外猫の風が、お母さんになっていたみたいなのです。
このお話は次回に――
そして、これから猫宅には、予想もつかない出産ラッシュが起こるのです。
――写真について――
1枚目(扉):空
4枚目:空
作:女神
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――次話――
44の物語、今回は空の子達と、外猫・風の話。
猫宅生まれの4匹は、里親を探すも難航。
可愛い盛りの子猫は、結局猫宅の住人に――
そして、ちゃーと同じ時期に妊娠しいた風が、子猫を連れてやってきました。
保護を試みた私――
15ニャンになった猫宅でした。
――前話――
44の物語、今回は外猫さん。
猫宅にいる2匹(華と雪)の母は、外猫のちゃー
そのちゃーにも、お母さんがいました。
外猫には外猫の世界があって、そこにはドラマがあります。
ちゃーの存在は、やがて猫宅に影響してきます。
6ニャンが、44ニャンになるきっかけにも。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載の1話目です――
44匹の猫が住む家、その名も『猫宅』
今日は保護した猫たちのために、専用の家『猫宅』を借りた飼い主さんのお話です。
1匹ずつに物語があって、今日はその猫宅住まいの最初の1匹目を保護した時のお話。
さて、44の物語、完成するでしょうか?
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