私の空、マナ!撮影&文:あおい空
さて第3話で、私が仕事から帰ると、マナが留守番をしていたにも関わらず、家の中のもの全てが1ミリも動いていないこと。そしてトイレをした後もないことを書きました。覚えていますか?
この事実が何を意味しているか?
それはこれからお話する、猫用ケージと深い関係を持っています。
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もちろんケージはペットショップに見に行きました。実家の物置には、前の年に亡くなった2匹のフレンチブルのサークルも仕舞ってありました。しかしネコ用も、フレンチブルが使っていたケージも、小さなマナは易々と柵の間を通り抜けてしまいそうです。
この時は、もう少し体が大きくなってからでもいいかなと購入を見送りました。
それまでのつなぎとして、キャットキャリーもあることを教えてもらいましたが、こんな狭いところで何時間も留守番出来ない、させたくないと思いました。
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そもそも私はネコは自由な生き物と思っていますし、この狭いアパート自体、ケージを置く場所が見つかりません。小さなキッチンと小さなユニットバス、そして部屋は1つしかありません。
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あ、でもこのアパート、使いがってはいいのですよ。押し入れと天袋、部屋の片側は頑丈な長い棚があります。ベッドでの生活が長かった私ですが、ここに引っ越してからは、布団を床に敷いて寝るようになりました。こんな狭い部屋にベッドを置けば、掃除がしにくくて仕方ありません。
しかし!この布団を敷いて寝るスタイルは、色々と問題が出たけど、楽しいエピソードもたくさんありました。それはまたいつかお話します。
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ちょっと横道に逸れましたが、何が言いたいかというと、それくらい狭い空間なのだということです。
ケージを置かない生活は、今から振り返ると大変なことも多いのですが、ネコと暮らすには、いえ同居するには、そう悪いものでもありません。
狭いと、結びつきが強くならざるを得ませんからね。ましてや他に家族がいないわけですから。
私はいつも自分のことを同居人と呼んでいます。マナから見た同居人という意味です。そう呼ぶようになったのは、アパートの玄関に入っていた、貸し主さんからの1枚のビラがきっかけです。
――こんなビラでした――
『この度、5月から猫同居型アパートにという貸し主の意向をお伝えします。以前にも1度お伝えしたことがあるかと思います。入居者様でこの意向に反対の方がございましたら、○○不動産まで御一報をして下さいますようお願い申し上げます』
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このビラが入っていたのは3月で、5月になってすぐに別のビラが玄関に入っていました。
――これが、追加のビラです――
『反対の入居者様がいないため、お知らせした通り、5月1日より猫限定同居型アパートとさせていただきます』」
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このときはまだ私は、マナがうちに来るなんて思ってもいません。
でも、このビラは嬉しかったです。
「仕事があるし、今はネコを飼えないけど、将来いつか飼えるんだ」
そんな希望に、胸が膨らんだのです。
そして、この時初めて、ネコと同居という言葉を知りました。
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私は家主さん、が入居者集めのために猫同居型にしたのではなく、ネコが大好きな人だからそうしたのではないかと、今も淡い期待と妄想を抱いています。何でも良いように考える思考の私は、ネコ好きな優しいアパートの貸し主さんを思い浮かべているのです。いつかお会いできるといいですねと思いながら。
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またまた話が横にずれてしまいましたが、とにかくケージを置かない生活をスタートが始まったわけです。
会社に行く朝は、いつも戸を開けた時に子ネコが外に出ていないことを何度も確認しなければいけませんでした。ネコさんはカクレンボの名人ですからね。
足音もしないネコさとのカクレンボには、おそらく勝ち目はないでしょう。
「もういいかい?」
「ニャー(まーだだよ)」
どう考えても、負けることは必至です。
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誤って外に出してしまおうものなら、もう子ネコとの生活がなくなることも必至です。
部屋の中以上に、探すのは困難です。というか不可能です。
「ケージを置けば、毎朝のドキドキも解消されるんだろうな」
そんなことを思う毎日でした。
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小さな小さな日常の積み重ねは、飼い主とネコとの信頼関係としても積みあがっていきます。後のその信頼関係がどれほどのものか、実感するときがくるのですが、それはまた改めてお話ししたいと思います。
犬と人間の信頼は『ハチ公物語』を始めとした、数多くの実話や物語で目にしますよね。さてさて小さなマナと同居人には、どんな関係が築かれていくのでしょうか?
楽しみにしていて下さいね。
――二人の出会いは突然に(6/10)つづく――
作:あおい空
▶あおい空:記事のご紹介
構成:高栖匡躬、樫村慧
――次話――
――前話――
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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