ライオンになる……、はずだったのに……
これだけの数の動物と一緒にいると、いつも何がしか、おかしなことが起きるものです。何しろ皆が皆、物言わぬ相手ですからね。
今回はこの7匹の中の1匹、メインクーンのチャーのお話をしようと思います。
「茶太朗」ことチャーは、メインクーンのブリーダーさんのところで繁殖用として育てられた子です。生い立ちからしてチャーは面白い子なのです。
チャーがうちに来るまでのお話は、以前にブリーダーさんの記事として書いていますので、詳細はそちらをどうぞ。
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さてそのチャーですが、うちに来た時から、我が家に元々居た猫にも犬にも友好的で、誰ともうまくやれるとても可愛い子です。朝は、私を起こしにやってくる甘え上手です。
そんなチャーをお正月明け、シャンプーをしてもらいに、動物病院に連れて行ったときの事でした。ずっとお世話になっている動物病院では、シャンプーだけもしてもらえるのです。
病院にチャーを預けて、私だけが家に帰ってくると、獣医さんからの電話ありました。
「茶太朗君ですが、麻酔をかけても良いでしょうか?」
とのこと。私は何かあったのかと、驚きました。
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獣医さんは続けてこう言いました。
「大量の毛玉が、地肌に密着しているのでシャンプーが出来そうにありません。丸刈りにした方が良いと思うのです」
猫は麻酔をかけてシャンプーカットをすることも多いのだそうです。私はてっきり何か大変な病気にでも見つかったのかと驚きましたが、毛玉のためのサマーカットだと聞いて、ホッとすると同時に、別の意味でびっくりしてしまいました。
丸刈りをしないといけないほどなの? ――と。
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これがチャー
メインクーンはフサフサです
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メインクーンはそもそも脂っこい猫種で、毛玉はできやすいのです。
チャーはコーミングは好きでしたが、こちらも6匹もの犬猫と一緒にいると、いつもチャーの毛玉を気にすることもできません。
しかも丁度その頃は、高齢の猫のお世話と、年末年始で忙しかったことも重なって、チャーのコーミングをサボってしまいました。見るからに毛玉が出来ているのには気づいていたんですけれどね。
チャー本人も気にするそぶりもありませんでしたし、シャンプーすれば大丈夫だろうと思っていました。もしもこの毛玉をずっと放置していたら、きっと全身毛玉だらけになって大変なことになったことでしょう。今回丸刈りの話になってしまったのは、私がシャンプーと櫛入れをサボってしまったことが原因なのです。
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この動物病院では、猫に麻酔をかけてシャンプーカットをする場合は2万円、麻酔なしのシャンプーカットは1万円でした。
トリミングサロンよりも高めなのは、全てを獣医師の先生がやってくれるからです。
幸いにも今回のチャーは、先生の判断で麻酔なしのシャンプーカットでした。
チャーがお利口さんでいてくれたおかげで、チャーにもお財布にも、負担が少なくて済みました。
さて、その丸刈りですが、私の頭の中では男の子であるチャーは、立派な雄ライオンになることを想像していました。顔は毛が風になびき、体は体の形がはっきりわかるほどの短毛な雄ライオン。
しかしお迎えに行って、チャーを一目見た途端、もう笑うしかありませんでした。
なんとチャーは、雄ライオンではなくて、雌ライオンになってしまっていたんです。
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せめて顎の下の毛は、もう少し残してもらいたかったなぁ、としみじみ思いました。
まあでも、その姿がとても面白くはありました。
本人はどう思っていたのでしょう?
「寒っ」と思ったかもしれませんね。
真冬の時期の刈り上げですからね。
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こんな風に
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まるで雌ライオンに
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それから、チャーを連れて家に帰ったのですが――
またそこでも一騒動が待っていました。
チャーの姿を見て「誰だ!」と思ったのか、他の猫がシャーシャーするのです。
思いがけずシャーシャー言われてしまったチャーは、寒いのと相まってか、丸まってしまって、今までやったことのなかった香箱座りまでしていました。
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日頃チャーと仲良しの、ゴールデンリトリバーのロン君までもが、正体を確かめようとクンクンと匂いを嗅いだほどです。猫は見た目、犬は匂いで確認するんだなぁとあらためて感じました。
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これを書いている現在、チャーの毛はまだ毛は生え揃っていません。
しかし、雄ライオンっぽくなって、なかなかかっこいい姿になりました。
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これが現在の
チャーです
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先生によると、半年くらい経てば、綺麗に毛が生え揃うそうです。時間さえ立てば、現在の可哀想な姿から、元のメインクーンらしいフサフサした優雅な姿に戻れるんですね。
でも、チャーには申し訳ないのですが、もしかしたらまたサマーカットしてしまいそうな自分がここに居ます。何と言っても、お手入れがしやすいですし、夏の暑い時期にはもってこいですからね。
――おしまい――
作者:ゆきねー
▶ 作者の一言
▶ゆきねー:猫の記事 ご紹介
▶ゆきねー:犬の記事 ご紹介
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長毛種の猫の丸刈りの様子は、こちらの記事でご覧になれます。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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