もう一度、うちの子がうちにくるまで(猫)|No.2 - 2
保護した子猫は、毎日大きくなっていきます。
早く里親を探してあげなければと、作者は思いました。
しかしそれは、難航しました。
子猫はめちゃくちゃに可愛いくて――
「我が家で飼うのが運命なのかもしれない」
しかし、ようやく癒えかけたペットロスの蓋が開くことが恐い作者でした。
今、ペットロスの最中である|苦しくて仕方がない|新しい猫を迎える勇気がない|次の子を迎えた方の心境は?|経験者のお話を聞いてみたい
さて、息子が連れてきた子猫へのケアを始めた私たちです。
ここからは何を置いてもノミ取り作業です。
野良ちゃんの子猫は、毎回毎回ノミの数が凄いのです!
しかし、我が家の他の猫に付いてしまったら大変になりますから、この作業が終わるまでは何も出来ません。ノミ取りをしてると、子猫は不安なのか『ピィピィ』か細く鳴きました。その都度「怖くないよー」「ここは安心して大丈夫なんだよー」と優しく声を掛け、撫でながら夫婦でノミ取りを続けました。
お迎えした時間が夜12時を回った頃でしたが、その作業が終わる頃にはもう1時を過ぎていました。
子猫は目がキラキラしていて、身体の動きもしっかりとしていました。
離乳食をあげてみるとよく食べました。次にトイレを用意したらすぐにおしっことうんちをしました。とてもお利口さんです。
しかしまだ不安なのか、心許無くケージの端っこに身を置いていました。
ふかふかのタオルで寝る場所を作ってあげると、少し穏やかになって眠りについたのでほっとしました。
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一息ついての子猫の感想ですが、めちゃくちゃ可愛いかったです。
そして、久しぶりの子猫の感触でした。
私は、早く里親を探してあげなければと思いました。
次の日の朝、かかりつけ医の病院を受診しました。
やはり生後1ヶ月は過ぎているようです。全身状態も良好でした。昨夜にしたうんちも持参しましたが、寄生虫は発見されませんでした。ノミ取りのスプレーをしてもらい、安心して帰宅しました。
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命のリレーを繋げるためにも、まずは子猫をよく観察しなければなりません。生後1ヶ月を過ぎていても、子猫を育てるのはとても緊張します。愛らしい姿に仕草に癒されながらも、里親さんにお渡しするまでは、頭の中は冷静さの方が優位に立ちます。
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子猫は初日同様に、排泄は自分でトイレに行きました。うんちおしっこの量、回数、形、色ともに問題はなさそうです。様子を見ながら5、6時間おきに餌。それもよく食べました。
毎日体重を計ります。毎日大体10〜20グラム増えて順調でした。
健康優良児です。
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ひと通り遊ぶと30分くらいで眠くなっちゃいます。
甘えてきて撫でてやるとゴロゴロ喉鳴らしコテっと電池が切れちゃいます。
「まだ1ヶ月だもんなぁ」
私は子猫を撫でながら、愛情込めて声を掛けてあげました。
「とっても可愛いね」「みんなに沢山愛される子になるんだよ」「健康で長生きするんだよ」「絶対幸せになるから大丈夫だよ」
さて、里親探しですが、私はうちに来た次の日の朝には、何人かの直接仲の良い猫友、猫好きさんにラインで子猫の写真を送りました。個人でやってる事なので、団体などを通さずに、周囲の人に声を掛けて信頼出来る里親を探します。
やがて1人が手を挙げてくれたので、これで肩の荷が下りると思っていたのですが、残念ながらその方は、ご家族の反対があり破談に。
その後、もう1人希望者が現れましたが、結局その方も難しいということに――
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「我が家で飼うのが運命なのかもしれない」
そんな空気は家族でありました。しかし私は、どうしても飼うということを決められませんでした。
可愛いわはにゃを若くして死なせてしまった私には、子猫を飼う資格など無いし、新しい子で心の穴を埋める事など出来ないと思ったのです。
「こんな思いのままこの仔を迎えても、幸せにしてあげられる訳がない」
そう思いました。「他の家族に迎えてもらった方が、この仔の為だ」とも。
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そして――
ペットロスの蓋がまた、大きく開いてしまったのです。
供血ドナーを知って、ようやく閉じようとしていた苦しみと慟哭の蓋が……
「私が飼いたいのは、わはにゃしか居ない」
そんな出来もしないことを考えてながら、私は涙を流してしまいました。
しかし――
そんな私の思いとは裏腹に、この仔は私にとても懐いていて、私が抱っこすると「ゴロゴロ」と喉を鳴らし甘えてきました。それは家族の中で私にだけです。
勿論私が長く一緒に居るからですが、それまでミルボラしてきた子達とは違う、私にだけへの特別な懐き方でした。
私は、その時間がとても愛おしく感じました。
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戸惑い、悩み、苦悩し、葛藤しながら、その仔の事を何度も主人と話し合いました。
――これから飼うとしたら、必ずわはにゃと重なってしまうことだろう。
――そうしたらもう、あの ”蓋” は二度と閉まらないかもしれない。
ペットロスと真正面から向き合うことは出来るのか?
今後この仔が病気や怪我をしたら、私は仔の猫生を最期まで背負うことが出来るのか?全ての葛藤を乗り越えて、沢山愛情を注いでやることが出来るのか?
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私たちは、とことん話し合いました。
「この仔がうちに来たのは運命だ」
と主人は言いました。そして「君が前を向いて飼うと決めるのならば、何があっても守る。一緒に頑張る。応援する」
私は主人のこの言葉で、「この仔を愛し抜く」と決心しました。
それは、息子の友人から渡された命のバトンでもあります。
思えばわはにゃも、同じルートでやってきた子でした。
わはにゃが捨てられて保護されたのも、息子の友人が住んでいる地域だったのです。
さて、子猫の名前ですが、ミルクボランティアは里親が見つかるまでの間、子猫には仮の名前を付けあげます。私はその時期やっているテレビドラマの主人公から取り、子猫に凪(なぎ)と仮の名を付けました。
こんな経緯だったので、元々は軽い気持ちで付けた名前です。
しかし凪の漢字の意味を調べると、『風や波が静まること』とあり、とても良い名前だと思いました。
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きちんと名付けようと家族会議のを開いた時、息子も娘も自分が推す名前の候補を決めていました。私は凪の名をそのまま使いたいと思いました。
我が家の家族は猫好きばかりで、あまりに好き過ぎて、皆自分のこだわりのある名を主張して一歩も引きません。仕方がないので、3枚の紙にそれぞれが推す名前を書いて折って、子猫本人(本猫)に選ばせることにしました。
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子猫が咥えた紙を開くと、そこに書いてあったのは『凪』の文字。
家族みなで笑いながら、子猫の名は『凪』に決まりました。
『風や波が静まること』
その名の通り、凪は家族へのメッセージのように感じました。
正式に我が家の子になった凪ですが、毎日どんどん出来ることが増えていきます。
今まで登れなかった場所に、ジャンプで登れるようになり、かなり速く走れるようにもなりました。目の動きもしっかりしてきて、遊ぶおもちゃも増えてきています。
今は甘えるよりも、起きてる時はとにかく「遊びたいのー!」という感じです。
そして眠くなってくると、ピタッと私に身体を付けて寝てしまいます。
とても愛らしくで、可愛いです。
先住猫3匹とも、追いかけっこをし始めました。とても微笑ましいです。
私は凪を迎えて良かったと思っています。
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――どんどん大きくなる凪へ――
いたずら増えてきたね。コードを囓っちゃダメよ(笑)
あなたの猫生が幸せなものになるように、家族みんなで愛するからね。
何があっても、どんな時も、ずっと――
――凪がうちにくるまで(後編)おわり――
作:Rinyan
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こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
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――もう一度、うちの子がうちにくるまで(猫)・次話――
記事の募集中です。
ご応募をお待ちしています。
――もう一度、うちの子がうちにくるまで(猫)・前話――
凪(なぎ)を迎えた頃、私はひどいペットロスの中にいました。
特別だった猫わはにゃを、若くして亡くしたからです。
リンパ腫を寛解した矢先でした
家族が帰ってくる夜まで、一人家で涙に暮れる日々。
そんなとき、息子に一本の電話がありました。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――もう一度、うちの子がうちにくるまで(猫)・1話目――
21歳と6か月生きた猫、ボスを亡くしたかあちゃん。
さみしい、さみしい、さみしい……
ついボスを探してしまう、毎日
そんな時、ボスが夢の中に出て来て言ったのでした。
『俺幸せだった次の子迎えて』
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猫を迎えてから、闘病と看取りの記録
21歳と6か月で天国に行ったボス。
そのボスが家に来る時のお話。
猫アレルギーだったかあちゃんは、それからずっとボスと家族でした。
昔のことって覚えている?
自分のことは忘れたけど、うちの子が来た時のことだけは覚えているよ。
21年と半年、ずっと一緒にいた愛猫の旅立ち。
それからかあちゃんは、泣いてばかりの日々でした。
そして半年――
かあちゃんは思います。
ボスが、生きた事を――
ボスが、最後まで生きる事を諦めなかった事を――
書き残しておきたいと――
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犬のもう一度、うちの子がうちにくるまで
先代犬との別れを経験した飼い主が、もう一度犬を飼おうと思う心の揺れを描写したエッセイです。
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捨て猫を拾ったらどうする?
捨て猫にはあるひ突然遭遇するもののようです。いざ遭遇してしまったら、どうしたら良いと思いますた? 体験談をまとめました。
「助けてあげたいけど、うちで飼えるのかな?」
そう思う方々に「大丈夫だよ」と、背中を押してあげる体験談があるといいなと思ってこの記事を作成しました。
もちろん、ハッピーエンドのお話ばかりではありません。
しかし、色々なケースを知ることで、本当に安心ができると思うのです。
読んでみてください。
どの記事にも、愛情が溢れています。