猫の話をしようか

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【保護猫|多頭飼い】天使-s がやってきた ~猫宅のお話をしましょう(その24)~

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猫宅・44の物語 24話
今回のお話は:天使 - s

猫宅のお話

撮影&文|女神 扉は天使ーsみんなでお昼寝
 

今回は天使ーs(テンシーズ)のお話をしようと思います。

――2020年の6月は、雨の多い月でした。
その頃我が家には、くま、ブサ男 キジ しろっくろっといった外猫たちがご飯を食べに来ていました。くまは以前のお話にも登場した我が家周辺のボス猫で、ブサ男はくまの後のボス猫で、今回が初登場です。

そんな我が家に、キジトラ柄の2匹の猫が通ってくるようになりました。どうやらご飯が欲しいようです。しかしその2匹は人馴れしていないので、離れて見ることしかできず、性別も分かりません。私たちはその子たちの事を、お客さんと呼ぶようになりました。

やがてそのうちの1匹のお腹が、大きくなり始めました。
我が家の玄関先は、サークルなどで猫達が寝泊まりできる様になっているのですが、その頃は未だ観葉植物がずらりと並んでいました。

ある日の朝、何気にその観葉植物を見ると、鉢の間にお客さんが寝ていました。
私は「?」と首をかしげました。何か様子が変です。
よくよくその子のことを観てみると、なんと側に3匹の赤にゃんが一緒に居ました。
お客さんはおどおどした様子で、赤にゃんを守っていたのです。

「大丈夫取らないよ」
私はお客さんにそう言い聞かせながら、ご飯を差し出してその場を離れました。

 

ある日の夜のことでした――
物凄い稲光が瞬いたと思うと、雷の轟音が鳴り響き始めました。
私は雨風が当たらないように、外に出てお客さんと赤にゃんのいる所にガードを作ってあげました。
「これで大丈夫」
でも、思いは上手く伝わらないものです。お客さんにとってはそれが怖かったのか、それとも赤にゃんを取られると思ったのか、それを切っ掛けに私を警戒をするようになってしまいました。

次の日の朝のことです。窓から外を見た義母が言いました。
「白い小さいものが落ちてるけど、あれは何かな?」と――
主人がそれを見に行くと、なんとお客さんの赤にゃんの内の1匹で、もう亡くなっていました。

お客さんはあの嵐の夜に、子供たちを引っ越しさせようと思って、途中で落としてしまったのかもしれません。その子の体には、3か所の噛み傷の様な跡が残っていました。

――残りの赤にゃんはどこに?

以前私は、お客さんが近くの家の倉庫に入って行く姿を見たことがありました。そこでそのお宅にいるのではないかと思い、確かめに行きました。しかし赤にゃんたちは見つけられませんでした。

結局、発見できたのは、亡くなってしまった白い赤にゃん1匹だけ。他の2匹もそれ以後、姿を見る事はありませんでした。

赤にゃんが居なくなってからは、警戒心が解けたのでしょうか。お客さんはだんだんと私に心を許すようになり、少しずつですが、甘えるようになりました。

――それからのことです。

私と娘はお客さんに避妊手術を受けさせるようにと費用を準備していました。しかし驚いたことに、2か月も経たない頃に、またお客さんのお腹が大きくなり始めたのです。

今度は前回のように、生まれてから引っ越しをさせるようなことはさせたくはありません。私たちは、初めから産箱を何個か用意しました。主人に訳を話して、玄関先を提供してもらえるように説得しました。

やがてお客さんのお腹は、はち切れんばかり、物凄く大きくなりました。

そろそろ産まれると思った私は幾度となくお客さんを産箱に入れてあげました。
――が、こちらの思うように、簡単には入ってくれませんでした。

 

産箱に出たり入ったりを繰り返していた2020年10月4日の朝のことです。
家の外に出た主人が、大きな声で「大変 赤にゃんが産箱から出て来てる」と騒ぎ始めました。なんとお客さんが出産をしていて、しかも産箱が小さかったようで、あかにゃんがそとに溢れ出てしまったのです。
まさか6匹も産むなんて、思いもしていませんでした。

私は慌てて手袋をはめると、外に出た小さな小さな赤にゃんを持ち上げると、お客さん(お母さん)のいる所へと返しました。

日を追うごとに、赤にゃんの身体は大きくなっていきます。それと同時に、当然ながら動きも活発になっていきます。

私は赤にゃんたちの住まいを大きくしてあげることにしました。丁度その頃、皆様から寄せられた支援物資の大きな箱があったので、それと取り替えることにしたのです。

住まいが大きくなると、今度は赤にゃんたちは下を歩くだけではなく、上へと飛びかかろうとし始めました。
「やはりそれでも小さい」
そこで今度はサークルを購入しました。

――これで一安心。しかし、落ち着いたのも束の間でした。
私たちが予想していたよりも、赤にゃんたちの成長が早かったのです。私たちが買ってあげた、サークルはアッという間に小さくなってしまいました。

 

次に私達は、猫宅にある大型犬用のサークルを持って来ました。このサークルは以前茶々と言う子に用意したものでした。そのサークルの中にダンボールハウスを置き、トイレも用意し、上部を100均で売っているワイヤーラックで塞いで、屋根を作りました。そしてお客さん(お母さん)だけは自由に出入りできる様に、端の一角だけは開けておくことにしました。

赤にゃんたちは外に出て遊びたいところでしょうが、この状態でしばらくの間我慢です。
生後6ヶ月にならないと、去勢、避妊手術をしてくれませんからね。

――そうやって2か月が過ぎました。
この頃になると、私はお客さんの事をおかしゃんと呼ぶようになっていました。

私はまずおかしゃんに、避妊手術を受けてもらうことにしました。そうしないと、またお腹が大きくなってしまいかねませんからね。

幸いおかしゃんは以前のようにおどおどした感じもなく、すんなり抱かせてくれるまで私に慣れてくれましたので、病院に行くのもそう苦労はありませんでした。

私たちは、赤にゃんが生まれた直後から、赤にゃんたちの行き先も考え始めていました。なにせ6匹ですから、全員をうちに残すわけにはいきません。私の家には週に1度ヤクルトレディが来てくれます。幸いその方は猫好きな方で前向き方向に考えて下さいました。それと同時に、Twitterのフォロワー様からも、お声がけがかかりました。

普段ならこれでなんとかなるところです。しかしこの年だけは違いました。
当時はコロナ禍の中です。県外をまたいでの移動は難しく、遠方の方への譲渡は諦めざるを得ませんでした。

結局生後2か月の段階で、6匹中2匹はヤクルトレディが里親様に決まり、1匹は家に迎え入れる事を主人が承諾してくれました。

 

残った子は3匹とお母さんです。

3匹には星(せい)、光(こう) 、雲(くも) と名付けました。星は男の子で、光と雲は女の子です。

そして生後6か月を迎えた4月のこと。
私は光と雲に、避妊手術を受けてもらうことにしました。星はそのままです。看護師さんに聞いた所、外飼いの男の子は去勢手術はしない方が良いとのことでした。

先に手術を受けさせたのは光でした。以前私は光がオス猫に追いかけ廻されているのを見た事がありましたので、早い方が良いと思いました。確か、4月の10日過ぎだったと思います。

光の手術は無事に終わり、翌日は雲の番です。
朝から雲を病院に連れて行き、娘がお迎えに行きました。
娘が病院に行くと、先生は意外なことを告げられたそうです。なんと、雲は2匹の赤にゃんを妊娠していたそうなのです。小さな小さな赤にゃんで、多分出産していたとしても育たなかっただろうと先生は仰ったそうです。

お母さんになれなかった雲――
「ごめんね」
私は帰って来た雲に、そう伝えました。

 

そうして2020も終わりを告げようとしていた頃――

ブサ男が、1匹の子にゃんをどこからか連れて来ました。と、同時にもう1匹子にゃんが現れました。折角2にゃんを里子に出したのに、その代わりにまた2にゃんが増えてしまいました。

その時のお話や、ブサ男がうちに来た経緯は、次話で詳しくお伝えしようと思います。

今回は外猫さんのお話なので、我が家にやってくる外猫さんをご紹介しておきます。
以下が、このお話の時点の外猫さんです。

くま、ブサ男、きじ、麦、お客さん(おかしゃん)、星(せい)、光(こう) 、雲(くも) 、そして最後に増えた2匹(次回ご紹介します)

麦はずっと猫宅の住人でしたが、脱走して外猫になりました。
全部で10ニャンです。それとは別に、21話に登場したしろっくろっが、猫宅のベランダを寝床にして暮らしています。

以下は猫宅にいる猫たちです。

とら、茶々、華、雪、天、月、あずき、空、みっけ、てっぺい、真白、ぱんだ、小麦、風子、キキ、ララ、四月、ミント、 オレオ、ラテ、モカ、ココア、チョコ、こぱん、バニラ、うさぎ、空(そら)、ポッキー、六月(ムック)、カール、チェリー、ナッツ、みかん、あんず、きなこ、かんな、やさい、いろは、鈴、チーズ。

猫宅は全部で40ニャンです。

 


手前がおかしゃんでその右が星
その上が光、その左が雲

 

――猫宅のお話をしましょう|24話・つづく――

作:女神
 ▶女神:全作品のご案内
  

Withcatは猫宅の主催者、女神さんを応援しています。
アマゾンの欲しいものリストから、猫宅にフードやシートを贈れますよ。
※送り先は、『猫の秘密基地』をご指定下さい。 
猫宅

――次話――

猫宅のお話|その25

44の物語、今回はくまとブサ男のお話。
先代ボスのポリスからその座を奪ったくま。
そのくまの前に、ブサ男が現れました。
「喧嘩は禁止」
教えを守っていた2匹でしたが、ある日くまが姿を消しました。
そしてブサ男は事故に――
くまを探しに行ったのかい?

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――前話――

猫宅のお話|その23

猫宅のお話|その23
44の物語、今回は五月(いつき)との別れ。
ある日猫宅に行くと、見たこともない血だまり――
それが闘病の始まりでした。
『猫伝染性コロナウィルス』
口内炎でも頑張って食べていた五月
その日――
いつも玄関に1番に迎えに来る五月の姿がありませんでした。

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――この連載の1話目です――

44匹の猫が住む家、その名も『猫宅』
それは、保護した猫たちを住まわせるために借りた家。
猫には1匹ずつに物語がありますね。
これは最初の1匹、とらのお話。
さて、44の物語、完成するでしょうか?

 猫宅のまとめ読みです

 

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