チロが去った今、『みーみー』は最年長。13年も家にいると、室内野良の流儀にも変化が現れます。しかしどこまでも『みーみー』はマイペースなのです。
また猫を保護するお話
前話では『ガリガリ君』の登場までを書きました。
その『ガリガリ君』と同時期に、駐車場に赤ちゃん連れでやって来た、白黒パーマン柄の猫がました。私は「子猫は急がないと」と思いました。何を急ぐかといえば ”保護” です。人に懐く幼いうちに保護した方が、お嫁にいってもらいやすいからです。
私は早速捕獲を試みました。
先ずは赤ちゃんを保護――
うちに連れて帰ると、子猫は大人猫に怯えていました。スポイトミルクから始まって離乳食へ。
野良の子は警戒心が強くて、まだ離乳期でも食べられる物があれば食べてしまいまいますし、餌を守るため威嚇もします。タオルに包んでスポイドミルクを上げていると、好奇心満載に猫が集まって来るので、子猫は更にパニックになります。まるで闘いのようなミルク上げでした。
子猫は2〜3週間は家にいたでしょうか。会社に出入りしている業者さんに嫁入りが決まり、先方で避妊はして下さるとの事でしたので、子猫のウエットが充分食べられるようになった時点でお渡しをしました。
今は白い長毛の、フワフワ猫に成長したそうです。
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続いてお母さん猫を保護――
お母さんを保護したのは、子猫から半月は過ぎていました。すぐに病院で検査し、同時に避妊手術を。1週間ほどは子猫と同じ屋根の下に居ましたので、対面をさせてみましたが、双方が落ち着いていない状況だったためか、親子である事をわからないままだったと思います。
当時の私は親子の対面よりも、子猫を里親さんに渡す事ばかりに一生懸命でした。
『パコ』を保護した
お母さん猫は白黒パーマンなので『パコ』と名付けました。『パコ』はビビリさんで、『みーみー』と同じように納戸部屋の押し入れに籠りきりで、2〜3ヶ月は出て来ませんでした。今も触らせてくれません。私が寝たふりをしていると髪に戯れたり足先を舐めたりします。
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『パコ』も『ガリガリ君』も、気が付いたらうちの子になってたと云う感じでした。
私としては予定外の住人増なので、途方にくれていましたが、同時に頭の中の半分では、背負って行くしかないと思っていました。
また住人が増えてしまいました。何と7匹です。
チロ(13歳)、みーみー(11歳位)、ママニャン(15歳位)、じゅしゅ(3歳)、亀子(3歳)、ガリガリ君(10歳位)、パコ(1歳)
もう増やせない。困った状態です。
『チロ』との別れ
2017年になりました。この年にはまた悲しい出来事が。
9月25日に『チロ』が亡くなったのです。14歳でした。
『チロ』には後悔が一杯です。2003年秋にウチに来てから『まん月』のいい遊び相手でした。仲良しがいなくなってからは寂しかったと思います。『じゅじゅ』ともよく遊んでくれました。
『チロ』に変化があったのは、丁度『ガリガリ君』と『パコ』が来た頃でした。私としてはキャパオーバーなので、誰か具合が悪くならないよう気をつけなくちゃと思っていた矢先です。でも実際は、あまりの慌ただしさに、その事をすっかり忘れていたように思います。
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寝ている『チロ』を見て、「おばあさんになったな」とは思っていました。またブラシをかけていて「少し痩せたかな?」とは思ったこともありました。しかしそれ以上のことは考えませんでした。
その日、どうしてなのかはわかりません――
私の布団の足元で隅っこで寝ていた『チロ』は、翌朝起きてきませんでした。
大人しく穏やかな子でした。甘えっ子だったのでしょうが、充分には応えてやれませんでした。今も『チロ』には申し訳なかったと思っています。
みーみー(11歳位)、ママニャン(16歳位)、じゅしゅ(4歳)、亀子(4歳)、ガリガリ君(11歳位)、パコ(2歳)
別れ|チロ(9月25日死亡)
『チロ』が去ったために、『みーみー』がうちに来た時にいた先住猫は誰もいなくなりました。
『ママニャン』との別れ 2018年~
2018年にも別れがありました。
12月20日に『ママニャン』が亡くなったのです。推定18歳。
『ママニャン』は前年辺りから少しずつ痩せてきていました。猫は冬が近づくと脂肪を蓄える時期に入るのですが、老齢になるとそれができなくなってきます。この年の秋は『ママニャン』がそうでした。『ママニャン』はエイズを抱えていたので、初めはそれが発症したのかと思いました。しかし先生に見て診て頂くとそうではなくて、「老化が進んできたのでは」との事でした。
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しかし『ママニャン』はまだ食欲があり、出す物は出せたし、走ったり登りもできました。『亀子』は『ママニャン』が大好きで、いつもストーカーのようにつきまとうのですが、その頃の『ママニャン』は、いつものように『亀子』の相手をしてくれていました。
12月に入って『ママニャン』 は『亀子』を寄せつけなくなりました。威嚇したり、追い払って後追いをするのです。『亀子』は戸惑っていました。やがて『ママニャン』 は少しずつ食欲が落ちて、寝てばかりの日が続きました。
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『ママニャン』 は亡くなる2日程前から、私を呼ぶようになりました。撫でてあげるとゴロゴロ喉を鳴らし擦り寄ってきます。そして眠り、また起きると呼ぶ――
その夜も私は、『ママニャン』に腕枕をして撫でていました。そのうちに鳴き声が小さくなって、起きているのか寝ているのかがあいまいになっていました。
「まーにゃ」「にゃん」
呼びかけながら、ゆっくりなでて続けていると返事がなくなりました。寒い夜のことでした。
『ママニャン』は長毛なのにブラッシング嫌いで、毛玉が取りきれず秋にカットをお願いしたばかり。まだ生えそろう前でした。
先生は「エイズの発症ではなく老衰であろう」と云われました。
みーみー(13歳位)、じゅしゅ(5歳)、亀子(5歳)、ガリガリ君(12歳位)、パコ(3歳)
別れ|ママニャン(12月20日死亡)
とうとう『みーみー』が、一番年かさの猫になってしまいました。
それでも保護は続きます
ここからは家族に増減はありませんが、相変わらず猫の保護と、里親探しは続いています。
2019年のこと――
5月12日の朝出勤すると、駐車場に産まれたばかりの子猫がポツンと落ちていました。近づくと驚く程大きな鳴き声をあげました。すぐ拾い上げて、会社に時間を貰いミルクとスポイドを買いに行きました。
小さな箱にタオルに包んで入れました。この大きさなら3時間おきミルクだと思いこれから先のことを思い悩みました。
自分の年齢を考えると、自宅で飼うのは不安かありました。
その時同僚が飼ってもいいと云ってくれたのです。
私よりずっと若い人です。夕方にはご主人もいらして約束してくれました。
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翌日、病院へ連れて行きお誕生日は10日頃だろうということでした。
臍の緒もついていて、手足に瘡蓋がありました。恐らく産まれた場所が、柔らかな床ではなかったのでしょう。
哺乳瓶と粉ミルクを買い込みその週はスポイドで次は哺乳瓶で飲ませました。
生きる意欲たっぷりの子でとても順調でした。3時間おきから4時間になり、夜は寝るようになり優等生でした。2〜3週間は連れて仕事に行きました。飲めば寝てしまうので何とかなりました。
余り寝なくなって動き回り出した頃、昼間は友人に預かって貰いました。連れに来てくれて迎えに行く毎日でした。その後留守番もできるようになり、『ガリガリ君』がお守り役でした。とてもいいお父さん振りでした。
7月14日、1500gに達したのでお嫁にいきました。
室内野良とは
今いる5匹の猫たちは、どの子かに特に思い入れがあるというわけでもなく、どの子も可愛いです。しかし日によって、気遣ってあげる子は変わります。その日いじけている子がいればその子。お腹がゆるければその子。みたいな感じです。
うちの子たちはみんなバラバラですが、今や一番の古株となった『みーみー』は、皆から一目は置かれているようです。
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冒頭にも書いたのですが、『みーみー』と『パコ』は室内野良です。
私が思うに、室内野良というのは段階があります。
第1段階|触らせない。姿をみせない。
第2段階|触らせない。姿は見せるが、手の届かない所にいる。
『みーみー』と『パコ』は第2段階で、『みーみー』は高い所にいて、『パコ』はテーブルの下にいます。『パコ』は『ガリガリ君』が好きなので、いつも遊ぶチャンスを虎視眈々と狙ってます。傍目からすると思いの他リラックスして、その辺にはべっているような感じです。
ほんの一時、懐いてくれた『みーみー』
室内野良の『みーみー』ですが、過去にごく短い間だけ、私に触らせてくれた時期がありました。あれは2014年頃ではかったかと思います。
突然『みーみー』の具合が悪くなり、食欲が無なって、床に座って私を見上げているのです。何となく目が潤んでいるように見えました。そばに寄っても逃げませんでした。
――目やになし、鼻水なし、咳くしゃみなし。すぐ病院へ。
先生に診ていただくと、熱がありました。病院ではおとなしく注射もされ薬も飲み、爪も切ってもらいました。飲ませる自信はありませんでしたが薬も貰い帰って来ました。
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家では『みーみー』をケージに入れて、リビングを隔離しました。その代わりに普段は開けない私の寝室を開放しました。私は猫アレルギーがあり、それからの喘息もあるので逃げ込む部屋が必要なのですが、緊急事態なので仕方ありせんでした。みんな私がバタバタしているので何事か戸惑っていました。
『みーみー』はとってもお利口で、威嚇もなく何と私に甘えてもくれました。薬も飲む事もできました。その甲斐あってか、3日後あたりには熱が下がりました。
「このまま触らせてくれるようになるのかな?」
しかし、そんな私の願いも虚しく、元気になった『みーみー』は、「何するのよ!触るな!」と、元の室内野良に戻ってしまいました。
『みーみー』の脱走癖
実は『みーみー』には脱走癖があります。
風呂場の高窓の網を破り、ガードフェンス越しに網戸を開けよじ登って隙間から外へ。
脱走するとはいっても、ほとんどは庭にいます。日差しをよけながら植え込みの間を移動して、ほぼ寝ているのです。3〜4回はゴハンに帰って来ますが、その隙にドアを閉めようとすると逃げます。
そもそも脱走させないようにすれば良いのでしょうが、私としては精一杯やっているのに『みーみー』の方が一枚上手です。無理やり追いかければ、家に近寄らなくなってしまうかもしれません。
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3歳でうちに来た『みーみー』も、もうおばぁちゃん。牙も抜けて被毛にも艶がなくなりました。もう少し好きにさせていようかなと思っています。
みーみー(14歳位)
2008年2月節分に3歳位で拾いました。
室内野良で今でも触らせてくれません。
じゅしゅ(6歳)
2013年10月、2ヶ月手前位でうちに来ました。
亀子(6歳)
2013年12月、1ヶ月ちょっと過ぎでうちに来ました。
ガリガリ君(13歳位)
迷いネコ。2016年9月にうちに来たときは、骨と皮でした。
パコ(4歳)
2016年11月、1歳位でうちに来ました。
第二室内野良です。
こんな風に、我が家の猫生活は続いています。
ありがとうございました
――お読みいただいた皆様へ――
私ももう歳なので、今いる子たちが最後の猫です。
この子たちの猫生を守れるよういつも祈っています。
長い昔語りにお付き合い下さってありがとうございます。
みんなを思い出して、いい時間でした。
――了――
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作:ちゃりちゃり風太
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――前話――
みーみーと4匹の猫たち|2/3
小さな我が家の猫社会。そこにも出会いと別れがあります。
思い出の猫たちが去り、新しい猫がやってくるのです。
気ままな室内野良の『みーみー』にも、影響が無いわけではありません。
大好きだった『るう』との別れの時がやってきました。
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――この連載の1話目です――
みーみーと4匹の猫たち|1/3
13年前の寒い日、臆病な野良猫を連れ帰りました。
時が経ち『みーみー』と名付けた猫は多頭飼いの最年長に。そして何と『みーみー』は、あの日からずっと室内野良のままです。
室内野良って何かって?
さて、我が家の猫たちのお話をしましょう。
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軽い猫風邪かな?
しかし医師から告げられたのは、意外な病名でした。