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【保護猫|多頭飼い】外猫くまとブサ男 ~猫宅のお話をしましょう(その25)~

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猫宅・44の物語 25話
今回のお話は:外猫くまとブサ男

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撮影&文|女神 扉の写真はブサ男です
 

今回は外猫くまと、ブサ男の話です。

以前、我が家周辺にはポリスというボス猫がいました。くまはある日突然やってきて、そのポリスからボスの座を奪い取った猫です。ポリスとくまはこれまでのお話でご紹介しています。

ポリスのお話

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くまのお話

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あの頃のくまは未だ若かったのか、喧嘩の毎日でした

ブサ男もくまと同じように、ある日ふらりと現れました。

その日私が家の外に出ると、何処から来たのか1匹の大きな白黒のオス猫が居ました。その子の顔を見て直ぐに思いついたのが「ブサ男」と言う名前です。私はその子に「なんて顔をしてるの?」と話しかけました。いかにも不細工で、思わずそう言いたくなる面構えだったのです。
「その傷は男の勲章?」
「お前の名は今日からブサ男だよ」
こうしてその子は、ブサ男になったのです。

 

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ブサ男は喧嘩っ早い子で、ボスをしていたくまにも戦いを挑んでばかりいました。
2匹は目があえば戦闘モード 近づけば戦闘モード。顔を合わせる度に、お互いが威嚇しあって「ウ――」「シャ――」としっぽが膨れます。それ以外でも私の目の届かない所で喧嘩をしているようで、とにかくブサ男は毎日怪我が絶えません。

くまは玄関先を自分の寝床だと思っているらしく、その場をあまり離れる事はありません。(これは先代のボス猫、ポリスもそうでした)
一方ブサ男は、お腹が空くと玄関先にご飯を食べに来る。その度に2匹が鉢合わせと言った感じでした。

 

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2匹は、人間で言うならおでこを擦りあうような感じで「ウ――」「シャ――」となります。この体制が長くなるともう止める事ができません。そうなる前に割って入って喧嘩を止めます。

私はブサ男に「ここでご飯を食べたいならくまに喧嘩を売ってはいけない」と、何度も何度も言い聞かせました。同時にくまにも「喧嘩は禁止」と――

すると面白いことに、そうしているうちに2匹は顔を合わす事があっても、私の前では喧嘩をしなくなりました。決して仲良しこよしではありませんが、喧嘩に発展していくことが少なくなりました。

猫に人間の言葉が分かるのかって? それが分かるようなのです。
犬や猫に名前を付けて呼ぶと、そのうちに犬は尻尾を振ってお返事をするようになり、猫は近寄って来るとようになりますよね。多分それによく似たことだと思います。

 

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こうして2020も終わりを告げようとしていた頃――
前話でも触れたように、ブサ男が1匹の子にゃんをどこからか連れて来たのです。同時期にもう1匹子にゃんが現れたので、里子に出した2にゃんの代わりに、また2にゃんが増えてしまった格好です。

その2にゃんですが――
1匹はグレーの短毛種で、パッと見はロシアンブルーと言ってもいいかと思います。自宅より少し離れた所でその子の姿を見たことがあると、ご近所の奥様が仰っていました。娘はその子にグリムと名付けました。

グリムはうちに来て直ぐ位に、体調不良でご飯も食べられなくなり病院へ。猫風邪との診断でした。猫風邪はかなり強いウィルスで、一緒に居る子達にも伝染するのではないかと心配でしたが、幸いにもそうはならず、グリムは回復しました。

グリム
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そしてもう1匹の子ですが、こちらは本当にどこから来たのかも、どうやって我が家にたどり着いたのかも分かりませんでした。毛色は白黒ハチワレで、その子に着いた名前は平八です。娘曰く「へい!はち!」と声をかけたくなる感じだったので、平八だそうです。この2にゃんは男の子です。

平八
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やがてくまが家を空ける事が多くなりました。3日帰らなくて、ご飯を食べに来ては寝る。今度は5日帰らないと言った感じです。

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段々といない時間が長くなる、くま――
2021年4月9日に現れ、お腹が一杯になったら寝て、また何処かへ――
その次に帰ってきたのは21日でした。その日もお腹一杯ご飯を食べて「そのまま寝るのかな?」と思っていたら、お散歩にでも出かけた様子でした。

 

「その内またお腹が空いたら帰ってくるだろう」
最初はそんな軽い気持ちでいたのですが、それがくまを見た最後になりました。

1週間たっても2週間経っても、玄関先にくまの姿はありません。
出て行く時の姿は、重い病気にかかっている様子もなく、少しは痩せてはいたけれど毛艶は良かったです。

そのうちに私は、「もしかしたらくまは、ブサ男に縄張りを託して出ていったのかもしれない」と思うようになりました。くまが居なくなってから、家の周りにはブサ男以外のオス猫は居なくなったからです。

ブサ男は喧嘩っ早い割に子煩悩なところがあり、目の前に置かれたご飯を子にゃん達に与えて、その子達が食べ終わるのを待ってから自分が食べると言った優しい所もありました。当然ブサ男の茶碗は空っぽになっています。そんな時ブサ男は私にありったけの笑顔でおかわり頂戴と催促します。

いつの間にか喧嘩で前歯が無くなっていました。その大きな口を開けて見えた時の顔が何ともいじらしくて、私は大好きでした。

 

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2021年5月11日、早朝――
気になる一報がありました。主人によると道路の隅で、白黒の大きな猫が事故にあっているというのです。

私その話を聞いて直ぐ、は「はっちん(平八)?」と訊き返しました。するとそれより大きな猫だったとのこと。その時私はお風呂に入ろうとしていたのですが、気になって「見に行って来る」と主人に告げると、主人は「お前は風呂に入っていろ。俺が見てくる」と言って車を走らせました。

数分後に戻って来た主人は、お風呂の窓越しに「ブサ男だった」と言いました。私は直ぐに「倉庫にダンボール箱があるから」と言い、娘に言って出してもらって、その箱で家まで連れてきてくれと主人にお願いしました。主人は一瞬ためらいましたが、直ぐに「よし、わかった」と言って、ブサ男を連れに行ってくれました。

ブサ男の変わり果てた姿を見た主人は、「お前は見ない方がいい」と告げ仕事に出かけて行きました。

お風呂から上がった私は、一呼吸をする間もなく外へ出て段ボール箱のふたを開けました。その姿は痛ましいものでした。幸いにも道路の端の方に居たので、何度も惹かれる事もなく奇麗なままの姿ではありましたが……
「ブサ男、なんであんな所を歩いていたの? どこに行こうとしたの? 帰ってくる途中だったの?」
そう問いかけながら、私はブサ男に最後のご飯をあげました。前日の夕方、ブサ男はご飯を食べに来て満足そうに出かけました。その後の足取りはわかりません。

 

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家に帰ってくると、子にゃん子達に慕われて一緒に寝ていたブサ男。
ご飯が欲しいと大きな口を開けてねだるブサ男。
どのブサ男も忘れる事ができません。

Twitterで書けなかった事があります。いつまでも心に引っかかったままの事です。

実は私はブサ男に「くまを探してきて」と何度も頼んでいました。だからブサ男はあんな行く当てもないような所まで行って、事故に遭ったのではないだろうか?
私はそのことで、自分を責めていました。その事をあるフォロワー様に相談したことがあります。その方は、私のせいではないよと言ってくださいました。
それでやっと私は、泣くことができました。

 

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ブサ男の最後の写真です
 

ブサ男の亡骸は市の方にお願いして引き取りに来ていただきました。歴代の外猫達は市にお願する事に娘と決めていましたから。

くまがいなくなって以来、ブサ男は以前よりも遥かに優しい顔立ちになって来ていました。私は今でも、あの場所でブサ男が寝ているような気がしてなりません。

最後に、外猫ハウスの仲間達のお話です。
くまがいなくなりブサ男があんな事になった外猫達――
丁度くまが帰って来なくなる頃だったと思います。いつものように外猫さんたちにご飯をあげようと用意している時、足元をうろうろする子がいました。

最初はおかしゃんかなと思っていたのですが、よく見ると顔が違います。新しい子でした。おかしゃんと同じようなキジトラ猫――、仕方なくご飯をあげました。
だけどこの子は女の子で、周りに寄って来るオス猫が後を絶たない、このままではまた増えてしまうと思った私は、避妊手術を決意しました。おかしゃんの手術を終え、天使ーsの光(こう) 、雲(くも) の手術を4月に終えたばかりです。

予算がない――、だけどその子はどこへ行くでもなく、我が家に落ち着き始めている。仕方なく5月17日に手術の予約を入れました。そしてこの子を、日付にちなんでいなごと名付けました。

いなご
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新しい外猫はもう1匹。その子もいなごと同じキジトラ柄で、オス猫です。
この子は生まれつきか、片目の眼球がありませんでした。最初のころはおどおどとしてたのですが、その内に慣れてきて私が歩く度にまとわりついてくるようになりました。この子はジャックという名前をもらいました。

ジャック
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外猫とは少し位置づけが違いますが、しろっくろっという子もいます。
この子は元々家の玄関先に来ていた子ですが、今は猫宅のベランダとお隣さんのベランダとを行き来し住み着いています。
しろっくろが家に来始めた頃は、まだポリスもくまもいました。ポリスとは仲良くしていて良かったのですが、くまとは合わなくて、結局、猫宅のベランダに連れて行くことになりました。その場所は、かつてくまに縄張りを奪われたポリスが寝起きしていたハウスが置いてあるのです。

しろっくろっはご飯の時間になると、2階のベランダの勝手口の所で待機してします。だけどあまりにもお腹が空きすぎると、上から下りてきて自宅前まで来て待っていることもあります。

そして、くま――
くまは今でも帰って来ていません。どこでどうしているのか全く消息がつかめないままです。

 

以下、外猫と猫宅の猫たちです。

【外猫】
きじ、麦、お客さん(おかしゃん)、星(せい)、光(こう) 、雲(くも) 、平八、グリム、いなご、ジャック
――合計10ニャン。

【猫宅のベランダ】
しろっくろっ
――1ニャンのみ。

【猫宅】
とら、茶々、華、雪、天、月、あずき、空、みっけ、てっぺい、真白、ぱんだ、小麦、風子、キキ、ララ、四月、ミント、 オレオ、ラテ、モカ、ココア、チョコ、こぱん、バニラ、うさぎ、空(そら)、ポッキー、六月(ムック)、カール、チェリー、ナッツ、みかん、あんず、きなこ、かんな、やさい、いろは、鈴、チーズ。
――合計40ニャン。

猫宅は全部で40ニャンです。

 

――猫宅のお話をしましょう|25話・つづく――

作:女神
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※送り先は、『猫の秘密基地』をご指定下さい。 
猫宅

――次話――

『猫宅のお話』はひとまずここまで。
新しいエピソードが増えましたら、また掲載をさせていただきます。

――前話――

猫宅のお話|その24

44の物語、今回は天使―sのお話。
猫宅とは別に、自宅にもご飯をもらいにくる猫達がいます。中にはお母さんになる子も。
「お客さん」と呼んでいたその子は、避妊手術の前に妊娠してしまいました。
しかし子猫は可哀そうな結果に。
その2か月後のこと――

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――この連載の1話目です――

44匹の猫が住む家、その名も『猫宅』
それは、保護した猫たちを住まわせるために借りた家。
猫には1匹ずつに物語がありますね。
これは最初の1匹、とらのお話。
さて、44の物語、完成するでしょうか?

 猫宅のまとめ読みです

 

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