虹の橋の猫 ―愛と絆と永遠の物語―
虹の橋の猫 ―愛と絆と永遠の物語―
虹の橋の猫 ―愛と絆と永遠の物語―
降りしきる雨の中を、猫の乗った渡し船は、虹の橋へと出発しました。
船は、猫がこれまで地上で住んでいた家の上に、差し掛かりました。
猫が船から身を乗り出して見下ろすと、台所の窓に明かりが灯り、人の影が動いています。
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「おかあさんだ!おかあさんが、ごはんのしたくをしているんだ」
猫は恋しさのあまり、渡し舟から飛び降りて、住み慣れた地上の家に戻ろうとしました。
でも、渡し守が猫を船の中に引き戻し、静かに首を横にふりました。
猫は、船の床に突っ伏して、わっと泣き出してしまいました。
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猫の耳の奥で、地上のみんなの声が聞こえてきました。
みんなが話す声。
みんなが笑う声。
おかあさんが、猫が大好きだった歌を歌っている声も聞こえてきました。
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猫はハッとして、顔を上げました。
でも、歌っていたのは、渡し守でした。
船は空高く上がり、猫のいた地上の家は、もう、どんなに目を凝らしても見えませんでした。
――銀の鈴/虹の橋の猫(第3話)・つづく――
作:水玉猫
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――次話――
――前話――
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この物語の第1話です――
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保護猫のお話です
活動家に保護された猫、夕(ユウ)。
幸せに暮らしていた夕は、ある日リンパ腫の診断をうけてしまいました。
虹の橋の記事です
良く知られた虹の橋。しかし意外に知られていないことがあります。