撮影&文:三毛ランジェロ
2016年の年の瀬も押し詰まってきた12月中旬過ぎ、友人から「心配な仔猫がいるのだけれど」との情報が入りました。
早速連絡を受けたその場所、仔猫がいる草の生い茂った空き地に行ってみると、そこにいた3匹の仔猫たちは、ひどい風邪を引いていました。そして保護する猫には良くある事なのですが、目が目ヤニで塞がってパッチリと開いていません。人への警戒心もかなりのものでした。
空き地周辺の方にお話を伺ってみると、生粋の野良猫母さんから生まれた仔猫たちで、母さん猫はかなり警戒心が強いということでした。そんな母さんの姿を見ていたらら、仔猫たちが人は怖いものだと思って当たり前です。
捕獲するために近づくと、1メートル位までは何とか行けますが、サッと素早く逃げられてしまう状態。何度も試みましたが駄目でした。
真冬の寒い時期でもあり、子猫たちの体調を考えると、ゆっくりと腰を据えて捕獲に取り組むことはできそうにありません。
仕方がないので、少々荒っぽい手段にでることに――
土地の所有者の方や、周辺の方に許可をいただいて、いつもお世話になっているNPO法人さんにもご協力いただき、捕獲器を使うことにしたのです。
捕獲器と言っても、置けば簡単にそこに入ってくれるわけではありません。猫たちの行動を観察しながら、場所を変えたり、置き方を変えたり。まるで猫との知恵比べのようです。
その子猫たちも当然、なかなか捕獲器に入らなかったのですが、その近くに置いた餌の美味しそうな匂いを嗅ぎ始めたので、私は忍び足でそっと近づいてみました。
フッと私の気配に気づいた子猫たち。
一瞬こちらに視線を向けると、私から逃げるようとして身を翻しました。その瞬間でした。子猫が間違って捕獲器に入ったのです。それもなんと一度に2匹も。
この日は、それからも粘ったのですが、もう1匹の仔猫は親猫と一緒に行動していたために、この時には保護が出来ませんでした。
私は残る1匹の仔猫を、なんとかしてあげたくて、連日その場所に通っては、捕獲器に入れようと試みました。しかしなかなかうまくいきません。
そんな中での事です。
タイミング悪く、世の中は年末の時期です。大掃除ということで、親子猫が住処にしていた、風よけになる囲いが撤去され、周辺も綺麗に草刈りまでされてしまいました。土地の所有者の方も、仔猫たちのことを心配してくれていたのですが、こればかりはタイミングをずらせないとのこと。親切に私たちに、その旨を知らせにきてくれました。
さてそれからのこと。
猫の親子は、身を隠す所も、寒さを凌ぐ所も全くなくなってしまったせいか、それ以来あの空地には、全く姿を現さなくなってしまいました。私は、どうしてもっと早く保護してあげられなかったのかと、後悔の気持ちでいっぱいでした。
その後も、元いた場所に戻ってこないかと、新年早々から、時間を変えながら何回か見に行く日々が続きました。
そんなある日のことでした。ひょっこりとあの親子猫が、元いた場所近くに現れたのです。またとないチャンス。しかし焦るのは禁物です。
この日はご飯だけをあげて様子を見て、次の日に捕獲器を設置しにいきました。
結果は――
母猫は逃げてしまいましたが、ついに仔猫を保護することが出来ました。
――ビアンカとネーロとグリジア・つづく――
文:三毛ランジェロ
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――次話――
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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