猫の話をしようか

Withcat 猫と飼い主の絆について

【子宮蓄膿症・避妊・堕胎】できればやりたくない手術 ~飼い主さん、どうか気を付けてください~

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ここは『ハナちゃんの動物病院』(猫版)です。

今日は子宮蓄膿症のお話ですが、ちょっと特殊な症例です。

子宮蓄膿症は、女の子の猫ちゃんの子宮に膿がたまる病気。避妊手術をしていない猫ちゃんは要注意です。しかし今回ママが診た猫ちゃんは、ちょっと普通と違うみたいなんです。
注:以下の記事には、手術の写真が含まれます。

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撮影&文:ハナちゃんママ
 

先日、ある猫ちゃんの避妊手術をしました。
来院した飼い主さんが言うには、「妊娠しているみたいで、おなかが急に大きくなっている」とのこと。

確かに妊娠しており、大きなおなかです。

こういう場合の避妊が何を意味するかと言うと、避妊に加えて堕胎です。
獣医師として、もっともやりたくない手術の一つといって良いでしょう。
(このことについてのコメントは、一番後で書きます)

※以下、手術の写真が載っています。苦手な方は、閲覧にご注意を。

おなかを開けて子宮を出してみたら、子宮の状態が左右が明らかに違っています。

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本人の右側の子宮(向かって左)には、2匹の胎児がいるのが触診で確認できます。
本人の左側の子宮(向かって右)には、塊は何も触れず液体だけが貯留しているようです。

左右の色も大きさも全然ちがっています。
子宮と卵巣を摘出し体外に出してから、左側の子宮の中身を確認します。

黄色に見えるものが、切開部からあふれた膿です。
子宮の中には膿が充満していました。

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左側だけが、子宮蓄膿症になっていました。
そして右側は、普通の妊娠です。
正常な妊娠と子宮蓄膿症が同時に起きている症例――
こんな事は、初めてです。

手術時点で、猫ちゃんには大きな異常はなく、健康な猫と同じ生活をしていました。
猫ちゃんは犬と比べると、子宮蓄膿症の症状が出にくいように思います。
もしもこの猫ちゃんが、このまま手術をしないでいたとしたら、この後、深刻な状況を招いたことでしょう。

この猫ちゃんは、どちらにしても、手術をしなくてはならない時期がきていたようです。結果として、お腹にいた仔猫が自分の命と引き換えに、親猫の命を救う結果になったことについては、複雑な思いです。

この後、この猫ちゃんは何事もなく、退院していきました。

 

子宮蓄膿症の診察記は、こちらにもあります。

ハナちゃんママからアドバイス

今回のケースは、妊娠してしまったので避妊+堕胎をお願いしますというケースでした。

妊娠を望まないのであれば、そんな事にならないように、雄との接触を避ける環境で飼育するとか、避妊手術を受けて飼育するのが良いと思われます。

避妊手術は、やらなければと思いながら、ついつい先延ばしにしてしまい、望まぬ妊娠が起きてしまうケースは時々見掛けます。
しかし妊娠は、”ついつい”という軽い言葉では済まされないことなのだということを、飼い主さんはぜひ認識なさってください。

妊娠中の手術は出血も多 くなりますし、傷口が大きくなる分、術後の管理もより大事になります。つまり、母体への負担が大きくなります。

そして――、何より新しく芽生えた命を消してしまうとても重い罪です
できればこんな手術は、やりたくないですね。

【Withcatより】ここでご紹介したものは、病気を疑ってみる初歩的な知識です。もしもご家庭のワンちゃん、ネコちゃんに該当する症状があったら、すぐに動物病院を受診なさってください。

――いつもやさしい、ハナちゃんママの動物病院はこちら――
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日光どうぶつ病院

 ▶ハナちゃんママ:犬 の診察記のご紹介
 ▶ハナちゃんママ:猫 の診察記のご紹介

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まとめ読み|【猫版】ハナちゃんの動物病院 ①
この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。

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