猫の話をしようか

Withcat 猫と飼い主の絆について

【動脈血栓栓塞症】心疾患に由来することが多い病気です ~足に血行障害と麻痺があったら要注意~

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ここは『ハナちゃんの動物病院』(猫版)です。

今日は動脈血栓栓塞症(どうみゃくけっせんせんそくしょう)のお話。

早口言葉みたいだけど、ハナはすぐに言えたよ。みんなはどうかな?
どうみゃく→けっせん→せんそくしょう
どうみゃくけっせんせんそくしょう
動脈血栓栓塞症
――ふぅ、難しい。

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撮影&文:ハナちゃんママ
 

先日、後ろ片足が動かないという猫ちゃんが、来院しました。
外に出ない子なので、交通事故ではないし、室内で突然発症したということです。

まず、床の上で歩き方を見ようとしてキャリーケージから出してもらおうとしたとき、後ろ足の肉球の色が左右違っていることに気が付きました。
触ると片足だけ冷たくなっています。

その足を引きずってますが、痛みはなさそうです。
麻痺しているようです。

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肉球の色が左右で違う

猫の動脈血栓栓塞症と思われます。

この病気は、心疾患に関連していることが多く、レントゲンで心臓を確認すると、やはりそうでした。

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レントゲン写真による比較

左が正常な形ですが、心疾患の場合、右のような形の心臓をしていてバレンタインハートといわれます。

心肥大や血管・心内膜の損傷により、左心房内で血栓が形成され、90%が腹大動脈の後肢へ向かう動脈の分岐部で、栓塞が起きます。

つまり、足に行く動脈に血栓が詰まり、血液がいかなくなってしまいます。

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この猫ちゃんはレントゲンでは、ひどい心肥大はありませんが、心臓病に伴う肺水腫が確認できます。そして、明らかに、病足だけ血色が悪く冷たくなって麻痺しています。

幸いなことに、通常起きる激しい痛みや、呼吸速迫などの症状はありません。
ただ、この疾患の生存率は低く、長期的予後は不良です。

退院可能が45%、退院後の平均生存日数は117日といわれています。
飼い主さんにもきちんと説明し、できるだけの治療をすることとなりました。

心臓病を考慮して、外科的な治療はやめました。
そして、抗血栓治療と心疾患・全身状態の管理のため入院となりました。
頑張ってみます!!

これが治療開始から3日後の肉球の色です。

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向かって右側が病足です。
だんだん血色が戻ってきました。

血栓が溶けて、血液が流れ始めています。

4~5日の入院で、早めに退院して、お家で安静にしてもらいます。
残念だけど、再発率も高く難しい病気です。
できるだけ飼い主さんとの時間を、大事にして欲しい。
退院後もずっと投薬治療が必要となります。

猫ちゃん、今日、退院できました。
良かった~~
安定してくれますように・・・・・・

看板犬のハナはというと

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妹のコポーにいつもの居場所を取られて、困り顔

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わたし、コポー、よろしくね!!!

■読者からのコメント:

退院できてよかったですね!
血栓が溶けて、脚の麻痺は治ったですか?

飼い主さんと一緒にいられるのが
最高の治療法なんですね‼︎

■ハナちゃんママからの回答:
コメントありがとうございます。
血流が滞っていたため、すぐには麻痺が消えることはありません。
麻痺については、今後、時間はかかるかもしれませんが良くなると思います。
再発が起きないことを祈ります。

ハナちゃんママからアドバイス

猫ちゃんの心臓病は飼い主さんが発見するのは難しいかもしれません。
ほとんどの場合がこの症状がでてから、「あ~心臓病だったのね!」と気付くケースがほとんどです。

この病気は予後が良くないものですので、健康診断等でチェックして、早期発見・早期治療するしかありません。

【Withcatより】ここでご紹介したものは、病気を疑ってみる初歩的な知識です。もしもご家庭のワンちゃん、ネコちゃんに該当する症状があったら、すぐに動物病院を受診なさってください。

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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。

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