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【猫の保護/コミック】飼育グッズはネットで買った方がお得 ~犬派の僕が猫と暮らす理由|ひとつの命をはぐくむこと(4/11)~

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犬派の僕が猫と暮らす理由
f:id:masami_takasu:20180828102236j:plain撮影&文:紫藤 咲

獣医さんに行ったその日、ぼくは再びホームセンターを訪れた。
ねこさんとの生活を本格的に始めるための二階建てマンション(ゲージ)を購入することが目的だった。

ところがである。二階建てマンションは売り切れていて、展示されているものしかない。どうやら安売りの広告が入っていたようだ。

在庫があるのは三階建てマンション。はたして我が家に三階建てが必要なのか。現品しかない二階建てマンションと在庫のある三階建てマンションを見比べながら、しばし思案する。

三階建てマンションの必要性がどうにも思い浮かばなかった。
イメージできない理由はねこさんに元気がなかったせいだろう。もしも彼がもう少しやんちゃであったなら、将来的なビジョンはもっと想像しやすかっただろう。

できることなら今すぐ手に入れたいアイテムであれど、ジャンプもできない、家も狭い、一匹しかいないことなど、諸々の事情を考慮すると、やはり三階建ては必要ないような気がした。

早く住環境を整えたいという強い思いはあったけれど、現実、在庫切れではどうしようもない。取り寄せてもらうように店にお願いし、トイレの容器と砂、シーツといったトイレ用品三点を購入してホームセンターを出た。

それから隣接する百円ショップに再び向かい、タオルを購入する。不思議なもので、三枚目ともなると違う色が欲しくなる。今度は緑色がとても優しく感じられるツリー柄のタオルにした。

いざ、うちの子にすると決めると、おもしろいかな。猫用グッズを見ることが楽しくて仕方なくなる。バラエティに富んだフード、トイレの砂、遊び道具を見るだけでも本当に楽しいのだ。

ホームセンターだけでなく、スーパーや薬局に立ち寄ったときも、ついつい、ねこさんの道具に目が走ってしまう。こうなると、もう、子供を持った親となんら変わりない状態だ。自分の子がかわいくて仕方なくなり、次から次になにかを買いたくなる衝動は抑えがたかった。

 

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そんな親バカになりながら、ケージの納品日を心待ちにしていた。しかし納品連絡がなかなか来ないのである。三日くらい経過して、うずうずし始めたぼくに、あの男がサラッと言った。

「なあ。ネットで見たらさ、結構あるもんなんだな、猫グッズってさ。ケージなんて種類豊富じゃん。は? なに? おまえ見てないの? いや、見てみろよ。値段ピンきりだけど」

その言葉に、ぼくは急いでネットを検索した。とあるメーカーのサイトで目を見張る。

――うそーん。

ぼくがホームセンターで発注したケージのメーカーのサイトなのだが、ハットリくんの言うとおり、種類の多さにとにかく驚かされた。

さらに衝撃的だったのは、発注したゲージと一緒のお値段で『初心者用キット』なるものが売り出されていたことだった。

二階建てマンションの他に、トイレ、爪とぎ、玩具がついたナイスパッケージ。さらにピンクかブルーか、二色から選べるプリティ商品。これを見たときは正直、唸った。

発注してしまった後なので、本当に今更なのだが、こんなキッドがあるのなら、これで揃えたよ、オーマイガーと画面を見ながら苦笑した。そして葛藤した。

発注を取り下げて、これを注文してしまおうか。トイレが二個あっても困ることはないだろうし、玩具もあったほうがいいだろうし、爪とぎも消耗品だからと――

「なんかさ。おまえ、ネットで買い物ガンガンするわりには、どうして思いつかなかったわけ?」
「キャ……キャンセルしようかな……でも、見ないとわからないし」

数字だけは確認できても、実際に見ていないわけだから、どういうものかわからない。実際、注文したとして、発注商品の方が早く届いてしまっては意味がない。
どっちにすべきか、かなり迷った。どっちにも一長一短あったからだ。

「ホームセンターに納品日、聞いてみりゃいいじゃん。それで、納品されなかったらネット買いすれば?」
「明日、連絡入れてみるわ」

翌日のお昼すぎにホームセンターに電話を掛けると「今日、納品されました」と返答をもらう。あっさりと『初心者キット』の夢はついえたのである。

「夕方……行きます」
納品されてしまっては仕方ない。夕方、受け取りにホームセンターへ向かう。

しかし、これだけ便利になった世の中で、どうしてネット購入を頭に入れていなかったのか、浮かびもしなかったのか、今となってはかなり謎である。
いつもなら、ポチッと買い物な人間なのに――ねこさん熱に浮かされていたとしか考えられない、本当に。

こうした失敗事例を踏まえ、今後、なにか新しいアイテムを購入する場合はネットも考えようと思ったのだが、この先、これ以上の大きな買い物をすることがあるのだろうか? 

きっとない。おそらくない。同居人が増えない限り――

爪とぎと、小さなねこパンチマシーン(鈴をつけた鳥のスタンド型おもちゃ)をケージと一緒に購入し、ホームセンターを後にする。

帰宅して、早速ケージ作りに勤しんだのだが、組み立てに苦労しすぎて(苦労するほど難しいものではないのだが、急ぎ過ぎて、組み立て方を間違え、また組み直すを繰り返した)、手首を痛めてしまった。

痛めた右の手首に湿布を貼りながら、あまりにも虚弱な己の肉体にため息ばかりが出てしまっていたのであった。

(余談)f:id:saki030610:20180821225717j:plain

 

――ひとつの命をはぐくむこと(4/11)つづく――

作:紫藤 咲
 

――次話――

ねこさんが自力で排泄ができるようになった。
そこでトイレの準備を。
しかしねこさん、慣れないトイレで困惑。じっと固まって動けない。
しょぼくれたねこさんを前に、色々と理由を探ってみるぼく。
猫も犬も、トイレの躾は最初の試練なのだ。

――前話――

ねこさん、ますます体調が悪く、ずっと寝て過ごしている。
病院に行くものの、
「体重が1kgはないと、抗生剤が打てないんだよ」
と、先生は言う。
しかし――
食べさせても、体重は増えないのだ。

まとめ読み|猫さん拾いました ③
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――本クールの第1話目(1/11)です――

先住犬ひなさんと、ねこさんのお近づきチャレンジの再開
しかし、吠えまくるひなさん。
――上手く行かない。

引き離そうとするぼくに、ハットリ君が言う。
「まぁ、待て。ちょっと見てみようぜ」
ひなさんと、ねこさんは、家族になれるのか?
そして彼は、遂に”運命の一言”を、ぼくに告げるのでした。

――本連載の第1話です――

運命の日――
ぼくは猫を拾った。

犬派だった著者が、猫を拾ってからの悪戦苦闘を描くエッセイ。
猫のいない日常に、飼ったこともない猫が入り込んでくる話。
はじまりは、里親探しから。

――当然、未経験。
「ぼくらの物語はこの日から始まった」

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