猫の話をしようか

Withcat 猫と飼い主の絆について

【保護猫|多頭飼い】脱走の常習犯、月 ~猫宅・44の物語(その11)~

今回のお話は:猫宅の出産ラッシュ
出産ラッシュ

撮影&文|女神
 

今回は、外猫だった彼女が、出産をしたころのお話です。
実はこの時期に、猫宅には大変なことが起きます。何かと言うと、予想もしていなかった出産ラッシュです。

その頃の猫宅では、保護した女の子達は男の子とは別の部屋で生活していました。
分けた理由は簡単です。これ以上、猫宅の住人を増やさないようにするためです。

女の子の部屋は、猫宅の玄関を開けると、すぐ目の前にありました。
扉は引戸になっていて、鍵はかかっていません。誰かが扉を開けるなんて、思ってもいませんでしたので。

しかしそこに、事件が起きます。最初はちょっとした異変から――
ある日私が猫宅に行くと、驚いたことに、女の子の部屋の扉が10㎝程開いていたのです。
見ればその隙間からは、女の子たちが出たり入ったりしています。

「何故? 締め忘れた?」

しかしすぐにそれが、私の不注意ではなかったことが分かりました。
猫宅の住人に一人問題児がいたのです。6番目の猫、月です。

月は扉を簡単に開ける特技(笑)を身に着けて、勝手に扉を開けて、女の子部屋に侵入していたのです。

 

月

これが犯人の月
 
やがて月の巻き起こす、女の子部屋の脱走事件が、何度も起きるようになりました。
女の子だけが脱走するのではなく、男の子も部屋の中に侵入するように。

脱走事件が起きると、大変な騒ぎです。
逃げ出した子を元の部屋に戻すためには二人がかり。一人が後から追いかけ、もう一人が部屋に戻す役割です。抱っこできる子は抱っこしながら、別の猫を追いかけました。

1人の時に脱走されるともう大変です。
洗濯ネットを片手に段ボールハウスに追い詰めたり、逃げ込んだ部屋の出口にネット張って、手で追いやったり。それで階段を何往復もして――
知らない人が、見たらきっと虐待だと思うでしょうね。

結局、そんなことが繰り返されるうちに、部屋には鍵をかけるようになりました。
本当はそうしたくはありませんでした。夜中に私達が居ないときに、何か緊急事態があったらどうするのか? そんな風に思っていました。

しかし、これ以上家族を増やさなくするには仕方のないことでした。

不妊手術(避妊/去勢)をすれば良いではないかと、思われるかもしれませんね。
私も全ての子に手術を受けてもらい、家中を解放して住まわせることが理想的だと思っています。しかしそれにはまだ時間がかかりそうです。現実はそう簡単な話ではないのです。

まず、猫宅の維持には沢山のお金がかかります。手術費用だけの話ならば、獣医さんの計らいでお安くしていただけるのですが、それ以外にも毎月のお家賃が掛かりますし、トイレ用の砂やシートも交換しなければなりません。最大の出費はご飯代です。

それだけではないのです。病気になった子は医療費がかかります。
動物病院の診察費と薬代が主なところですが、不妊手術をした子は膀胱炎や尿路結石にかかりやすくなるので、それも悩ましいところです。

2番目の子、茶々の場合は、血尿まで症状が出ていたので手術になった事もありました。それを防ぐには専用の療法食を食べさせなければなりません。となると、その子だけと言う訳にも行かなくなります。多頭飼いを経験されている方ならわかっていただけるでしょう。

だから猫宅では、飼い主に金銭的に余裕ができた時に手術を実行しています。
こんな状態なので、未だ全員が不妊手術を受けていませんし、その頃は今よりもっと沢山、受けていない子がいたのでした。

 

風子

妊娠した風子
 

このように脱走事件を繰り返すうちに、冒頭に書いた出産ラッシュが起きたのです。
今思えば、女の子部屋に鍵を掛けるのが、遅すぎました。別の言い方をすると、私たちの行動よりもはるかに、月の行動力の方が上回っていたということです。

風子、小麦 、ムー の3匹が妊娠していると分かり、私たちは頭を抱えました。
しかし、気持ちの切り替えが早いのもまた、私たち母娘の特徴でもあります。

「産まれてくる子には罪はない」 
「その時はその時」

かつて月を保護したときの、『1匹増えたところでどうってことない』という気持ちが、また私達の心に湧きおこったのでした。今回は増えるのが、1匹だけでないというだけです。

こうしてその年の5月、その時が来ました。
風子が3匹を産み、小麦が3匹を産み、ムーが2匹を産み、猫宅の住民は合計8匹が増えました。

風子の子を、ミント、 オレオ、ラテ
小麦の子を、モカ、ココア、チョコ
ムーの子を、いちご、五月と書いていつき

と名着けました。
ミントからチョコまでは、ご想像がつく通り、カフェシリーズです。
いちごは生まれてすぐに猫風邪にかかり、目がなかなか開きませんでした。目薬を処方してもらい、点眼して、ようやく開いたとき目が、いちごの様に赤かった事からいちごと名付けました。五月は5月生まれだからです。

そして、丁度この頃の話です。
四月(しずく)を出産したあと彼女は、避妊手術を受けさせることに。

しかし野生の血の濃い彼女のこと。そうすんなりとはいきません。悪戦苦闘の上、ようやく彼女は病院に――

猫宅はこんな風に、ゆっくりと時間が流れていくのでした。

 

生まれた子猫たち

出産ラッシュて生まれた子猫たち 2
 

さて、一度に赤ちゃん猫が増えた猫宅には、同じような大きさ色の子が沢山いることになります。でも、ちゃーんとお母さんは、自分が産んだ子をわかっているんですよね!

お母さん猫が、ご飯を食べに行ってる隙に布団をめくって見たことがありるのですが、そこにはキチンと並んだ子猫が――
私はその姿を見て、思わず笑ってしまいました。

 

3匹の授乳

3匹の授乳|上から小麦 ムー 風子

 

こうして日々は過ぎ、生まれてきた子達はすくすくと成長していきました。
そして、子猫がかわいい盛りになった時のことでした。私は風子の子ミントが、具合が悪くてぐったりしているのを発見しました。

あれは確か日曜日だったかな? お昼の手前くらいの時間だったと思います。
いつも行く病院に電話をしたのですが、留守電でした。
そのままにはできないので、日曜日診療している病院へ行くために車を走らせていると、私の時携帯がなりました。かかりつけの動物病院からです。
着信履歴から、折り返しで電話をかけてくれたのです。

 

生まれた子猫たち

出産ラッシュて生まれた子猫たち 3
 

電話を切ると、車を直ぐにUターンさせていつもの病院へ――

しかし、診てもらっても、不調の原因は分かりません。
『血液検査を取って、猫白血病の検査をしますか?』
そう言われました。

同時に『もし白血病なら、一年は生存しないだろう』とも――

「猫白血病……」
ミントは外には出ていないので、感染するとしたら猫宅の中でのこと。
母猫の風子は元気だし、その他の猫宅の住人にも、猫白血病を発症した子はいない。
猫宅周辺の外猫さん達も、皆長生きしてる。
――猫白血病の疑いのある子は、我が家と猫宅周辺にはいないだろう。

結局私は、検査をお願いしませんでした。

正直に言うと、ミントがもしも猫白血病で、他の子たちにも感染していると考えるのが怖いという気持ちも、心のどこかにあったのは確かです。

ミントのことは、次話でもう一度触れようと思います。

 

――今回の写真のご説明――
1枚目(扉):出産ラッシュで生まれた子猫たち1
2枚目:脱走事件の犯人、問題児の月
3枚目:お母さんになった、風子
4枚目:出産ラッシュで生まれた子猫たち2
5枚目:出産ラッシュで生まれた子猫たち3

● ● ●

猫宅の様子もどうぞ。

 

――つづく――

作:女神
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――次話――

――前話――

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この連載の1話目です――

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