撮影&文:三毛ランジェロの保護猫日記
今日は思い出深い、クララについてのお話をしましょう。
大人しいキジトラのクララは、生後6ヶ月くらいの時に、チャトラの茶太郎という、同じくらいの歳の男の子と、一緒に我が家にやってきました。
この2匹を保護して欲しいと連れてきたのは、近所の美容院のおばさんです。話を聞くと、おばさんのお隣さんは、クララのお母さんを外飼いしていて、同時に他の野良猫にも庭でご飯をあげていたのだそうです。
避妊手術をしていなかったお母さん猫と、野良猫の間に生まれた子供がクララというわけです。クララの兄妹たちは山に捨てられてしまったそうなのですが、臆病だったクララだけは捕まらないで、その家にいつづけることになりました。
きちんとした飼い主に、可愛がってもらっていたとは言えない環境でしたが、クララとお母さん猫は、このお隣さんが引っ越す前日までは、一緒にいたということでした。
さて、その引っ越しの翌日のこと――
おばさんによると、クララは家の入口に、たった一匹だけでポツンと佇み、動けずにいたそうです。
お隣さんが引っ越す際に、お母さん猫だけを一緒に連れていったのか、それともどこかにやってしまったかは分からないそうなのですが、はっきりしているのは、クララだけが置き去りにされてしまったということ。
そのクララですが、気の毒に思った美容院のおばさんがご飯をあげても、2,3日は全く食べなかったそうです。
前日まで飼い主からご飯をもらい、お母さん猫と過ごしていたクララ。一夜明けてお母さん猫も、飼い主一家もいなくなってしまうことが、小さなクララにとってどれほど衝撃だったことでしょう――
そんな時、どこからか、彷徨い歩いていた野良猫が一匹、クララに近づいていきました。それが後に茶太郎と名付けられた子です。茶太郎はクララに寄り添いました。
それで安心したのでしょう。やがてクララは、自分からご飯を食べられるようになりました。
クララには、右足の先っぽがありません。
動物病院の先生によると奇形で生まれたというよりは、事故で足を失った後幸いにもきれいに傷が完治して今に至っているのではないか、とのこと。
高いところに跳んだ乗ったりよじ登っていくことは得意ではありませんが、普段の生活には全く問題ありません。ぴょこぴょこ歩く姿がとても可愛い女の子でした。
ここで、クララの救世主となった、茶太郎についても書いておきましょう。
茶太郎は、体がとても小さい子でした。体毛がとても綺麗な状態だったので、どうやら捨てられたようでした。
恐らく餌場から、他の野良猫たちに追い払われ、食べるものがなかったためカエルやヘビの死骸を食べてしまったのだと思います。マンソン裂頭条虫をお腹に持っていました。そして病院の先生によると、茶太郎が小さい原因の1つは、元々奇形で産まれ発育も悪かったのではないかということでした。
茶太郎が飼い主に捨てられて、どこへ行けばいいかわからずフラフラしていた時に、偶然に寂しく鳴くクララの声を聞いたのでしょう。茶太郎はクララのいる庭にやってきて、2匹は寄り添うようにして、そこで過ごすようになったのです。
まだ小さいのに頼るものもなく、どれほどの不安を抱え、2匹がそこで過ごしていたのか――、そう思うと胸が張り裂けそうになります。
美容院のおばさんは、その2匹に家族を見つけてあげたいと、里親を探して欲しいと知り合いに頼みました。そしてご縁があって、その2匹が、我が家にやってきたのでした。
クララと茶太郎がうちに来た経緯は、幾つもの運と偶然がたまたま重なった結果で、奇跡としか思えません。
うちにやってくるご縁を、もともと2匹が持っていたのでしょうか?
――このお話は、次回につづきます。――
文:三毛ランジェロ
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――次話――
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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