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新しい涙と、心に掛かる虹の橋 ~第1章・銀の鈴(6/7)/虹の橋の猫~【猫の絵本】

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虹の橋の猫 ―愛と絆と永遠の物語―
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イラスト&文:水玉猫
 

不意に、心の中で何かが煌めいたような気がして、その人は歌うのをやめました。
それまで口ずさんでいたのは、今はもういない、雉白もようの猫が好きだった歌でした。

たった今――

生きていた時と同じように、猫が上機嫌で歌に合わせて鳴いているように感じたのです。窓の外で――

――気のせい?

その人は窓に背を向け、首を横に降りました。

――気のせいに決まっている

どうせ、またいつもの空耳で、窓の外を見たって猫はいなくて、また、つらくなるだけだと、その人は思いました。

なくしたものはものは、二度と戻らない。
なくしたものとは、もう、二度と出会えない。

その人は幾度となく自分に言い聞かせたことを、また繰り返しました。
でも、それでも、やっぱり、窓を開けて確かめずには入られませんでした。

その人が、窓を開けると、空には美しい虹が架かっていました。
そして、確かに、耳の奥で、猫が歌っているのです。 

その人は、猫がたった今、長い長い船旅を終え、無事に虹の橋に着いたことを悟りました。
そして、自分の心と、遠く旅立って行った猫の心に、今、虹の架け橋が架かったことも――

涙の雨で、心と心に架かったこの虹を渡れば、きっと、いつかは愛する猫に会いに行くこともできるのだ。
その人は、そう信じました。

胸の中で固まった重い悲しみは消えはしませんでしたが、涙の雨で磨かれて、気がつけばそれは、虹色にきらめく水晶となっていました。

そして、その水晶の中には、いつだって愛してやまない猫の姿が映っていました。

その人の目から、また新しい涙が止めようもなくあふれ出しました。

――銀の鈴/虹の橋の猫(第6話)・つづく――

作:水玉猫
 ▶水玉猫:猫の作品
 

――次話――

――前話――

まとめ読み|虹の橋の猫 ①
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この物語の第1話です――

 保護猫のお話です

 

家族の引っ越しで置き去りにされたクララは、野良猫の茶太郎と出会います。
やがて一緒に保護された2匹ですが――

 虹の橋の記事です

良く知られた虹の橋。しかし意外に知られていないことがあります。

 

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