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耳を澄ませば聞こえる声 ~第2章・歌うたいの猫(6/10)/虹の橋の猫~【猫の絵本】

 

虹の橋の猫 ―別れって何? 永遠って何?―
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イラスト&文:水玉猫
 

黒い仔猫が、静かに降り続ける雨を見ながら、つまらなそうに言いました。
「ここには、おもちゃも、なんにもないね。おうちで、おもちゃで遊ぶのは、とっても楽しかった。ネズミのおもちゃも、魚のおもちゃも、おねえちゃんが、おこずかいで買ってくれたんだ。おとうさんはね、キャットタワーだって、もっと大きなおもちゃだって、買ってくれたよ。お気に入りだったおもちゃはいっぱいあったのに。虹の橋行きの船に乗る時、みんな置いてきちゃったんだ」

白い仔猫も、不満そうに言いました。
「あたしもよ。『ひとつだけならいいよ』って、渡し守さんは言ったのに、あたしが選んでいると『それはダメ、これもダメ』って。だから、選べなくなっちゃって、あたしも、みんな、地上の船着き場に、置いてきちゃった」

歌うたいの猫は、言いました。
「虹の橋には、地上のものを、ひとつしか持ってこれないのはね、重い荷物を積むと、船が動かなくなって、虹の橋に着けないからだよ」

黒い仔猫が、たずねました。
「歌うたいの猫さんは、何か持ってきたの?」

歌うたいの猫は、うなずきました。
「うん。ぼくは、声を持ってきたよ」

白い仔猫は、びっくりしてたずねました。
「声?声って、なあに?」

歌うたいの猫は、言いました。
「声は、声さ。話したり、笑ったり、歌ったりする声。ぼくは、ぼくの大好きなおかあさんの歌声を、持ってきたんだ。きみたちだって、ちゃんと、持ってきているよ」

黒い仔猫と白い仔猫は、やっぱり、歌うたいの猫の言っていることがわかりません。

「耳を澄ませてごらん」
歌うたいの猫はそう言うと、また、鈴の音に合わせて歌い始めました。

黒い仔猫と白い仔猫は、耳を澄ませました。
降り続く雨の中、はじめは、歌うたいの猫の声しか聞こえませんでした。

それでも、ピンと両耳を立てていると、かすかに、何かが聞こえてくるようでした。
それは、聞こえたかと思ったら、また、すぐに小さくなり、そのまま消えていきそうです。

仔猫たちは息を詰め、なんとかして消えていく前に少しでもそれを聞こうとしました。
そのかすかに聞こえてくる何かは、とても懐かしく大切なものに思えたのです。

だけど、灰色の仔猫だけは、他の仔猫たちとは違って、何も聞くまいと、しっかり耳をふさいでいました――

 

――歌うたいの猫(6/10)/虹の橋の猫(13話)・つづく――

作:水玉猫
 ▶水玉猫:猫の作品
 

――次話――

――前話――

まとめ読み|虹の橋の猫 ②
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――第2章のはじまり(第8話)です――

――この物語の第1話です――

 保護猫のお話です

 

家族の引っ越しで置き去りにされたクララは、野良猫の茶太郎と出会います。
やがて一緒に保護された2匹ですが――

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