文:miyakonokaori (本記事は2013年に執筆されたものです
病院に入るとロビーにはジャズが流れ、床もソファも清潔感いっぱい。
すぐに診察室に通され、先生と対面。
I先生は優しい人柄が全身からにじみ出ているような人で、話し方も穏やか。
それにその説明はとても丁寧で、わかりやすかった。
中でもいちばん安心できたのは、
これからどんな検査をするのか、その結果何がわかるのか、など、話しているときも、
先生の手はずっと猫さんを落ち着かせるように触れていたこと。
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「ああ、この人はほんとうに動物が好きな人なんだなぁ。この人になら任せられるかも」
私はそのときにそう思ったんですが、いっしょにいたAちゃんも同じように思ったそうで。
猫さんはというとまさに「借りてきた猫」を体現していて、びっくりするほどおとなしい(笑)
血液検査や病理検査のために、何本も針を刺されたけれど、じっと我慢している。
けなげな姿に涙が出そうになりました。
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様々な検査を終えたあと、先生は
「おそらく…リンパ腫ではないかと思います」
とハッキリと口にしました。
「乳腺腫瘍」だと思い込んで、乳腺腫瘍のことばかり調べていた私は、一瞬「?」となったけれど、
「あれ? リンパ腫って、乳腺腫瘍のペットの飼い主さんたちがよく『リンパ腫よりマシ』と書いてた、あのリンパ腫!?」
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ああ、これは最悪なことになったな…と、そのときは比較的冷静に受け止めていました。
若い猫のリンパ腫は、猫白血病か猫エイズに感染している場合が多いそうですが、
うちの猫はどちらも陰性でした。
「避妊手術してないんですけど、その影響はありますか?」
おそるおそる訊いてみると「それは一切ありません」ということ。
これは、正直ほんとに肩の荷が下りたと言うか…ホッとしました。
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この時点で考えられるのは、
② リンパ節過形成
③ ノミ反応性
この三つとのこと。
リンパの腫れの詳しい病理検査は、外部に委託して、その結果は委託先の都合で一週間から10日後になるということでした。
②か③であることを願いたいけれど、先生の口調だと9割9分リンパ腫のよう。
だとしたら、10日も待つのは危険なのでは…
いろんな不安がよぎりますが、結果が出てからじゃないと的確な治療ができないなら待つしかない。
笑っている場合ではないのだよ、きみ…
ちなみにこの時の猫さんの主な血液検査結果は下記。
(カッコ)内の数値は、猫の基準値です。
WBC【白血球数】 256 (55~195)
RBC【赤血球数】 608 (550~1000)
ヘモグロビン 11.0 (8~14)
血小板数 68.7 (30~80)
総蛋白 4.0 (5.4~7.8)
PCVは「ヘマトクリット」とも呼ばれ、貧血の目安になるものです。
まだ貧血にはなっていないけれど、この白血球の数値は……やっぱり苦しかったんだなぁ。
この日のお会計は
あわせて ¥34,441
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抗がん剤治療になった場合の費用のことも、お話がありました。
リンパ腫は抗がん剤に対しての反応がとても良いので、QOLを第一考える場合でも、
できれば、抗がん剤を使ってほしいとのこと。
(これは私が「完治がないのならせめて穏やかに過ごさせたい。その方法を第一に考えたい」と言ったので)
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だけど、ハッキリ言ってお金は相当かかる。
中にはそれで抗がん剤治療を断念して、緩和治療に切り替える方もいらっしゃるらしい。
「どちらにするかはお母さま…あっ、オーナーさんのお気持ちを尊重します」
と、先生。
そういえば最初の電話でも、飼い主のことを「お母さま」って言ってたなー。
この病院はそういう方針なのね。
私は好きだなー、この言い方。
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帰りのタクシーの中で、Aちゃんと今後の話をしました。
私「今日の印象だと、信頼できそうな気がするんだけど、どう?」
A「うん、同じくそう思った。任せよう」
私「抗がん剤ってことになったら…」
A「やるしかないでしょう」
と、いうわけで、とりあえず病理の結果を待つことに。
願わくば、悪性じゃありませんように…。
――【リンパ腫】リンパ腫と判明するまで(2/4)・つづく――
文:miyakonokaori
――次話――
――前話――
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この記事は、週刊Withdog&Withcat【2018.2.18版】に掲載されています。
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※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。