文:miyakonokaori (本記事は2013年に執筆されたものです)
私はこのとき、超をつけてもいいほどの急ぎの案件を抱えていましたが、
「リンパ腫」という病名が頭の中を渦巻いて、どうしても集中できませんでした。
もうこういうときは開き直って検索じゃ!
そう決めてから、「リンパ腫」「リンパ腫 猫」「リンパ腫 猫 余命」と、ひとつずつ言葉を増やして検索していきました。
検索してヒットした記事を読むたびに、胸に重苦しいものが広がっていきます。
「完治はない」
「寛解しても確実に再発する」
「抗がん剤で酷い副作用に苦しむ」
などという文字を目にするたびに、涙が浮かんできました。
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こうしている間も、猫さんは私のパソコンとキーボードの間で眠っています。
触れてみると、ビクッと動きました。
不安なんだろうか…
そうだよね、なんかわかんないけど、今までのように動けないし食べられないし、
いきなり怖いところ連れていかれて、たくさんの注射打たれるし、
きみにとっては、もうわけわかんないよね…
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猫さんは私の不安も感じ取っているのか、ふと目を開けると、私の鼻の頭をペロッと舐めました。
その瞬間、張りつめていたものがフッと途切れました。
あふれてとまらない涙を猫には見せないように横を向くのですが、猫も舐めようとして追ってくる――
このいたちごっこも、近いうちにできなくなってしまうのかもしれない。
病名確定前でしたが、調べれば調べるほど、「これはもう間違いないな」と思えるものでしたので、
「死ぬんだ。この子、もう死ぬんだ」
と、それしか考えられなくなっていました。
「リンパ腫 猫」で検索すると、リンパ腫と闘った猫の飼い主さんのブログがいくつかヒットしましたので、それを夢中で読みました。
検索でヒットしたページは、ほとんどがブログの途中部分でしたので、亡くなっている子も多く、その最期の記事を見るにつけ「うちの猫も…」と気落ちする……
自分でも、不安や絶望が募るだけなのだから検索やめればいいのにと思うんですが、やめられなかったですね。
何も知らないでいるよりは、どんなことであっても知りたかったですから――
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検索をしている私の膝に移ってきた猫さんのおなかを撫でていると、手のひらに触れた違和感が、以前にも増して大きくなっているのに気づきました。
がんが進行している。それも、恐ろしいスピードで――-
そう直感した私は、すぐにAちゃんを呼び、「一週間も待てない」と言いました。
Aちゃんも猫さんに触れ「増えてる…」と愕然とした様子でいます。
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朝になって、Eペットクリニックに電話をしました。
担当のI先生は不在でしたが、すぐに折り返し電話をくださいました。
「リンパ腫であることはほぼ間違いないと思いますが、
確定まで待てないということでしたら、
病理の結果が出る前に、見切り発車で弱めの抗がん剤をはじめることもできます。
その抗がん剤は、確定後に行うプロトコール(抗がん剤投与スケジュール)に
組み込まれていないものを使います。
抗がん剤は耐性ができてしまうので、いつかは効かなくなります。
それからは『レスキュー』と呼ばれる、別の抗がん剤を試していくのですが、
それがひとつ減ることになります」
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私たちは、たった一日で恐ろしく増えてしまった腫瘍に驚き、もう見切り発車でいくしかない、と考えていました。
とにかく翌日、先生に診てもらって決めることにしましたが、
すぐに打てるよう、抗がん剤も用意しておいてもらいました。
先生も「病理検査を先方に急いでもらうように言います」と言ってくださった。
とにかく、明日決めよう。
――【リンパ腫】リンパ腫と判明するまで(2/4)・つづく――
文:miyakonokaori
――次話――
――前話――
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この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、週刊Withdog&Withcat【2018.2.25版】に掲載されています。
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――出典――
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。