撮影&文:ゆきねー
~うちの子がうちにくるまで No.2-2~
愛猫を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。
●
――うちに来てからのこと――
ここからは、みみ子さんが、うちに来てからのことを書こうと思います。
前話に書いたように、みみ子さんはすぐにトイレを覚えてお利口な猫でした。
しかし、その一方では、とてもやんちゃな子。
カーテン登りが大好き。クリスマスツリーにもよじ登り倒してしまうので、それ以来我が家ではクリスマスツリーを飾らなくなりました。
やんちゃなみみ子さんは、すごく甘ったれで、いつもベッドに潜り込んでくるほどでした。
●
――それから1年――
みみ子さんが一匹では可哀想かなと考えるようになり、わが家では知り合いから、スコティッシュの猫を迎えました。
これで寂しくないだろうと思ったのですが、その思惑は外れてしまいました。
結局、みみ子さんは、その子は全く仲良くなれなかったのです。
その後我が家では、何匹かの犬猫を迎えましたが、みみ子さんは自立していて他の犬猫を受け入れることがありませんでした。
●
――13歳の時のエピソードです――
ある日のこと、私の留守中にみみ子さんが、食洗機に足を挟んで骨折したことがありました。留守番をしていた夫が、それに気付きました。
すぐに獣医さんに連れて行ってくれたのですが――
その時はかなり痛かったのでしょう。夫が捕獲しようとすると、みみ子さんはシャーシャー言って、夫を散々引っ掻いたそうです。
幸い、みみ子さんは手術することもなく、後遺症もなく、順調に回復してくれました。その頃うちの近所には、とても良い獣医さんが居たので、いつも安心でした。
(その先生はもう亡くなられて、病院も無くなってしまいました。かなり有名な先生でした)
●
――歳をとってから――
みみ子さんには、特別なフードを与えていたわけではないのですが、病気にもならずに、歳をとっても元気で居てくれました。
雑種は強いです! 私は誇りに思います。
みみ子さんにはもう一つ、不思議な、そして特別なエピソードがあります。
みみ子さんは、高齢になるに従って、なぜか人にべったりと張り付く猫になっていきました。そんなみみ子さんを、私の母はとても可愛がっていました。
おととしの事です。その母が突然体調不良になりました。
そこから不思議なことが起きるのです。
●
心配する私達家族の願いも虚しく、母が他界したのは、
それからひと月後のことでした。
その日の未明、私は母を看取りました。
そしてその後、様々な手配などをして、ひとおおりの用事を済ませてから、自宅に帰りました。
●
その夜のことでした――
19歳になっていたみみ子さんが、老衰で亡くなってしまったのです。
――私の腕の中で。
扉の写真は、その1日前に撮ったものです。
●
私にはまるで母が、可愛がっていたみみ子さんを、一緒に天国に連れて行ったかのように思えました。
偶然なのか、必然なのか――
同じ日に亡くなって、空に還っていった母とみみ子さん。
二人は今、同じお墓で眠っています。
●
みみ子さんがうちの子になってから知った事ですが、夫の実家にもいつも猫がいたそうです。フードはあげていましたが、室内飼いではなく、好きに外出させていたのだとか。
1番長生きした猫は、23歳だそうです。
「19才かぁ、もう少し生きてほしかっなぁ」
そう夫は言います。でも私は、大往生だと思っています。
「よく頑張ったね、ありがとね」
っと言って、火葬してあげました。
きっと今頃は天国で、母と仲良く、楽しくやっていることでしょうね。
『お母さ〜ん、なんでみみちゃんを連れて行っちゃったの〜』
――おしまい――
『愛犬、愛猫 共に眠る』
墓石の裏に刻んだ言葉です
――みみ子さんがうちの子になったのは(後編)・おわり――
~うちの子がうちにくるまで No.2-2~
猫の名前:みみ子
犬種:保護猫
飼主:ゆきねー
▶ 作者の一言
▶ゆきねー:猫の記事 ご紹介
▶ゆきねー:犬の記事 ご紹介
●
~犬や猫と暮らすあなたへ~
『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』
犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。平均年齢でいえば15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。その葛藤を乗り越えて、我々は犬や猫と暮らします。
毎日が楽しいですか?
――きっと楽しいですよね。
だって、犬を飼うこと、猫を飼うことは、喜びに満ちていることだから。
どうか忘れないでほしいのです。その楽しさを手に入れる前に、我々はものすごく大きな決心をしたのだということを。
そして、どうか自信を持ってほしいのです。
その決心が、ずっと我々を支え続けてくれるのだと。
いつか、その子を送るときが来たとしても。
●
――うちの子がうちにくるまで、次話――
猫-3-1|ボンちゃん
思わず笑ってしまうほど個性的な猫、ボンちゃん。
そのボンちゃんが、ゆきねーさんのお宅に来た理由もまた個性的。
まずは出会いの話から。
どうやってうちに来たの? ボンちゃんの名前の由来は?
――とても笑えるお話です。
――うちの子がうちにくるまで、No2の前編――
猫-2-1|みみ子
犬猫で最大時11匹。
今や多頭飼いが当たり前のお宅に、最初の1匹としてやってきた子猫のお話。
犬猫の飼い方を全く知らない作者。
動物病院に、そして次に本屋に――
てきぱきと進める作者は、当時現役の看護師さんでした。
●
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
●
――お薦めの記事です――