撮影&文:ゆきねー
~うちの子がうちにくるまで No.3-1~
愛猫を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。
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さて、やっとうちの子になったはずのボンちゃんですが、こんなこともありました。
庭でバーベキューしていた時なのですが、何を思ったのか不意に逃げ出してしまったのです。
そしてボンちゃんは、また我が家の車に――
その頃はボンちゃん、保護時より大きくなっていたので、ボンネットを開けたら顔が見えました。この時はボディーの下には尻尾が見えておらず、完全に車と一体化です。
自分で出て来れるとも思えません。
うちは幸いにも、夫が車関係の管理職。
エンジンから何から外し、ようやく引っ張り出したました。
「お前!うちの子になりたくないなら出てけ!」
と、夫が一喝。ボンちゃんは、スゴスゴ玄関から家に入りました。
以後脱走していません。
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そう言えば、ボンちゃんには不思議な縁もありました。
ボンちゃんが我が家にやってきたのは、生まれてひと月半くらいの時。
その少し前に、私の母は可愛がっていた、キジトラの琴ちゃんという猫を、20才で亡くしていました。そのため、母はことの外ボンちゃんを可愛がり、しょっ中わが家に会いに来てくれたんです。
その頃、私は看護師をやっていてとても忙しく、母がうちに夕飯を作りに来てくれることが多くなって、とても助かりました。
さて、そんな可愛いボンちゃんですが、我が家の他の猫や犬を受け入れる事はなく、かと言って喧嘩するわけでもなく、我が道をいくタイプです。
本当に気ままで、こっちの行動を察するように、さっと姿をくらまします。
なので、今は家のどこに居るのかさえ分かりません。
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我が家のご飯は、それぞれの子が、食べる定位置が決まっています。
「さて〜!ご飯だよ〜〜!」
って言うと、皆が一斉に所定の位置に来ます。
上の写真はボンちゃんと、別の猫チョビ。
この時だけが、ボンちゃんと出会える機会と言ってもいいくらいです。
そして――、ご飯を食べると何処かに消えます。
で、夕方また出てきます。
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あ、でもこれは、いつも必ずというわけでもないのです。
それがまたボンちゃんです。
時々出てこない時もあるのです。
わが家はこんな時も、心配はしません。人だって食べたくない時は食べないでしょう? そんな感じです。
因みに、この階段の上の方にあるのが、ボンちゃんの食事。
食べにこなかった時の写真です。
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猫を長生きさせるためには、食事管理が1番大切だと教わりました。
なので、わが家は食事の時間を厳密に守ります。
朝夕7時がご飯の時間。その時間に来なかったら、食べたくないのだなと理解して、処分します。だからたべ損ねると、次の食事の時間まで、ご飯はないのです。
あ、これは罰じゃないんです。ボンちゃんもそのルールは分かっています。
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置き餌は絶対にしません。
それには食事管理の他に、もう一つ理由があるからです。
わが家には犬もいるのですが、犬は猫の餌が大好きです。なぜなら肉食の餌だから。
置き餌をすると、犬がそれを食べてしまうのです。
上の写真はチョビと、その餌を狙っているうちのチワワ。
因みに、チョビの上の段にチラッと写っているのが、ボンちゃんのご飯の器です。
ボンちゃんがご飯に出てこないとき、何をしているのかって?
さあ、どこかで寝ているんでしょう。
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夕食を食べ損ねた時には、夜中に夫が帰って来たときに、グダグダ訴えることがあります。甘える人をちゃんと知っていて、夫にだけは何故かベッタリなんですよ。
トイレの特訓をしてもらった恩があるからか?
車から助け出してくれた恩があるからか?
一番上の扉の写真が、ボンちゃんが夫に甘えるポーズ。
前足をがっしりくっ付けますが、目を合わせることはあまり無いです。
因みに私にはどうかというと、尻尾を引っ張り出したことを根に持っているのか、未だにご飯の催促にしか来ません。すぐ上の写真のように、カメラを向けるだけで速攻で逃げます。そんな子です。
そしてたまに見つけるボンちゃんは、クローゼットの隅にいたりします。
家の中のボンネットを探しているのかなぁ?
ボンちゃんはもう15歳。
病気一つせずに、元気にしています!
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ボンちゃんを助けた経験から――
最近では日産のキャンペーンもあって、運転前にボンネットを叩く『猫バンバン』が、広く知られるようになりました。
でも、それって寒い冬の話ですよね。
ボンちゃんは、バンバンと叩いても出てくることはありませんでしたし、全然寒くはない初夏に、車の底面の中に隠れていたわけです。
どうしたら、車に入り込む猫を助けてあげられるのでしょうね?
車を運転する私達が、しっかりと考えていかなくてはならないと思います。
――ボンちゃんがうちの子になったのは(後編)・おわり――
~うちの子がうちにくるまで No.3-2~
猫の名前:ボンちゃん
猫種:保護猫
飼主:ゆきねー
▶ 作者の一言
▶ゆきねー:猫の記事 ご紹介
▶ゆきねー:犬の記事 ご紹介
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~犬や猫と暮らすあなたへ~
『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』
犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。平均年齢でいえば15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。その葛藤を乗り越えて、我々は犬や猫と暮らします。
毎日が楽しいですか?
――きっと楽しいですよね。
だって、犬を飼うこと、猫を飼うことは、喜びに満ちていることだから。
どうか忘れないでほしいのです。その楽しさを手に入れる前に、我々はものすごく大きな決心をしたのだということを。
そして、どうか自信を持ってほしいのです。
その決心が、ずっと我々を支え続けてくれるのだと。
いつか、その子を送るときが来たとしても。
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――うちの子がうちにくるまで、次話――
猫-4|ボス
21歳と6か月で天国に行ったボス。
そのボスが家に来る時のお話。
猫アレルギーだったかあちゃんは、それからずっとボスと家族でした。
昔のことって覚えている?
自分のことは忘れたけど、うちの子が来た時のことだけは覚えているよ。
――うちの子がうちにくるまで、前話――
猫-3-1|ボンちゃん
思わず笑ってしまうほど個性的な猫、ボンちゃん。
そのボンちゃんが、ゆきねーさんのお宅に来た理由もまた個性的。
まずは出会いの話から。
どうやってうちに来たの? ボンちゃんの名前の由来は?
――とても笑えるお話です。
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――お薦めの記事です――