猫の話をしようか

なかなか聞けない猫の話。こっそりおしえる猫の話。

ニャー、ニャーと鳴きながら、私についてきたね ~『おいで』がうちの子になったのは~

f:id:masami_takasu:20180616095053j:plain撮影&文:Chobi

~うちの子がうちにくるまで No.5~

”うちの子がうちにくるまで”とは
愛猫を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。

まだ、私が若いころの話です。

仕事が終わり、駐車場へ向かう道で、私は1匹の子猫に出会いました。
その猫は、とても人懐こい子で、ニャー、ニャーと鳴きながら私についてきました。「捨て猫? お母さんがいないの?」
気にはなりましたが、だからといって私の家は賃貸住宅ですし、どうにもできません。私はその子を置いて帰宅をしました。

その翌日も、その子猫はそこにいました。ニャー、ニャーと鳴きながら。
そして私に気づくと、私の後を追ってきました。
私は「まだ、おるんやね」と声をかけ、そして帰宅をしました。
次の日も。そのまた次の日も、子猫はそこにいました。そうやって、数日が過ぎていきました。

 

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ある雨の日のことです――
子猫はいつものように、ニャー、ニャーと泣き、そして私の後についてきました。
――雨に濡れながら。

「私の家においで~」
私はその子猫を拾い上げました。
それが、私に家族が増えた瞬間でした。

その猫が我が家に来て、最初に覚えた言葉は「おいで~」でした。
「おいで~」と、言うとついて来るので、名前は『おいで』にしました。

『おいで』は私が近所の自動販売機まで行くときも、犬のように後をついてきました。私が買い物に出かけている間、近所を散歩して玄関で待っていることもありました。

『おいで』は綺麗な賢い猫でした。
イタズラや粗相をした記憶はありません。玩具を投げると必ず持ってきました。
『おいで』と夏を迎え、秋を一緒に過ごし、お正月には車とフェリーに乗って実家に帰省もしました。

『おいで』は私の言葉や私が喜ぶことを理解してたように思います。そして、『おいで』はいつも尻尾をピンと立てて、生きることを楽しんでいました。

 

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忘れもしない1月28日――
私は仕事でした。

休みだった夫が用事で家を出るときに、『おいで』はいつものように散歩をしようと一緒に玄関を出たそうです。
それが、『おいで』の最後の姿になりました。
夫が家に帰って来たときには、『おいで』は玄関の前で死んでいたそうです。
連絡を受けて、仕事を早退して急いで帰ったときには、『おいで』はもう冷たくなっていました。

《近所で野良猫が畑を荒らすからと毒を撒いていた》
《あの畑で野良猫が死んでいた》
後になって、そんな噂を聞きました。

その日の朝、『おいで』は猫の缶詰を欲しがりました。
でも私は、夕方に食べさせてあげようと思い、ドライフードしかあげませんでした。
だから私は今でも、猫の缶詰カルカンを見ると『おいで』を思います。

その日は、2回目の結婚記念日でした。
夫が買ってきた花は飾られず、そのままテーブルの上に置いたままになっていました。

私が今よりもっとバカな頃の話です。

 

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これは『おいで』の首につけていた鈴です。

数十年が過ぎました。
引っ越しもしました。
今でもこの鈴は綺麗な音がします。
私の大切なものです。
私の心には『おいで』が生きています。

『おいで』、いつか会ったら「あの時は本当に苦しかったよ」って怒るかしら?
それでも『おいで』は再会を喜んで、私の後を尻尾をピンと立てて、ついて来るような気がします。

 

――『おいで』がうちの子になったのは・おわり――

~うちの子がうちにくるまで No.5~
猫の名前:おいで
猫種:雑種
飼主:Chobi
ブログ:花と太郎

――うちの子がうちにくるまで・次話――

近日公開します。

――うちの子がうちにくるまで・前話です――

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――出典――

※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。