インタビュー:画家|呑山政子 (聞き手)樫村慧
撮影:呑山政子
画家が絵を描く時、傍らにはいつも猫がいる。
そんな光景が、まさしく絵になるなと思い、先日は画家の呑山政子さんのインタビュー記事『猫のいるアトリエ』を掲載させていただきました。
呑山家の歴代猫の話が面白くて、いつの間にか記事の半分以上が猫談義。
猫のサイトのインタビューなので、目的は果たしたとも言えるのですが、後になって、それで良かったのかな? なんて思うようになりました。
画家としての呑山さんの魅力を、全然語ってないような気がしてきて。
これはもう1回、呑山さんのお話を聞かねば。
そう思って、この企画を思い立ちました。
『猫のいるアトリエ』の続編インタビュー。今回は、作品の紹介が中心です。
早速インタビューの開始です。
Q.先日は長時間ありがとうございました。猫のお話は、とても面白くて、その話に夢中になってしまいました。今回は作品中心でお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。
何でも聞いてください。
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作品名:ものがたりものがたれ
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Q.作品の題名は、どれも『ものがたりものがたれ』なんですね。
そう、その題名で統一しています。どの絵も、物語られた物語の一部という気持ちで描いているんです。だから題名は一つで十分。
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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Q.呑山さんの作品の多くには、少女が登場しますね。何か物言いたげで、ついつい耳を澄ましてしまって、「何を言いたいの?」と問い掛けたくなります。
何も答えてくれませんけどね。
絵と対話をしているような、不思議な気持ちになります。
そう言っていただけるのは、嬉しいですね。
実は私は、自分の絵を言葉で表現するのが苦手なんですよ。どうしてかというと、私は自分の頭の中にあるイメージをキャンバスに転写しているだけで、頭の中には特に理屈やテーマは持っていないんです。
だから、絵を見た人から感想を聞いて、「なるほど、これはそんな絵なのか」って自分で感心したりします。
これから誰かに自分の絵を説明するとき、「私の絵には対話があるんです」って言おうかな。
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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Q.あの少女は何を語っているんですか? 或いは呑山さんは、何を語らせたいのでしょうか?
何にもないっていうと、無責任ですかねえ?
だってあれはイメージなので、私自身が何かを語らせようという意図は無いんですよ。先程対話のある絵と言っていただいて、喜んだのと矛盾してしまうようすが、作品を見て下さる方が「何?」って聞くのは、私の腕がまだ未熟だと言うことです。
絵の方が饒舌に、何かを語りかけてくるようになって、はじめて本物だって思うんですよ。
だから、”対話のある絵”と言われるのは、嬉しいのが半分で、あと半分は悔しいですね。
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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Q.ご自分の作品について、こんな風に鑑賞して欲しいっていうご希望はありますか?
それはあります。自由に感じてくださいって事です。
私は作品というのは、作家の手を離れた瞬間から、作家の者でなくて鑑賞者のものだと思っているんです。だから自由に感じ取って下さい。それから、作品について自由に語ってください。
もうこの作品は私のものでなくて、見る方のものです。
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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作品名:ものがたりものがたれ
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Q.自由に感じるですか。私の感じたままを言うと、この女の子は、心の深いところで何かを考えているような印象です。憂いとうのか、それとも悩みなのか。
表情もそうですが、深い色合いがそんな風に感じられますね。
それも含めて、鑑賞される側の自由ですね。
実は私の作品は、アトリエで見るともっと明るくて、色合いも鮮やかで、楽しそうに見えたりするんですよ。光線の具合なんでしょうね。
アトリエで完成させて展覧会に出して、そこで改めて新鮮な目で見て、驚く事も良くあるんです。
そんなことも含めて、絵は奥が深いし、おもしろいなあと思います。
まだまだ修行の身なので、これからもっと上手くならなきゃって思っています。
Q.最後にもう一つだけ。これからのご予定とか、抱負などがあったら、お聞かせください。
抱負と改めて聞かれると、困ってしまいますね。
一言だけ言うとしたら、これからも同じ、毎回毎回 キャンバスの中に分け入って、見たことないなにかと格闘して、手応えあるものを掴んできたいなあとは思い続けています。
今日はインタビューに応じていただき、ありがとうございました(樫村)。
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さて、呑山さんへのインタビューはここまでです。
絵は写真で見るのと、実際に見るのとでは印象が全然違います。特に100号(162.1㎝)を越えるような大型の作品には、圧倒されます。
素人的な言い方ですが、あの大きさを筆で埋めていく訳ですから、作家の執念というか、熱量を感じない方がおかしいと思います。
どうか皆さんも、機会があれば展覧会や、画廊に足を運んでみてくださいね。
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(呑山さんに、予定お聞きしてみました)
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前の記事よりは少しは、呑山さんの作品のご紹介になったでしょうか?
「猫のいるアトリエ」
やっぱり素敵ですよね。
――猫のいるアトリエ(追加編)・おしまい――
インタビュー:樫村 慧
――前回のインタビューです――
――呑山政子さんのブログはこちら――
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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