猫宅・44の物語 2話
今回のお話は:茶々
前話では、我が家が猫宅を設けるきっかけについてお話をしました。
今や44匹が住む猫宅ですが、何事にも始まりはありますね。
ここで少し、猫宅で暮らし始めた一匹目の子、とらの様子を書いておこうと思います。
私と娘は、1日3回猫宅に通うようになりました。それは勿論ご飯をあげるためです。我が家では基本1日三回ご飯をあたえます。それとトイレの掃除や部屋の掃除もしなければなりませんし、天気が良ければ布団等を干したりもします。
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娘は社会人の為お休みの日にしか行けません。
なので役割分担は、普段の朝昼は私が、夜は二人でといった感じです。
とらは寂しいのか、夜私達が帰る頃になると甘えていましたね。
2階の窓から私達が帰るのを見届け鳴いていました。
私はそんなとらのために、昼間は時間が有る限り猫宅にいって、とらを抱っこしてやりました。
トイレは直ぐにおぼえてくれて、砂を入れて設置したら迷わず使っていました。
さて、猫宅が出来たからと言って、どこかからゴッソリ猫を連れて来て、一気にそこに入れたという訳ではありません。44匹になるまでには、1匹ずつそれぞれにエピソードがあって、次第に増えて行きました。
ここからは、とらに続いて猫宅の住人が増えていく過程を書いて行こうと思います。
まずは2匹目の子、茶々のお話です。
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1匹目の住人とらには、仲良くしていた外猫さんが居ました。
その子が茶々。猫宅を始めるよりも前のことです。
しかし茶々は、ある日を境に姿を見せなくなってしまいました。
茶々には一緒に産まれた、お市と言う姉妹猫が居たのですが、最初お市が姿を消し、その後を追うように茶々が居なくなってしまったのです。
外猫には色々な危険がありますので、少々気に掛かっていました。
月日が経ち、猫宅にとらが住むようになってからしばらくしてのこと。
ふと窓の外を見ると我が家の駐車場に、なんとなく見慣れた猫がいます。
ここで少し、我が家の周辺がどうなっているかのお話をしておきましょう。
実はそれが、後の方の話にも繋がっていきます。
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我が家は前話に書いたように一軒家です。玄関を出ると車1台分は余裕ある道路で、その向こう側に、道路を挟んで平行するように駐車場がありあます。
更にその向こう側には、よそ様の家が建っています。
家の窓からは、この駐車場を見渡すことが出来るのです。
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さて、駐車場に猫の姿を発見した私は、すぐさま外に飛び出しました。
その猫は、とらと仲良しだったあの茶々に似ていました。
間近に見ると、驚いたことに猫の体は全身ねばねばでした。きっとネズミ取りにかかったのだと思います。
そして、その猫は、紛れもなくあの茶々でした。
よく車の後ろでご飯を与えていたので、その場所を覚えていたんだと思います。
「君は茶々だよね?」
私は声を掛けました。どこかでご飯を貰っていたのでしょう。それほど痩せてはいませんでした。そして良くなついており、直ぐに体を触らせてくれました。
茶々は私に近寄ってきて、頭や身体をすりすり。私の顔を見つめ何か言いたげです。
「待ってて、ご飯持って来るから」
私はそう言い残して、家にフードを取りに行きました。
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おっとりの茶々は逃げる事もなく、そこで待っていました。
「さて、どうしようか?」
何をするにも、まずは身体のネバネバをなんとかしなければなりません。しかしその場所では無理なので、ひとまず猫宅に連れていくことにしました。
私は猫宅で、茶々の身体に着いたねばねばを取りはじめました。
ネットで調べて、小麦粉を身体に振りかけコームでとかし、酷い所はカットしていったのです。
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猫宅の先住猫とらとは、鼻を付き合わせ匂いをクンクン嗅ぎ会い、喧嘩する事もなく打ち解けました。とらの方も仲間が増えて、喜んでいたと思います。元々仲の良かった茶々だったのですから尚更です。
こうして猫宅には、2匹目の住人が増えたのでした。
余談ですが、その当時猫宅の事は私と娘しか知りません。外猫には隠れてご飯を与えていたころのお話です。
さて、次話は3匹目と4匹目の子のお話。
先程ご説明した、駐車場が絡んできます。
――つづく――
(写真のご説明)
この記事の写真は、以下の通り。
1枚目(扉):今の茶々
2枚目:猫宅の風景
3枚目:猫宅の風景
4枚目:猫宅の風景
そして――、これが最近の食事風景です。
作:女神
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――次話――
44の物語、今日は3匹目と4匹目のお話。
外猫が産んだ子猫が成長して、やがて季節は冬に――
猫たちは暖を取るために、駐車場に集まってきます。
経験上、エンジンルームに忍び込む子は、猫バンバンでは足りません。
ある日、ボンネットを開けると、そこには――
――前話――
44匹の猫が住む家、その名も『猫宅』
今日は保護した猫たちのために、専用の家『猫宅』を借りた飼い主さんのお話です。
1匹ずつに物語があって、今日はその猫宅住まいの最初の1匹目を保護した時のお話。
さて、44の物語、完成するでしょうか?
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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