猫の話をしようか

なかなか聞けない猫の話。こっそりおしえる猫の話。

【リンパ腫/闘病記を読むということ】ソーニャ・ロスになるかも! ~見つけた! 私の、生きようず!!~

「その日」がくるまで生きようず! に寄せて
f:id:masami_takasu:20190311084102j:plain文:樫村 慧

飼い主にとって、愛猫や愛犬の闘病は、とても辛くて長いトンネルのようなものだ。

いつまでも子供のようで、ずっと一緒に居てくれると思っていた存在が、病気であることが判明したとたんに、実はとても脆く、儚い存在でであることに我々は気づく。
そして限りある命が、いつか目のまえから消えてしまうという現実を、目の当たりにする。

その衝撃は、言葉では表すことが出来ないほどだ。夢であって欲しい、これは何かの間違いなんだ、――と心の中で葛藤が続いていく。

そんな時、同じ立場にいる飼い主の闘病記を読む。
「ああ、同じだ。ここにも私みたいな人がいる」それだけで、かなり心は軽くなる。そして「この人も闘っているんだから、私も」と思えるようになるものだ。

「その日」がくるまで生きようず!は、そんな励まされる闘病記の一つだ。

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私が犬猫の情報サイト、WithdogとWithcatを立ち上げた時、主宰と決めていたことがある。それは闘病や看取りに関する手記を配信しようということ。
世の中の犬猫情報サイトの多くが、可愛いうちの子自慢を掲載したり、ちょっとした愛犬愛猫のケアグッズ、アイデア商品を紹介している状況をみるにつけ、それはかなりのチャレンジに思えた。

はたして愛犬、愛猫の死に直結する話は望まれているのか?
楽しい記事、微笑ましい記事でないと、読者のニーズに応えられないのではないか?

そんな葛藤があった。
しかしそれでもやろうと思ったのは、自分が愛犬の看護、介護をし、看取った経験から、飼い主にとってその情報は、絶対に必要なものだと信じたからである。

 

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主宰も私も犬と暮らしていた人間で、猫と過ごした経験がない。当然、猫に関する記事も少なく、サイトを運営していくには心許なかった。

「猫の闘病記を探してくれないかな」そう主宰から言われた時は、途方に暮れた。
さて、どうやって見つければいいのか――

親友の妹さんが猫飼いだったことを思い出して、彼女に連絡を取った。
有り難いことに、猫の闘病記をいくつか知っていて教えてくれた。

しかしそれらを読んでみると、闘病記というのもの自体が、サイトの記事として配信するにはとても難しいということが分かってきた。

WithdogとWithcatは闘病記を配信しているが、闘病記専門サイトではない。本質は読み物のサイトである。だからコラムやエッセイや短編小説と同じ次元で、闘病記も位置付けられているのだ。簡単に言えば、物語としての完成度が必要で、読者に歓びや感動を与えられるものでなければならない。

 

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結局、教えてもらった闘病記も、配信が出来たものはわずかだった。
いつも記事不足に悩んでいるサイトなのに、自分でハードルを上げて、記事を選り好みするなど、なんと贅沢なことであろうか? そう思わないでもない。
しかし自らが決めたことなのだから、仕方がない。

「これ以外の闘病記は、自分で探すしかないな」
私は様々なキーワードで検索を試みた。そして行き着いた先に、猫のリンパ腫の闘病記を見つけた。

それは、なんだかとても読みやすく、ところどころにクスッと笑えるような箇所があり、それでいて飼い主の心の葛藤や揺れがストレートに伝わってくる。まるで作者が書きながら、自分の気持ちの波を楽しんでいるのじゃないのかと思えるような文章だった。

読み進めると、ほくそ笑みながらも、涙も出てくる。
それまでにいくつもの闘病記を読んだけれど、ここまで長く一気に読めたものはなかった。

 

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「これを絶対にサイトで紹介したい」
すぐに主宰に連絡をした。「まずは読んでください」と。
「あー、いいね、これは」
しばらくして戻ってきた、主宰からの返信に、ニヤリとしてしまった。
「どうにかこの方に連絡をして、許可をいただいてください」
祈るような思いで、全てを主宰に託した。

それから、どのくらい経った頃だろう。
「あのリンパ腫のブログの人、どうやら文章のプロらしいんだよ」
主宰からの言葉に、目が点になった。

「ええっ〜、プロって?作家さんですか?」
「脚本家だって。『相棒』とかの脚本も書いている人」
「ひぇ〜、物書きのプロの方が書いたものだったのか。どうりでお上手なわけだよな…」
「うちのサイトを読んでくれたみたいで、配信させてくれるって」
「きゃ〜、本当ですか??やったぁ!!」

あの時の驚きと感激は、つい昨日のことのように蘇ってくるほど鮮明だ。

 

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 『その日』がくるまで生きようず!

私が見つけたその闘病記が、あと数回で終了となる。このお話は、これまで、どれくらいの飼い主さんに寄り添って、勇気づけてきたのだろう。どれほど、リンパ腫という難しい病気と闘う飼い主さんの救いとなってきたのだろう。

少しずつ病状が進んでいく様子を、淡々と綴り、飼い主の心に渦巻く不安と、たまに訪れる希望を語り、強がったり、涙にくれたり、そのアップダウンさえ隠すことなくさらけだす。思い切りのいい男前のようでいて、とても繊細。とてつもなく人間くさくて、かっこいい。

私は、こんな文章が大好きなんだと気づかせてくれた。

 

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この闘病記の配信が終わると、私はきっと『生きようず!・ロス』になるだろう。ソーニャさんに会いたくて、また読み返してしまうのだろうと思う。

始まりがあれば、終わりが来る。でも、作品はいつまでも残っていく。
色褪せることがないまま、ずっとーー

こんなにすごい闘病記を見つけたのに、誰にも褒めてはもらえない。なので、自分からアピールしてみようとこの記事を書いた。そこまで自己主張が強いタイプの人間ではないのだけれど。

最後に、この闘病記の配信を、快く許して下さった波多野さんに心より感謝致します。

ソーニャさんに出会えた奇跡に感謝します。

そして、ご愛読いただいた読者の方々にも――

私が見つけた『その日』がくるまで生きようず!よ、ありがとう!!
またいつか、会おうず!!

 

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「その日」がくるまで生きようず! の思い出

「その日」がくるまで生きようず! の配信を行う上で、とても苦しんだことがありました。それは各記事に挿入する画像についてです。

波多野さんから掲載の許可はいただいたものの、「ソーニャちゃんの画像をいただけませんか?」とお願いをしたところ、「ないんです」というご返事がきました。
理由は、画像を保存なさっていたPCから、データが消えてしまったのだということでした。

我が家のピーチーもそうなのですが、電子的な記録は絶対ではなく、時に消えてしまうことがあるのです。

波多野さんのブログに掲載されていた画像は僅かしかなく、記事数は100を超えています。毎回画像を使うととても足りません。しかも解像度が小さかったので、単純に拡大をすると画像が荒れてしまいます。

そこで考え出したのが、小さい写真のままで、解像度の高い背景と合成することです。例えば、この記事の2枚目と3枚目の画像は、ソーニャちゃんの猫種であるロシアンブルーの起源と言われる、ロシアの港町アルハンゲリスクの画像に、ソーニャちゃんの画像を重ねたものです。このようにすると、背景を差し替えることで、いくらでもバリエーションが増やせます。

こうして、事前に数百枚の挿入画像を事前に作成しました。配信した記事は約100で、各記事に2枚づつ。計200枚ほどの画像を使用しました。
作成した画像数百枚の約半分です。

折角なので、未使用のものを幾つかご紹介します。

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多分、皆さんはお気づきになっていないでしょうが、写真の一部が切れていたり、ぼけていてそのままではどうしても使えないものは、手描きをしているんです。

特に緩和の章では、記事が書かれたその時のイメージにしたいと考えましたので、上にご紹介したような合成の手法は使っていません。
全ての画像が、元記事から抜きだした画像を元にして、全てに手描きの工程をくわえてあります。

こんな風に進めた編集作業でした。
闘病記の内容も思い出深いのですが、画像の作成も思い出深いのです。

――高栖匡躬――

文:樫村 慧

――その日がくるまで生きようず! 緩和の章――

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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