「その日」がくるまで生きようず!
文:miyakonokaori (本記事は2014年に執筆されたものです)
約半年にわたる闘病生活を終え、次の世界へ旅立った猫さん。
この世での姿とは今日でお別れ。
飼い主としては、その勇姿をしっかりと目に焼き付けて、送ってやらねば!です。</p >
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前の夜は、猫さんを寝室へ運び、いっしょに眠りました。
冬は布団の中、夏はタンスの上に置いたカラーボックスの上に敷いたバスタオルが、元気だった頃の猫さんの定位置でしたから、この夜は、夏の定位置のカラーボックスの上で眠ってもらいました。
朝、私がひとあし早く起き、猫さんを大好きなお花たちの中に戻しました。
たくさんの気持ちのこもったお花たちですから、猫さんにも居心地いいだろうなと思いまして。
注:ここからは、猫さんのご遺体が出てきます。やさしい写真ですが、苦手な方はここでサヨナラです。
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こんな風に
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そして、ひとつまみ、猫さんのふわふわの毛を切り取り、抜けていたおひげといっしょに、小さなビニールに入れました。
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火葬は、前もってあたりをつけていた動物霊園にお願いしました。
中野区江古田にある、哲学堂動物霊園です。
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13日は一日雨の予報でしたが、猫さんを送る朝は奇跡的に雨が止んでいました。
こんなとこでもやっぱり「持ってる」猫さんなのでした。
火葬は9時半でしたので、それまで猫さんを抱いて、家中の好きだった場所に行きました。そしてバルコニーに出て、いつも見ていた景色を見せました。
そして最後に空を――
「ちゃんと間違えないで、あっちに行くんだよ」
そう声をかけると、なんとなくですが、猫さんがふっと微笑んだような気がしました。
まるで「大丈夫だよ。心配すんない!」と言っているかのように。
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時間がきたので、Aちゃんとタクシーに乗って、動物霊園へ。
前の日に散々、猫さんについて話したのですが、7年10ヶ月分の想いは途切れることはなく、車の中でも、猫さんとの思い出を語っていました。
到着後、丁寧な係員さんに促され、まずは祭壇へ。
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うおっ、豪華!!!
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Aちゃんに「私が死んでもこんな豪華なとこでやってくれんでしょ」と言うと、
「そりゃそうだ!」と笑われました。くそー!
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火葬の準備が整うまで、ここで最後のお別れです。
お線香をあげて、祈りをささげ、体を撫でました。
もう散々、撫でたんですが、撫でても撫でても足りない想い。
ほんとに最後までふわふわのつるつるで。
一日経っても、お顔はかわいいままで。
ずっとこうしていたいな、と思いました。
が、無情にも「火葬の準備が整いましたので」と呼ばれ、火葬場へ向かいました。
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外は霧雨に変わっていました。
カゴにのせた猫さんには、黒い布がかけられ、それをAちゃんがしっかりと抱いて、
一歩一歩、進みました。
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火葬場で、ほんとうに最後のお別れ――
首輪やおもちゃはいっしょに焼くことができないので、ここで外すことに。
Aちゃんが金の首輪を外そうとしましたが、手が震えて外すことができず、私が外しました。
頑張った証の金メダル。
形見として大事にします。
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花一輪とお手紙だけはいっしょに焼くことができるというので、いただいたお花に添えられていたメッセージカードの裏に、いつでも戻ってこられるように住所を書いて、猫さんに持たせました。
「これが最後なんだ」
と思うと、やはり涙があふれ、猫さんを撫でながらたくさん声をかけました。
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ありがとう。
頑張ったね。
少し休んだらまた戻ってきてね。
大好きだよ。
最後に、いつもいつもしていたこと――
猫さんの耳元にキスをして、猫さんの体から離れ、お別れを済ませました。
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焼き場へ入っていくのを見送りながら、Aちゃんと「いってらっしゃい」と声をかけました。
待合室で待つこと、約30分。
猫さんの火葬が終わり、お骨あげに行きました。
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壮絶な闘病生活でしたし、お骨なんてほとんど残らないんじゃないかと思っていましたが、しっかりと残っていてくれました。
かわいい頭も、仏様の形をした喉仏も、尻尾も、たくさん点滴を頑張った脚も。
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Aちゃんといっしょに、それらをひとつずつ、骨壺に納めていきました。
ちゃんと残っていてくれたこともあって、なんだかホッとして、
「ああ、ここ撫でると気持ちよさそうにしてたよね」
「歯ぎしりしてたから、あごの骨もしっかりしてるわー」
などと言いつつ、笑いながら納めてました。
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すべて納め終わると、骨箱に入れていただき、納骨堂へ。
観音様の前に、猫さんの骨箱を置いて、お線香と祈りを捧げました。
「どうか、天国のいちばん素敵な場所へ導いてやってください。とても頑張ったんです」
と、観音様にお願いしたあと、納骨堂をしばし見学。
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たくさんのペットたち、そしてたくさんの飼い主たちの愛情があふれた納骨堂でした。「ここでもいいね」
そう言いながら、納骨堂を歩いていたのですが、不意にAちゃんが泣き出しました。
私はそれに気づかないふりをし、別の方向を見ながら、やはり泣いていました。
愛されたペットたちの尊さ、飼い主の想い、いろんなものが共鳴して、涙せずにはいられなかったのです。
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その後、紫の風呂敷に包まれた猫さんのお骨を手渡され、すべてが終わりました。
敷地内の大きな観音様に、再度、猫さんを天国へ導いて下さることをお願いし、動物霊園を後にしました。
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タクシーを拾える大通りまでの道を歩いていたとき、どちらからともなく、
「終わっちゃったね」
と、言いました。
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猫さんと過ごした7年10ヶ月のうち、半年が闘病生活でした。
しんどかったけれど、やっぱりいっしょにいられてよかった。
ペットを飼うということは、楽しいだけではありません。
胸を引き裂かれるような悲しい日も、いつか迎えなければなりません。
でも、それでも――
やっぱり、猫さんをお迎えしてよかったです。
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「今まで、ありがとね。Aちゃんがいなかったら、闘えなかった」
昨日はっきりとわかったことを、Aちゃんに伝えました。
Aちゃんは、私にとって、戦友であり、親友であり、そして家族なのだということ。
だからこそ、猫さんを亡くした悲しみを含めたこれからの人生、家族として越えていきたい。
「これからもよろしく……」
涙で声を詰まらせた言葉が、返ってきました。
猫さんは天国で「やっと気づいたのかよ!」ぐらい思っているでしょうか。
あなたのおかげで家族だと再認識できた、鈍い人間でごめんなさい。
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銀色の箱と紫の布という、猫さんらしい衣装をつけて、大好きだったおうちへ帰ってきました。
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49日までは手元に置いておきます。
その後のことはまだ決まっていません。
もしかしたら、もう少し、ここにいてもらうかもしれないな(笑)
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抱えきれないほどたくさんの思い出をくれました。
ありがとう。
寂しくてたまらないけれど、私たちは大丈夫です。
今はゆっくりと休んで、天国で楽しく遊んでください。
あ、だけど、なるべく早めに帰ってきてほしいかな(笑)
また会おうね。
あなたは今でも、世界一かわいい、私たちの大切な大切な娘ですよ。
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2014.3.12 ソーニャ永眠(7歳11ヶ月)
――【リンパ腫】天使の章(1/8)・つづく――
文:miyakonokaori
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。