猫の話をしようか

Withcat 猫と飼い主の絆について

【避妊手術の選択】聞きなさい。知りなさい。そして理解しなさい ~二人に舞い降りたものは何?(6/11)~

私の空、マナ 16話
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撮影&文|あおい空
 

避妊手術の検査の翌日は日曜日でした。

私は心身共に疲れていましたが、マナは何も知らずに私に甘えてくれて、私も手術の延期決めたことで、気持ちに区切りがつき、ホッとした気持ちでマナと休日を過ごすことができました。

月曜日は仕事です。

会社に行った私ですが、動物病院には早めに、手術をやめる決心を伝えなければなりません。昼休みを待って、私はすぐに電話をかけました。

受付の女性が電話に出ました。
そこで用件を伝えると、医師が電話に出ました。

私が今回の避妊手術は見合わせることを告げると、思わぬ言葉が返ってきました。
「延期するのは構いませんが、今度避妊手術する時に又検査料が要りますがいいんですか?」
私は言葉を失いました。何故そんなことを言うの?
私は困惑しながら、「すみません、今回は見合わせます」ともう一度答えました。

落ち着いて考えれば、確かに医師の言うとおり。それも大事なことです。
しかし、マナの生命のことしか頭に無かった私には、手術費用の損得など、考える余地もありません。

 

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病気のことを知って以来、まず私が考えたことは、マナがエイズを発症しはしないかということ。ストレスが発症の要因として大きいことは、事前の知識としてありました。だからこそ、手術を回避したのです。

もしも発症した場合のことも、ネットで調べていました。

エイズ関連症候群(1年、またはそれ以上)
リンパ節の腫れに加え、慢性の口内炎、鼻風邪の症状、皮膚病、下痢、発熱、軽度の体重減少が見られるようになる。重篤な症状を示す病気になった状態をエイズと判定している。

エイズ(数か月)
激しい削痩、貧血、白血球減少症、免疫不全による悪性腫瘍(がん)、日和見感染症などがおこる。

上記は抜粋。出典:Wikipedia

次に私が考えたのは、マナがエイズを発症した場合、飼い主として世話をし、看取ってあげられるのかどうかということです。私は苦しむマナを見たくないし、見られないとも思いました。

しかし調べた情報の中に、救いもありました。

FIV陽性ネコの生存率(survival rate)
FIVに陽性と診断されてから1年でおよそ約20%が死亡する(発症していないネコの安楽殺を含む)ものの、それ以降はFIV陽性ネコ群と陰性ネコ群では生存率に大きな差は見られない。

上記は抜粋。出典:Wikipedia

つまり、感染していても発病するとは限らないということです。
そしてストレスが発症の大きな要因であることも、多くの資料で確認することができました。

こんな私だから、検査費用のことなど微塵も頭にありません。
と同時に、その話を持ち出した医師に対しても、何らの嫌悪感も感じませんでした。
それほど、わたしにとって異次元の話だったわけです。

 

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私は自分の人生で、困難に直面したときの指針にしている言葉があります。
『聞きなさい。知りなさい。そして理解しなさい』
それは、亡くなった父が、私に残してくれたものです。

私なりにその言葉を解釈をすると、『聞きなさい』は、今直面している出来事について、事実を正確に把握しなさいということだと思います。少し言い方を変えると、人の解釈や見解に囚われずに、先入観なく事実と向き合えということでしょう。

『知りなさい』は、『聞く』だけで物事を判断しては駄目だということでしょう。自分なりにその事実について調べて、知識を得よと私に言ったのです。

『理解しなさい』は、自分で集めた知識を元に、自分なりの考えを組み立てなさいというこということでしょう。父は私に自分の頭で考えて、自分で判断をしなさいと言いたかったのです。

世の中の出来事には、正解が一つだけということはありませんね。自分なりの正解を自分で見つけだすことが大事で、そうする癖をつけておけば、もしも答えが間違いであっったとしても、考える過程の全てが糧になると父は言いたかったのです。

父はその言葉を体現したような人で、自分が知らないことや、事実かどうか分からない事は、絶対に口に出すことはありませんでした。私が子供のころ、たったの一度も、父が人の悪口を言うのを聞いたことが無く、それどころか噂話さえも耳にすることがありませんでした。

 

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さて、マナと私に襲い掛かった試練ですが、私は父の教えに従って、聞き、知り、そして理解しなければなりません。

まず私は、マナがFIVに感染していることを聞きました。そして発症したらどうなるのか?発症しないように、どんな努力ができるのかも知りました。

理解しなければならないのは、この試練が私とマナにとって何を意味するかということです。もっとかみ砕けば、私とマナがFIVに立ち向かい、どうしたら有意義に生きていけるか、その道を探さないといけないということ。これはこれからの課題です。

次に私は、マナに避妊手術が必要ということを聞きました。しかしマナがFIVに感染していることを知り、ストレスが発症の要因になる可能性があることを知りました。

私は避妊手術が、私とマナにとってどんな影響を及ぼすかを、理解しなければなりません。その上で、避妊手術によって避けられる病気があるというメリットと、エイズを発症するかもしれないリスクを天秤にかける必要はあります。
こちらの場合は、今すぐの決断が迫られました。だから私は私の理解に基づいて、手術を回避したということです。

医師がどういうつもりで手術の決断を迫ったのかは、知る由もありません。
手術費を稼ぎたかったのかもしれませんし、それ以外に理由があるのかもしれません。
ただ私は、医師の真意がどこにあろうと、医師の言葉に何も異議を唱えるつもりはありません。感謝こそすれ、怒ったり嫌悪することもありません。

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実はこの後で、避妊手術を延期すると言った私と、避妊手術を勧めた医師が、鏡の如く正反対の言葉を発する日が来るのですが、それは別の回でお話をしたいと思います。

 

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さて、その後のマナとの生活に話しを戻します。

この年は2月になると、記録的大雪でした。
マナは初めての冬!
そして実家に日帰りで帰る以外さみしく過ごすお正月休みの同居人にはマナと一緒の楽しいお休みです。

実は私、道端の小さな花を押し花にして栞を作るのが趣味なのです。
とにかくマナはかまってほしい+興味津々の子ネコさんなので、栞作りはあきらめていました。押し花を入れた箱をテーブルに出すだけで、チョンチョンチョン手を出してきます。しまいには、押し花食べちゃうマナ。
「きえ~!マナやめて~」

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マナと暮らし始めて、1度は栞作りを諦めたことのある同居人。しかし今回は100枚作る野暮用があります。

春になるとチョボチョボ会社の行き帰りに道端の花を摘んで押し花にしたものです。これ全部部屋に吹き飛ばされれば大変と手を出すマナとの攻防戦。もちろん防ぐのは私で攻めるのはマナです。

 

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今思い返せば、それは人間の赤ちゃんも同じですよね。だめよと言っても、ある程度親の言葉や理由がわからなければ言うことを聞いてくれません。ネコも同じではないかと思うのです。
いつも留守番のマナは、とにかく構ってほしくて仕方ありません。
ごめんね、マナ…

作業はなかなか進みません。そして夜は更けていきます。さすがのマナも眠くなったようです。テーブルの上にうずくまってコックリコックリ。
ネコもコックリするんだ~!初めて知りました。私はマナを見て笑いました。栞作りは2日間夜中まで続きました。ようやく出来ました。

「ごめんね、せっかくのお休みなのに構ってあげられなくて」
こんな時には、きっとケージがあれば楽だろうなと考えたりもします。ケージに入ってもらえれば邪魔されずに、時間もかからずに出来るわけですから。

しかし、同じ時間を共に生きて、共に学ぶことのメリットも捨てがたいものがあります。実はそのことも、後に実感することになるのですが。

さて、どーなる?
マナと同居人!

 

――二人に舞い降りたものは何?(6/10)つづく――

作:あおい空
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構成:高栖匡躬、樫村慧

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週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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