猫の話をしようか

Withcat 猫と飼い主の絆について

【猫と飼い主】マナのフード事情 ~二人の未来を紡いでいこう(3/9)~

【関連コンテンツ】

私の空、マナ 24話
私の空、マナ_扉

撮影&文|あおい空
 

今日はマナの食事のお話です。

マナはフードをあまり食べてくれません。マナはとても臆病で、昼間1人でいるときには、恐くてカリカリを食べられないというのがあるのですが、それ以前に元々食の細い子でした。

何を食べていたのかと言うと――
最初の頃の私は猫初心者で、猫初体験でしたから、拾った日にはタクシーでペットショップに行って、店員さんにフードを選んでいただいきました。
子猫用のカリカリです。

その後、ワクチン摂取で動物病院に行った際に、医師にフードの相談をしてみたのですが、今食べているフードでいいでしょうとのことで、医師としてのオススメのフードは特に無いようでした。

それでそのまま、ペットショップの店員さんに勧めていただいたフードが定番になりました。

このフードは高い上に、近くのドラッグストアーやスーパーになく、往復1時間以上かけて、自転車(腹心のエリザベス号)で買いに行かなければ行けませんでした。しかしフードだけは良いものをと決めていましたので、苦労はいといませんでした。

しかし、ある休日のことです。その日はフードが切れていたのですが、どうしても前日にペットショップに行けない事情がありました。やむを得ず私は、ドラッグストアーで小袋に入ったフードを買って、皿に入れてあげました。

しかし――、マナは全く口にしようとしませんでした。

これには困りました! しかもその日は、雨。
「どうしよう?」
でも、買いにいくしかありません。

バスに乗り込んだ私。ペットショップに向かいます。
私の住む地方は「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるくらい雨が多いところです。晴れた日は自転車なので良いのですが、バスの時のフードはかなり重いです。

もう一つ気がかりなことがあります。
休日は、とにかくマナと一緒にいてあげたい同居人なのです。
「1分でも早く帰らなければ!」
と思い、バスが到着するやいなや、ペットショップまで走りました。もう必死です。

目的のペットショップは、大きなショッピングセンターの敷地内にあります。
私にとってショッピングセンターは、誘惑だらけの場所です。
というのも、会社はオフィス街にあり、近くにあるのは高級百貨店ばかりです。洋服や靴も高くて手が出ません。

だからショッピングセンターは、入り口から見える店内からして、キラキラ輝いて見えました。本当にキラキラと――
本当なら寄って何か見て歩きたい所です。しかしマナのためには我慢です。
調べておいた時刻のバスに飛び乗り帰宅しなければなりません。

もしも車があれば、バのス時刻など気にせずに、途中のバス停ごとで停車もしないので気軽に行けるのですけどね。車を手離した今となっては、私の身に襲いかかるのは重いフードと決められたバス発車時刻です。

そして――、これまた敷地内にある焼き肉店からは、お腹が鳴るような美味しそうな匂いが風に乗ってやってきます。本当にショッピングセンターは誘惑的な場所。

キラキラ店舗。ヨダレが出そうな焼き肉の香り!
そこに、私を待っているマナの顔が浮かびます。
「そんなものくそ食らえ!」
となった、フード購入でした。

この一件以来、無くなる前には気をつけて買っておかねばと、若葉マークののんびり屋の私も懲りたのでした。

 

さて、そのフードですが、マナが月齢1才になる2ヶ月前くらいからドライフードを切り替えなければと考え始めました。その時に食べていたカリカリは、栄養価が高い子猫用です。

まずは『猫 フード』で検索です。初めて猫を育てる飼い主にとっては、フード選びも試行錯誤するしかありません。検索から得た情報では、『新しいフードには、徐々に切り替えていく』と書いてありました。

「確かに!」
急に新しくして、マナが食べてくれなかったら大変です。今までのフードを買いながら、新しいものに徐々に切り替えないといけません。

その頃のマナは、月齢10か月(医師推定)――
ペットショップの店員さんに「そろそろフードを切り替えようと思っているのですが」と相談すると、試供用の小さな小袋を何種類か下さいました。これは有り難かったです。

あげてみると、少し食べますが気に入らない様子です。違う種類のフードを上げてみましたが、どれもマナは拒否します。はじめはそんなことの繰り返しでした。
やがて、マナが何とか食べきってくれたフードが見つかりました。幸いお値段は、”ほどほど”のものです。それまで試供品でもらったフードは、お値段は高いものでしたが、高いから食べるというものではないことが良く分かりました。

その、何とか食べてくれたフードも、”ほどほど”のお値段とは書きましたが、スーパーやドラッグストアーのフードからみればお高い商品。でも、冒頭に書いたように、フードだけは良いものをと決めていました。

マナの食事に関してはもう一つ。

マナと暮らして3ヶ月あまりの12月の頃のこと。会社で頼んだケーキをアパートの隣人さんにお裾分けした時のことは、以前に書きましたよね。
その時にお返しで、「ネコにどうぞ。食い付きがいいと思います」と言っていただいたネコのオヤツはマナが気に入っていました。もちろんオヤツなので、毎日は上げられませんが、たまに買ってきました。

その頃、SNSでチュールをネコさんが食べているのを目にするようになりました。
いつものオヤツではなく、そのチュールを買ってきてマナにあげようとしましたが、マナは全く受け付けようとしませんでした。もったいないのですが、口を開けてしまったチュールはすぐに捨てました。

なぜマナが食べるものと食べないものがあるのか?
チュールもカリカリもそうです。

 

ここで私は、私の身近にいた、ある赤ちゃんの事を思い出しました。
少し長くなりますが、そのお話を――

その子は、産まれてからすぐに、哺乳瓶の口が嫌なのかミルクが嫌なのか、どうしても母乳しか飲みませんでした。お母さんは、泣きっぱなしの赤ちゃんを抱えて、母乳をあげ続けていらっしゃいました。

医師は「お座りやおんぶができるまで頑張って下さい」とお母さんに話しました。
病気というわけではなく、原因がわからなかったからでしょう。

その後、三種混合の予防接種を受けた赤ちゃんが2回目の摂取で高熱発疹を出し診察に来られました。医師は直ぐに「予防接種は全て受けないようにしましょう」と診断を下しました。

 しばらくして、その赤ちゃんは、水痘になり診察を受けました。
一旦は家に帰ったのですが、その同じ日に真っ青な顔で病院に戻ってくることになりました。水痘の塗り薬を塗ったところ、唇の色が蒼白になり意識を失ってしまったのだそうです。

「なぜこんなことに」
と言うお母さんに、医師は「塗り薬の成分の中に合わないものがあったのではと思われます」と言いました。幸い赤ちゃんはすぐに意識を取り戻りしたので、その時は大事には至りませんでした。

それからは、海に行けば泡を吹く、プールに行けば鼻水が止まらないなど、色々な症状がでるようになりました。つまりアレルギー反応と思われるものです。食べ物に関しても同じでした。キュウリを食べると苦いし、メロンもダメ。

後になって分かるのですが、その子は産まれてからすぐに、ミルク、薬物、食べ物でのアレルギー症状が出ていたのです。

医学的には検査をしても異常はないのだそうで、病院に行っても打つ手がありません。
実際に反応したものを避ける以外に、対処の方法がないのだそうです。

その赤ちゃんがミルクを飲まなかったのは、自分を守るために、生きるために本能的に避けたとしか思えませんでした。
そして私は、アレルギーは早い段階で、親が気づいてあげることが大切だと教えられました。

私はマナがカリカリやチュール、そして食べ物に関わらず、様々な事で受け入れたり受け入れなかったりするのは、マナが生きるために本能的に選んでいるのではないかと思うのです。

私はマナという子を授かったのですから、マナの全てを受け入れようと思っています。私とマナは、共に受け止めて、共に感じて、共に生きるのです。
何もわからない、猫初心者の同居人ではありますが、これからも『マナの生きる力!』を見守っていきたいと思っています。

次回は、また、マナが外に興味を持ち始めたお話に戻ります。

 

――二人の未来を紡いでいこう(3/9)つづく――

作:あおい空
 ▶あおい空:記事のご紹介
構成:高栖匡躬、樫村慧

――次話――

網戸を閉めたまま「マナ危ないよ、車来るよ」と言い続けた日々。
やがて、マナの反応が変わってきました。
私は、マナを試すことにしました。
さて、マナと私の信頼関係は?――

――前話――

小さい頃のマナは何にでも興味津々。人間の食べ物にも。
私はうんと薄味で料理を作るようにして、食べても良いものといけないものを1つずつ教えていきました。まるで、母猫のように。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この章の1話目です――

マナがもう外にいかないように、わたしは窓の網戸を締めました。
「危ないよマナ、車来るよ」
網戸越しに外を見るマナに、囁き続けた1カ月。
マナは何かが変わったようでした。

――この連載の1話目です――

初めての一人暮らしで選んだのは、長屋風の安い物件でした。
テレビも洗濯機もなく、私のボンビー生活がスタートしたのです、
気づけばそこは、不思議なアパート。愛すべき隣人たち。
でも、2年が過ぎた頃にはもう――
私の淋しさは限界でした。

――おすすめの記事です――

 作者の執筆記事です

 

© 2017 Peachy All rights reserved.