猫の話をしようか

Withcat 猫と飼い主の絆について

【保護猫|多頭飼い】毎日毎日が戦争、そして、さようなら彼女 ~猫宅のお話をしましょう(その15)~

【関連コンテンツ】

猫宅・44の物語 15話
今回のお話は:かんな、やさい、いろは、そして彼女

猫宅の話_扉

撮影&文|女神 写真は、本話で登場するかんな
 

カールさん一家が増えて41匹となった猫宅です。

その年の10月31日の朝
猫宅でごはんの用意をしているとまた、息子から電話が入りました。
用件はなんと――
勤めている会社の倉庫で、子猫を保護したとのこと。

『あーまたか』と、正直思いました。
しかし保護したのならば、もう突き放す訳には行きません。
息子は「今から連れていく」と言って、電話を切りました。

さて、息子が猫宅に連れてきたのは、とっても人懐っこい子猫でした。
恐らくは、飼い猫が産んだ子なのでしょう。

親とはぐれてしまったか?
でも飼い猫の子ならば、何故はぐれる?
お前は……
捨てられてしまったのかい?

その子は、かんなと名付けました。
神無月の最後の日に来た子。
そして、ハロウィーンの日でもあります。
私達親子は、お菓子の代わりに、猫をいただいたのです。

 

かんな
 

猫宅へ行くと、真っ先に走って来てくれるのがかんなでした。 
私たちの姿を見ると、一目散体によじ登って、肩乗り猫に。
何をしていても、抱っこを要求する かんな。
「この子どうする?」
「女の子部屋に移す?」
答えは言うまでもありません。時期が来たら、かんなは避妊手術をして、このまま自由にさせようという事になりました。

かんなを加えて42ニャン。猫宅は毎日毎日が戦争です。

去勢手術をしていても、マーキングをする子。
目が合えば「ぅうーぅうー、シャーシゃー」と言い争う子。
どうしてみんな仲良くできないんだろう?

頭数が増えて、設置トイレの数も半端なく、ご飯を食べさせるのとトイレ、部屋の掃除に明け暮れる毎日。

一人なら絶対に無理だと愚痴をこぼしあい、時には「もう、やめる」とか言い合いながらも、猫宅は進んでいくしかありません。
やめても、どうすることもできない。
41匹を路頭に迷わすわけにはいかない。

例え外に放したとしても一人でご飯を食べて行くこともできない子達。
私達親子が頑張らないとね。

 

やさい
 

年が明けて以降、なんとか平和に過ぎていた猫宅。
しかし、またまた事件が――

娘が職場近くで子猫を見つけたらしく、悪戦苦闘の末保護したとのこと。
「仕事帰りに病院へ連れて行く」
そんな電話があったのが、8月31日、夕方でした。

娘はその子猫を病院で一通り診てもらうと、幸い怪我はなく、蚤取りの薬をしてもらって、猫宅に連れて帰って来ました。
私は夜のご飯を食べさせに猫宅に行った時、初めてその子と顔合わせ。

その子は病院から帰って来たばかりなのに、すぐそのまま女の子部屋のゲージに入れられていました。何故ならその子は外猫の子のようで、人慣れしておらす、抱っこを嫌がったからです。

「名前、名前を決めなきゃ」と私。
「8月31日だから……、8・3・1」
と考え込む娘。「やさい、やさいにしよう!」
となって、やさいに決定。名付け親は娘です。

ゲージ生活は少し窮屈かもしれないけど、ハンモックに乗ったりもできるので、我慢をしてもらうことに。そこにいたら逃げ出すことができないので、私たちも撫でたりすることができました。そうやって少しずつ人慣れをさせていきました。

 

これは、保護した直後のやさい
 

それから少し日が経ったある日 、私はやさいの足に異変があるのを見つけました。
後ろ足が腫れていたのです。直ぐ病院へ――

診断の結果は、大怪我ではないとのこと。ホッとしました。
多分、先住猫の洗礼を受けたものと思われます。

病院では身体中の蚤もキレイにしてもらえましたので、やさいはゲージから出て、女の子部屋の住人に。

――いつも思うこと――
この子が最後 。
もう、増やさない。
今度はこれを守れるかな?

 

この後で保護することになる、いろは
 

去勢手術をした男の子は膀胱炎 尿路結石と言った病気になりやすく、過去には茶々(猫宅の2番目の住人)が手術するほど悪くなったことも。
それから、膀胱炎にかかってしまった子もいます。

それを予防するには、高額のフードを食べさせなければなりません。

猫宅は基本1匹1皿でご飯を食べさせます。
でも中には食べるのが早くて、自分の皿を食べ終わると、隣の子の茶碗を覗く子もいます。

それならみんなに同じフードを食べさせようとすると、育ち盛りの子が沢山居る猫宅
ですから、もう食費だけでも大変です。

因みに、一月にどれだけフードを消費するかというと、ロイヤルカナンの4㎏入りのフード8袋を軸に、市販で買える下部尿路のフード、ウエットフード等々です。

最近は外猫さんには女の子が居なくなったので、仔猫が増えることがなくなり、そちらの方での負担は軽くなってきました。

さて、この年の終わりには、悲しい出来事がありました。

12月になって、彼女がご飯を食べなくなってきたのです。
ただ、お水はよく飲んでいました。

痩せてはいましたが、元々ガリガリ体質ですし、見た目にはどこも悪くなさそうです。しかし身体を触ると、骨でごりごりしていました。
以前ならば、そんなことも確認することはできませんでしたが、避妊手術をしてからの彼女は、部屋を好きなように行き来するようになり、少しずつ体も触らせてくれるようになってきていたのです。

口内炎でお口が痛くて、上手くご飯を食べられなくなった彼女は、ウエットフードやちゅーるを食べていました。いや、舐めていたと言った方が正しいかもしれません

そんなある日、私は彼女の体を持ち上げることができました。
衰弱していたからこそできたことですが、以前は決して許さなかったことです。

彼女の体は思った以上に軽くて、このままではヤバイと判断した私は、無理やりネットに入れて病院に連れて行きました。

そこで先生に言われた事――

「今年中居られるかどうかな?」

彼女は腎不全で、もう手のつけようがなくなっていました。
階段を軽やかに走り登って居た、あの彼女が――

私達親子は、彼女の最後を自然に看取ろうと思いました。
診察を受けて2晩目を迎える夜の事でした。
昼間から体調が良くなくて、寝てばかり居た彼女ですが、夜、私達が猫宅に行くのを待っていてくれたかのように、私たちの目の前で、静かに息を引き取りました。

2017年12月23日、彼女 永眠。
彼女はお星様になったのでした。 

――彼女へ――
もっと早くに仲良くなれていたら
もう少し一緒に居られたかな
ココに来てあなたは幸せだったのかな?

 

さて、やさいを保護して以降は落ち着いてきた猫宅ですが、翌年の6月にまたまた動きが。娘が職場近くで、子猫を保護したのです。
この子もやはり悪戦苦闘の末の保護で、仕事が終わるまで段ボールで待っててもらい、帰宅時に病院に。

2018年6月16日、その子は いろは と命名
病院では気がつかなかったのですが、猫宅に来てから猫カビに感染していることが判明しました。他の子に接触すると移ると言う事で隔離するしかありません。
しかしいくら猫だけが暮らす猫宅と言えども、限界が――

段ボールハウスで生活してもらわなきゃ、空いてる部屋がない。
キッチンに段ボールを3箱繋げて、ハウスを作りました。
猫カビは、最低1ヶ月は隔離しなければならない病気です。

皮膚病は命を奪うものではありませんが、馬鹿には出来ません。
家猫の みるく が来たときも酷い皮膚病にかかっていて、それが私にも主人も移ってしまって、大変な目にあいました。

いろはが段ボールハウスを卒業できたのは、キッチンが夏の気温で暑くなり始めた頃です。そしてこの頃、いろはには、避妊手術も受けてもらいました。

いろはのお話は、まだ続きます。

 

彼女が去って、かんなとやさい、いろはが増えた猫宅。

とら、茶々、華、雪、天、月、あずき、空、みっけ、てっぺい、真白、ぱんだ、麦、小麦、風子、キキ、ララ、ムー 、四月、ミント、 オレオ、ラテ、モカ、ココア、チョコ、いちご、五月、キング、こぱん、バニラ、うさぎ、空(そら)、ポッキー、六月(ムック)、カール・チェリー・ナッツ・みかん・あんず・きなこ。

そして――、かんな、やさい、いろは。

合計43ニャン

 

――今回の写真のご説明――
1枚目(扉):かんな
2枚目:かんな
3枚目:やさい
3枚目:やさい
4枚目:いろは
5枚目:いろは
6枚目:いろは

● ● ●

猫宅の様子もどうぞ。

 ――つづく――

作:女神
 ▶女神:全作品のご案内
  

――次話――

44の物語、今回は外猫ポリスのお話。
ポリスは地域のボス猫でした。
あちらこちらで喧嘩をするようで、いつも身体中怪我だらけ。
やがて、ライバル猫の”くま”が現れて縄張り争い。
外猫には外猫たちの世界で生存競争があって――
やがてポリスともお別れの日が来ます。 

――前話――

44の物語、今回は一気に住人が増えたお話。
ふらりと猫宅を訪れるようになった、三毛猫がいました。
最初はご飯をもらいにくるだけだったのに――
上がり込むようになり――
帰らなくなり――
やがて、台所を占拠してしまいました。
その子の名はカール。
妊娠していました。 

まとめ読み|猫宅・44の物語 ③
この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この連載の1話目です――

44匹の猫が住む家、その名も『猫宅』
それは、保護した猫たちを住まわせるために借りた家。
猫には1匹ずつに物語がありますね。
これは最初の1匹、とらのお話。
さて、44の物語、完成するでしょうか?

 猫宅のまとめ読みです

 猫のおすすめ記事です

© 2017 Peachy All rights reserved.