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【猫と飼い主】猫のお風呂ってどうしてる? ~二人の未来を紡いでいこう(6/9)~

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私の空、マナ 27話
私の空、マナ_扉

撮影&文|あおい空
 

今日は、マナのお風呂の話しをしようと思います。

お風呂というと、以前にもご紹介をした、私に「ス・ノ・コ」を教えてくれたキヨちゃんのいる、あの銭湯のことかと思われるかもしれません。しかし今日はそうではありません。

私のお風呂の話ではなく、マナの「お・ふ・ろ」のお話です。

 

マナがうちに来る前は、犬との暮らしが長かった同居人。ペットのお風呂といえば美容室(グルーミングショップ) をまず思い浮かべてしまいます。
しかし超ビビりのマナが美容室へ行けば、どうなるでしょうか?
それがストレスになって、病気(猫エイズ)を発症ということになりかねません。

美容室は絶対無理だと思った同居人は、『猫の入浴』でまたまた検索をしてみました。その結果は――

犬は体が大きいので大変ですが、猫はまた違う大変さがありそうだと思いました。タオルを何本か替えて拭きあげるのが、とても手間がかかりそうな印象です。
以前にツイッターのネコ友さんが、こんな風に教えてくださいました。

「うちは年に1回美容室へ行くだけ。猫は自分で体を舐めてきれいにする動物だから、それでいいと思う」

その話を聞いてからは、「そんなものか」とずっと呑気に構えていました。
しかし、もう随分と暖かくなってきました。そこで「そろそろかな?」と思った4月20日(金)に、初めてのお風呂に挑戦することにしました。

猫用シャンプーは買ってありましたが、使うかどうかは分かりませんでした。様子を見て使うことにし、まずはお湯につかることにします。

初めから決めていた事ですが、自分も裸になりました。
マナが恐がらないように抱っこをして入るためです。

 

マナの脚の半分くらいまでバスタブにお湯を張ると、マナを抱っこしてバスタブに下ろします。蛇口とシャワーからお湯を出すと、相当恐いようですので張ったお湯を手ですくってマナの体にかけて撫でるように洗います。

お湯を出さないとシャンプーを十分に洗い流せないため、今回はお湯だけにしました。

お風呂が終わり、用意しておいたバスタオルに手を伸ばしました。
マナがドライヤーが嫌いなことは、事前に分かっています。自分がドライヤーを使った時に、スイッチを入れた途端に逃げて行くからです。

最初からタオルで拭くしか出来ないことは承知の上。
しかし、マナが拭くことを予想以上に嫌がりましたので、それもほどほどに――

感謝すべきオンボロアパートの狭いユニットバスは暖かいしバスタブから跳ねたお湯は、シャワーで流せば床を簡単に洗い流せます。
そして、ファンヒーターをつければ、部屋が狭いので暖かいという利点があります。

お風呂からあがったマナは必死で体を舐めました。猫の体温が高いためもあるのか、舐めるだけでこんなに乾くの? と再発見しました。

 

季節は春から夏へ向かいます。それからは1~2ヶ月に1度、マナをお風呂に入れるようになりました。年に一度でも十分と言われているのにです。

もちろん、自分だけ入れば楽なんですけどね。
何でもマナと一緒にしたい同居人なのです。

一番多いときには、2週間に1度マナとお風呂に入っていた時期もありました。
マナはお風呂に入りたいのかなと、勝手に思っていた馬鹿な同居人です。
でも、好きかどうかは別として、そんなに嫌ではなさそうでした。

マナとお風呂に入るようになって、母が掃除とお風呂と洗濯をよくする人だったことを思い出すようになりました。
母は私をお風呂に入れ、洗濯された清潔な洋服を着せ、掃除の行き届いた家に住まわせてくれました。シーツも洗濯したてのものを毎晩かけてくれました。

子育ては、子供の健康のために必要なことを、きちんとすることが大切なのだと私は思います。高価な洋服を持っていなくても、家が広くなくても、そのように大切にされている子供たちは、傍目からも分かりますよね。

思えば猫と子供は、似ていますよね。
マナが健康で暮らすために、同居人兼乳母である私は、母が私にしてくれたように、務める責任があるように思うのです。

『猫の子育てと、人間の子育てには共通点がある』

私はこの迷言を、ここに残しておきたいと思います。

 

お風呂と言えば、余談をひとつ、

小さな頃は毎朝起きると、パジャマを脱ぐと同時に、肌着をバッと脱がされました。
真冬も同じです。寒いです、本当に寒いです。その時の冷気の感じは今も思い出します。

お風呂は田舎だったので銭湯まで歩くと1時間はかかりました。
小さい頃には家にお風呂がなく、学校から帰宅すると直ぐに宿題、そして3時には銭湯へ行きました。冬場は豪雪地帯ですので、銭湯には行けません。後ろのお宅でお風呂を借りて入りました。

夕食が終わると「○○ちゃん、お風呂に入っておいで」と毎日母に言われました。
毎日ですよ、毎日!

銭湯にはいつも、午後の早い時間に行っていたのですが、お風呂を借りるとなると、やはり遠慮もありますよね。我が家では、後ろのお宅の方々が入ってから、入らせていただくようにしていました。

ある日、眠くて眠くて「○○ちゃん、お風呂に入っておいで」と言われているのが聞こえたような気がしました。しかしもう夢の中です。

翌日の朝、母と後ろのおばさんが話している声が聞こえました。
「驚いたわよ、夜中に突然来てお風呂に入ったのよ」
私はそれが自分の事だとわかりました。そうやら私は、寝ぼけて夜中にお風呂に入りに行ったのです。楽しそうに笑いながら話している後ろのおばさんと母、そして私は母のエプロンの端を掴んで黙って立っていました。

今思えば毎晩言われるお風呂に入っておいでが頭にこびりついて無意識にお風呂に行ったようですね。その楽しそうな談笑していた場面をはっきりと覚えています。そして子供の健康のためによく働いていた母に、感謝したいと思います。

 

お風呂のお話はここまで。

今日もお風呂上がりのマナを前に私は思います。この部屋は、まるで私とマナと暮らすために用意されていたのじゃないかと。

前にもお話ししたと思いますが、ベランダの横の道は、後ろの駐車場に入る3台か4台の車が通るだけです。アパートは3階建てですが、もし2階以上に住んでいたら、ベランダの窓も開けられない事でしょう。

絶対そうです!
感謝すべきオンボロアパートは、マナと暮らすために神さまが用意して下さっていたに違いありません。

ほらね、やっぱりマナは神さまからの贈り物!

 

――二人の未来を紡いでいこう(6/9)つづく――

作:あおい空
 ▶あおい空:記事のご紹介
構成:高栖匡躬、樫村慧

――次話――

マナが猫エイズに感染していることを知ってから、迷いと不安でいっぱい。
病気の表記を見るたびに、マナが責められているように感じて。
「こんな小さな命に、一体何の罪があるの?」
しかし、そんな私の考えは次第に変わっていきました。

――前話――

マナはFIVと診断されたけれど、マナへの気持ちは変わりません。
『マナは運命の子、私はいつもマナと一緒』
マナには1つだけ、FIVではない可能性が残されていました。
陽性だった結果が、陰性に変わる可能性――

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この章の1話目です――

マナがもう外にいかないように、わたしは窓の網戸を締めました。
「危ないよマナ、車来るよ」
網戸越しに外を見るマナに、囁き続けた1カ月。
マナは何かが変わったようでした。

――この連載の1話目です――

初めての一人暮らしで選んだのは、長屋風の安い物件でした。
テレビも洗濯機もなく、私のボンビー生活がスタートしたのです、
気づけばそこは、不思議なアパート。愛すべき隣人たち。
でも、2年が過ぎた頃にはもう――
私の淋しさは限界でした。

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