ボスの旅立ち
~普段と変わらない生活を~
日々元気を取り戻していくボス。
たくさん一緒に寝ました。たくさん撫でました。
おじいちゃんになったボス、愛おしかった。
赤ちゃんのように甘えて、可愛かった。
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でも 先生には、こう言われました。
『 ボス君は頑張ってる。でも母さん、覚悟はしておくんだよ。後はどうやったら、少しでも苦しまないようにできるかだから』
週2回の点滴へ連れて行くたびに、どうしてあげたらボスが楽なのか、泣きながら先生と話をしました。
この頃の私は、毎日毎日泣いてばかりでした。今も 泣きながら 書いてます。
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こんな風にボスは、なんとか8月を 乗り切ってくれました。
今思うと『 俺の元気な姿を、覚えていて』と言っているようでした。
なるべく普段と変わらない生活をしよう。普段と変わらない声のトーンで、ボスに接しよう。そう思っていました。
そして私は、仕事にも復帰しました。
この写真は、9月に入ってからのボスの姿です。
ふらつきが出て、でも――、なんとか座っています。
この頃から少しずつ 食欲が落ち、お水を飲む量も減ってきました。
「ボス、何か、食べたいものある?」
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私と主人は、仕事帰りに二人でスーパーに寄るようになりました。
これだったら、食べてくれるんじゃないか?
あれだったら、食べるんじゃないか?
――毎日ボスのご飯探しをしていました。
大好物のかにかまや、さんま、うなぎなんかも買いました。
少しでも食べてくれると、嬉しくて嬉しくて、涙が出ました。
こうして9月の前半を、ボスは頑張ってくれました。
9月14日を境に
この日からボスは、ほとんど自分でご飯やお水をとらなくなりました。
その時頭をよぎったのは、先生から言われていた言葉です。
『ご飯を食べなくなったら 2週間だからね』
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私と主人は、強制給餌の回数を増やしました。
今思うと、ボスにとって強制給餌は、とても嫌だったと思います。シリンジで無理やり 食べさせられるのですからね。
そして何より大嫌いな薬。これが特に嫌だったと思います。
更にタイミング悪く、ボスは歯肉炎も併発したため、本当に食べるということが、苦痛だったと思います。
でも、私は諦めたくなかった。もっともっと一緒にいたい。
私たち夫婦にとって、ボスは我が子です。我が子の命を、諦めたくありません。
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日々私の中では、どうしてあげたらいいのか、葛藤が始まりました。
一日一日が大切だった。
「あと何日、ボスと一緒に いられるんだろう?」
「今 何をしてあげればいいんだろう?」
「本当は、お腹が減っているだろうに」
「お腹いっぱい 食べたいだろうに」
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切なかったです。苦しかったです。
でも――、本当に苦しくて切なかったのは、きっとボス本人。
母ちゃんは本当に弱かったね。泣いてばかりで――
でも、なるべく、ボスの前では泣かないようにしていたんだよ。
帰りの車の中で泣くようにしてね。
――ボスの旅立ち(4/10)つづく――
文:ボスのかあちゃん
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※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。