撮影&文:ゆきねー
我が家のノルウェージャン、チェリーが、先日亡くなってしまいました。
今日はそのチェリーが旅立つ前の介護と、見取りのお話を書こうと思います。
どうかお付き合いください。
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チェリーは様々なものを飲み込んでしまう、異食癖がとてもひどい子でした。
何度も開腹手術をし、やがてケージの中だけで生活をすることに。
しかし住めば都なのでしょうか?
最初は戸惑っていたチェリーも、すぐにそれを受け入れて、気ままなケージ生活が始まったのです。
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狭いケージ生活でのストレスは――
多分なかったのだと思います。
平均年齢11歳~14歳と言われる短命なノルウェージャンにも関わらす、チェリーは異食癖の他には大きな病気をすることもなく、18歳まで生きたのですから。
食欲旺盛で人のものまで欲しがるチェリーでしたが、ある日を境に急に何も食べなくなりました。「これはおかしい」と、動物病院に連れていくと、チェリーは重度の腎不全になっていました。
ここからチェリーの、腎不全での闘病生活が始まりましたーー
以下に、日付を追ってその記録を残しておこうと思います。
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2018年9月24日
チェリーが、自ら食べることを拒否するようになりました。獣医さんと相談し、お家点滴をスタート。日一日と出来なくなることが増えています。日中はずっと抱っこのまま。今まではずっとケージの中にいたので、出来なかった抱っこです。
チェリーは18歳まで、ずっーと元気でした。その歳になっても、目を離した隙にビニール袋をかじっては吐いたりしたものです。
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私は基本的に延命には賛成しません。しかし――
あれほど元気で食いしん坊で、水を飲んだら、おかわりの時にお皿をカラカラ鳴らしていた子が、目の前でぐったりしている。そんな姿を見るとたまらない気持ちになり、チェリーに皮下点滴を始めました。ビタミンなども入れて。
それは、どうしてもチェリー生きているうちに、離れて暮らしている娘に会わせたいという気持ちも混じったものでした。
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チェリーは一緒に暮らすチャー(メインクーン)とは洋猫同士、気が合うみたいです。
下の写真がそのチャー。
そしてチェリーが診てもらっている獣医さんは、とてもいい方で知識もすごい。
「何をして欲しいですか?」
「何をしましょうか?」
いつもそんな風に私に聞いてくれます。とても有り難いです。
2018年9月24日
チェリーは何とか危機を脱し、持ち直しました。
離れて暮らす娘とも会えましたし、ご飯もパウチタイプの汁気の多いものは食べるようになりました。歯もしっかりしています。もしかすると、口の中が痛かったのかもしれないなと思っています。
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2018年9月30日
私はかつて看護師をしており、臨床を担当していたせいか、動物の死ぬとか生きるは感覚で分かるんのですが、チェリーはまだ生きてくれるみたいです。
チェリーはササミが好きなのに、夫はマグロフードばかりを買ってきます。
本当に分かってないのね、女心が。
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今チェリーは、ササミを茹でてフードプロセッサーにかけて、ゼラチンを少し入れて汁ごと固めたものがお気に入り。冷蔵庫で保存し、食べる時には、少し温めてスプーンであげています。
これを作っておけば、偏食のチワワも食べるし、安上がり。
チェリーは舌が痛いのかな?と思い、病院で診てもらいましたが、舌も歯も歯茎もしっかりしているみたいです。
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2018年10月10日
チェリーはその日によって食べたいものが違うのですが、今はササミチュール。
魚系はなぜか食べないんです。
洋猫は魚はお好きでないようで。洋猫の血が入った子も同じです。
茹でた鶏肉、牛肉、その茹で汁をゼラチンで固めたものが好きですね。
チェリーは、ガス管まで食べたくせに。
誤食でこれまで何回もお腹開いたほどの食いしん坊が、食欲がないのは本当につらい。
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2018年10月13日
最近本格的に、チェリーの食欲がなくて心配です。お気に入りのササミも、チュールも食べません。
猫も死期は自分で決めるのかしら。今までの猫達は『助けて、しんどいよ』ってそばに寄ってきたけれど、長年ケージ暮らしのチェリーは、抱っこは拒否しないけれど、カラダが辛い時にはケージ内でちんまりとしてます。
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気が付いたら死んでしまってる、なんてことにならないかと心配でケージから出してあげると、ビニールとか、そこら辺のなんでもないゴミを食べてしまって吐くんです。
掃除してても、スーパーの袋とかを探して食べてしまうんです。
なので、ケージから出しているのも、やはり不安なんですよね。
2018年10月15日
チェリーはやたら甘えん坊になり、そして食べ物は全く食べなくなりました。
目が落ち窪んできた感じです。
もう旅立ちも近いのかな、と思います。
なので、今までケージ生活で抱っこしてあげられなかった分もめちゃくちゃ甘やかしながら、点滴して過ごしています。
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2018年10月17日
ほとんど何も食べなくなったチェリーを連れて、病院に行ってきました。
検査の結果は――、腎不全が悪化してました。
口の中は化膿してるけど、薬を使うと死んでしまう恐れがあるので、穏やかに最後まで点滴をして様子を見ていきます。
チェリーの多飲多尿は以前からのことでしたし、腎不全を防ぐために何か出来たのだろうかと先生に聞くと、防ぐのは無理だったとのことでした。
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今チェリーは、お気に入りの場所で寝ています。
そしてそのチェリーを、ゴールデンレトリバーのロンが舐めてくれてます。
チェリーの病状は、アメリカでは安楽死のレベルだそうです。
でも、まだ歩けるし、気が向けばチュールも少し食べてくれる。
チェリーの最期の時は、チェリーが自分で決めると思っています。
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2018年10月18日
今チェリーは体温が低いので、温めた点滴をしています。
積極的に点滴を始めてから、少しずつ食べるようになりました。
今日は離れて暮らしてる娘が、家にやってきました。チェリーは娘を待ってたようでした。大好きなお姉ちゃんがきて、チェリーはいつまでもベッタリと甘えています。
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チェリーは、娘が中学生の頃に迎えた子です。娘がケージの掃除もしていました。
『ケージ生活では可哀想』と言ってチェリーを出してやり、すぐ異食してしまい手術になったこともあります。
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チェリーが今使っている2代目のケージは、娘が買ってくれたものです。
『3階建てのケージは広いから、チェリーも嬉しいよね』と。
ケージが広くなったチェリーは、喜んでピョンピョンしていました。
でも――少し前から上がれなくなりましたが。
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娘が帰り際に『チェリー、じゃあね』と言ったら、チェリーは娘によじ登るようにして、30分もしがみついていました。その間ずっと娘は泣いてました。
次に娘が来るのは法事の日の予定。
「それまで元気でいてね」
そうチェリーに言い残して、娘は帰っていきました。
2018年10月19日
チェリーは水を飲んでいても、血管内脱水が起こり、体内の水分が足りない状態。
今はそれが改善されつつあります。やはり獣医さんに行って良かったです。
最初の採血時、血がドロドロだったんです。口から飲む水は、機能していない腎臓を通り越して、サッサとオシッコになってしまうんですよね。
チェリーの点滴は私がやっています。
私、猫の点滴も失敗しないので(笑)
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ノルウェージャン、メインクーン、ラグドールなど大型猫は、遺伝的に純粋種に近いほど拡張型心筋症の突然死が多いそうです。3歳以内が多く、私が猫を引き受けたブリーダーさんは、みんなすごくその辺を学習し、計画繁殖していました。
チェリーは長生きだと思います。計画繁殖外で良かったです。
ブリーダーにとって計画繁殖外の子は ”捨て子”といい、ペットショップに降ろされたり、欲しがる方に譲られます。
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純粋種を極めて、その種を守るのはとても大切なことです。ただ、その過程ではチェリーみたいな悪癖が出る子もいます。
だからウチの血統種は、ほとんどタダに近いのです。
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2018年10月24日
今日チェリーのケージを片付けました。もう弱っているから、徘徊はするものの、異食はしません。だとしたらケージは不要です。
死んでから片付けるのはつらい。なので早めに処分したのです。
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チェリーは、テレビ台の下でペット用ホットカーペットに寝ていたり、あちこちを徘徊したりで、子猫にはない可愛さを振りまいています。
食欲はイマイチですが、可愛くてたまらないです。
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今は腎不全で血管内脱水が酷いから、皮下点滴をしています。
食欲はイマイチ。
だけど、気まぐれで食べてくれてます。チーズが好きみたい。
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犬たちやチャーは、チェリーをペロペロ舐めてあげてるんですよ。
ロン君もウオウオいいながら舐める。チワワくんも舐めてますよ。
ただチョビちゃんだけはダメです。
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人も生き物もいつかは死にます。
私は散々人が死ぬの見てきたし、死ぬ前になにをしてあげればいいのかなと、模索しながら介護をしています。
2018年11月5日
チェリーは、まだ死ぬ気がないみたいです。
点滴は刺すところがなくなり、やめました。
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2018年11月9日
チェリーはいよいよかも知れません。
1人になりたがります。
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2018年11月10日
チャーがチェリーにハンドパワー注入してくれています。上の写真です。
チャーは優しいんですよ。
チェリーは日に日に衰えていますが、この後、チュール2本食べました。
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2018年11月12日
9時48分、息子の帰りを待つように小さく痙攣して呼吸が止まりました。
あっぱれ18歳!
ずっーと動かなかったのに、スッと首をあげ、数回軽く痙攣し、眠るように亡くなりました。目があったんですよ。
もう床ずれの心配もしなくていいし、一晩横で眠りました。
15年分のケージ生活のせめてものお詫び。
やはり何処か後ろめたかったんです。
2018年11月13日
チェリーは行っちゃいました。
たまたまいた夫が、チェリーは食いしん坊だったからと、ジャリジャリをハンカチで包んで首に巻きつけてましたよ。
お線香をたき、母に知らせました。
きっと、迎えに来てくれると思います。
私はもう少しこの世にいることにします。
まだまだ元気な子たちのために頑張ります。
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――夕方――
我が家の思い出写真コーナーに、チェリーも仲間入りしました。
チェリー
居なくなって、ケージのあった場所、ガランとしてるよ。
寂しいよ。
キャットタワーでも置こうかな、チェリー。
作者:ゆきねー
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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