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【保護|ブログ】二匹とご対面です ~ねこさん、増えました(5話)~【保護猫の多頭飼い】

犬派の僕が猫の多頭飼いを始めた理由
犬派の僕が猫の多頭飼いを始めた理由

撮影&文|紫藤 咲
 
この作品は

ブログタイプのエッセイ作品で、面白いことが起きた時だけの不定期更新となります。
どうぞお楽しみください。

こんな方に:
猫の多頭飼いをしてみたい|多頭飼いは初めてだけれど、大丈夫だろうか?|経験者の体験談を読んでみたい

 初めての対面

2019年7月19日(金)の夕方。
二匹を預かるためにハットリと会うことになったぼくは、そこで初めての対面を果たすことになった。
車の後部座席の半分を占めるくらいの大きなダンボールの中から、やたらと元気な『みい。みい』という声が聞こえてくる。

「運転中もやかましいんだ、こいつら。(子猫たちが)ちょっと黙るだろう? すぐにまた鳴くんだよ。これをずっと聞いて運転してたんだけど、頭がおかしくなりそうだった」

そう言うハットリはなんだかげっそりしていた。
たしかにずっと鳴いている。
ダンボールの蓋を開けて、中の様子を伺う。

 

 鳴き声の主は……

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「うわあっ」

思わず声が漏れた。
二匹がぼくを見つめていた。
ダンボールの壁を必死によじ登ろうとしている。
みい、みいと力強く鳴いて「ここから出たい!」とアピールしていた。

「めっちゃかわいい!」

ダンボールの中の二匹へ手を入れてみる。
すると二匹は芥川龍之介の『くもの糸』の主人公のようにすごい勢いでぼくの腕にしがみついてよじ登ろうとする。
爪が伸びたままなので、紙で指先を切るときみたいな鋭い痛みが襲う。
ダンボールの中に入れたぼくの腕はすぐに傷だらけになってしまった。

「おうち行くまで大人しくしててな」

と二匹に声をかけてダンボールから手を引き抜く。
ダンボールの向こうから鳴き声とともに、よじ登ろうともがいている爪の音が絶え間なく聞こえてくる。

――うーん。お腹空いているのかな?

気になって中を見ると「出して! 出して! ねえ、出してってば!」とばかりに鳴き暴れるちびーずたち。
ドラッグストアに立ち寄ってフードを購入して与えてみる。

キジトラの子がミルクペーストに食いついた。
黒い子も食べようとするものの、キジトラの子に遠慮して食べられない。
キジトラの子の食いつきようは凄まじかった。

 

 猫ってこんななの?

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この姿にぼくは驚愕した。
二年前に拾ったライとは本当に大違いだったからだ。
子猫がこんなに動くものであることもあらためて思い知る。
ゆえにどうしたものかと悩んでしまった。
一匹だけなら引き取っていいとしても、こんなに元気な子たちを二匹引き取れるものかと。
それにこんなに元気がある子猫を見たライがどう思うか。

――かみ殺さないかなあ?

ライはオスだ。
先住猫がオスの場合、仲良くなるのはたいへんだと聞く。
動物病院へ行っても、他の犬猫さんに心を絶対に開かないうちの猫さんが、自分のテリトリーを犯した二匹を受け入れてくれるのだろうか。
ぼくの手を思いっきりかむライを思い出して不安を抱く。
一応怪我をしない程度の強さに加減はしてくれている。

猫のあごはものすごい力がある。
彼らが手加減しなければ、簡単に怪我をしてしまうのだ。
それに自分の産んだ子を頭から食べた母猫の例もある。
生きたねずみや鳥をバリバリ食べる野良猫だっている。
もしも加減をまちがえたら?
怒りに任せてかんだら?

想像したくない未来だった。

彼が受け入れてくれなければ、うちでは引き取れない。
里親さんにお任せするしかないのだけれど――

ハットリから二匹を受け取って帰宅したぼくは不安を抱きながらも、二匹のために居室つくりを始めた。
ライが小さい頃に使用していたモフモフタオルを敷いたベッド。
小さな子猫でも掻き出せるような小粒タイプの猫砂を敷いたトイレ。
ペットボトル湯たんぽも忘れずに用意した。

先住二匹とのご対面はいろいろ怖すぎるし、ツイッタ―の猫スキーフォロワーさんたちにもご対面は慎重にすべしとアドバイスをもらったこともあり、先住わんこさんとねこさんがいる部屋ではない別部屋に二匹を隔離して準備は完了した。
うちにいるのはおそらく数日、もしくは一週間程度だとは思うけれど、ちびーずが病気や怪我なく日々を送れるようにとできるだけの準備はできたと思う。

 

問題は伸びた爪とノミと回虫

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さて、里親さんに譲渡するのはいいとして、問題は伸びた爪とノミと回虫だ。
鋭くとがった爪のままでは、人も子猫も怪我をしかねない。
野良だったからノミは絶対にいると思う。仮にぼくの家にノミのたまごを落とされるようなことになって、先住さんたちにくっつき、ノミ大流行(パンデミック)されても困る。
お腹に虫がいた場合は発育不足へとつながる恐れが大だ。
うんちを注意深く見なければ、里親さんにつなげるのも難しくなるかもしれない。

――明日、先生のところに連れていくか。

元気いっぱいのちびーずたちを病院へ連れていく決心をするぼくは、先住さんたちのいるリビングへと戻った。
不審げにぼくを見上げるライの鼻に「ほら」とちびーずの臭いがついているであろう指を近づける。

ねこさん、ムッとする。
そして普段は絶対に入らないハウスに移動する。
その後、名前を呼んでも無視。
顔をすりすりしても舐め返してくれない。
っていうか、ぼくに対してなんだか怒っている様子のねこさんは、その日まったくぼくをかまってくれなかった。
近づいてもくれない。

――こりゃ、むずかしいかなあ。

完全スネ夫モードになってしまった先住猫ライの様子を伺いながら、ぼくはため息をついた。
ご縁はないかもしれない。
そう思い続けるぼくに猫の神様は奇跡を用意していた。
この子たちはおまえが飼うべきなんだとでもいうように――

 

 今のねこさんの様子は?

 

――ねこさん、増えました・つづく――

作:紫藤 咲
 ▶ 作者の一言
 ▶ 紫藤 咲:猫の記事 ご紹介

――次話――

二匹を引き取ると、ぼくは獣医さんに連れて行った。
検査とノミ、爪の処理を済ませた後、いよいよぼくは先生に相談を持ち掛けた。
一匹ならなんとかなる。でも二匹は自信が無かった。
さて、先生の回答は?

 

――前話――

里親さん候補見つかって、楽勝モードのぼく。
1匹残して、1匹を里子に出す。
そんなつもりだったのだが、そんなことはできるのか?
だって、いつも寄り添う2匹を引き離すことになる。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――本作の第1話目です――

運命ってあるのだろうか?
だとしたら、今回がきっとそうだろう。
きっかけは、1枚の画像――、子猫が写っていた。
『もらう?』友人のハットリ君が訊いてきた。

犬派の僕が猫と暮らす理由

運命の日――
ぼくは猫を拾った。

犬派だった著者が、猫を拾ってからの悪戦苦闘を描くエッセイ。
猫のいない日常に、飼ったこともない猫が入り込んでくる話。
「ぼくらの物語はこの日から始まった」

猫を拾ったら読む話

『猫を拾った』をテーマにした、エッセイのセレクションです。
猫を飼うノウハウ、ハウツーをまとめた記事はネット上に沢山あるのですが、飼育経験の全くなかった方にとっては、そのような記事を読めば読むほど、「大丈夫かな?」と不安になるはずです。
猫未体験、猫初心者の方に是非読んでいただきたいです。

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