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【保護|ブログ】NNNのしわざでしょうか? それとも神様? ~ねこさん、増えました(7話)~【保護猫の多頭飼い】

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犬派の僕が猫の多頭飼いを始めた理由
犬派の僕が猫の多頭飼いを始めた理由

撮影&文|紫藤 咲
 
この作品は

ブログタイプのエッセイ作品で、面白いことが起きた時だけの不定期更新となります。
どうぞお楽しみください。

こんな方に:
猫の多頭飼いをしてみたい|多頭飼いは初めてだけれど、大丈夫だろうか?|経験者の体験談を読んでみたい

 決断は神様に委ねた

ぼくが二匹引き取る最後の決断を、なぜ神様に委ねたのか。
それは二匹のことを考え始めた辺りから、神様からのご褒美としか思えないようなことがいろいろと起きたためである。

どんなご褒美だったのかを説明する前にまず、二匹を引き取る前のぼくの暮らしぶりを話そう。

二匹を引き取るひと月前の6月の中旬くらいから、ぼくはかなり仕事が忙しくなった。
月の四回研修に出かけたり、緊急の対応を必要とするケースがいくつも重なったり。
毎日の業務の中でイレギュラーな仕事も多くなって、就業の一時間前から仕事をして帰りも残業という日々を送っていた。

夢は仕事のことばかり。
ごはんも一日一食まともに食べればいいほう。
トイレに行ったのかどうかも忘れる。
とにかく眠たくて8時過ぎにはウトウトしている。

早く帰らなければと思って帰ろうとしたら、車の窓ガラスが割れる事件発生。
二週間以上、車が返ってこない上に、修理費は自腹(保険適用ではあるけれど、来年四万円ほど保険料があがる)となる。

趣味の小説も書く気力がわかない。
漫画なんてまったく描くエネルギーがない。
新作の小説は書けないから、とりあえず前に書いていたものを改稿して無料小説サイトに掲載する。
更新したという宣伝をしてもほとんど読まれない。

 

 ねこ、ください

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というように、凹む要素がいろいろありすぎて、あまりにもぐったりなぼくを気遣うように、毎日ひなさんとライが寄り添ってくれる。

もう会社に行きたくない。
仕事したくない。
書籍化したいという夢も叶わない。
人生投げ出したい。
なにをしても楽しくない。
なにを食べても味がしない。
眠った気がしない。
なにやってるの?
生きるってなに?
なんでこんなにつらいの?

そう思うくらいには、ぼくの心身はどん底まで削られてしまったのである。

――ああ、猫吸いたい。

ひなさんやライの匂いを思いっきり嗅ぐと、癒された。
ライのふかふかのお腹に顔をうずめると、ホッとした。
もふもふしたい。
とにかくもふもふしたい。
仕事中、どうにもつらくなってぼくは一言ツイッターに入力した。

『ねこ、ください』

猫が飼いたいから誰か譲渡して――という意味ではなくて、あくまでも『ねこの画像をください』の意味だった。

 

 奇跡みたいなできごと

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その翌日のことである。
奇跡みたいなできごとが起こるのだ。
ハットリからの子猫を保護しますかという連絡だ。

疲弊しきっていたぼくにちょっとだけ希望がわいてくる。
そして『二匹を保護する(里親さんに預けるつもりもあるけれど)』と決めたその日、ぼくの書いている小説が、掲載しているサイトの特集作品としてピックアップされる。

それまで70名くらいしかブックマークをつけてもらえなかった作品が急速に伸びて倍の数字になる。
どんなに宣伝してもほとんど読まれなかった小説が信じられないほどの勢いで読まれていく。

――どうなってんの、これ?

気持ちが少し上向きになる。
とはいえ、仕事のつらさは一向に変わらない。
そんな中で子猫の世話を始める。
ちょっと癒される。
でも二匹を引き取ることにはまだ迷っている。

――神様に訊いてみるか。

ぼくでは決められない。
だからこそ、天にお任せすることにした。

『ぼくの小説の本棚(ブックマーク)が300になったら二匹を引き取ります』

そんな内容のツイートをアップする。
このツイート時、本棚の数は240ほど。
特集にピックアップされて一気に増えたけれど、これ以上伸びることはまずないだろう。
仮に超えたなら、もう完全に観念しよう。

二匹ともを引き取りたい気持ちは大いにある。
だけどライを不自由な体にさせてしまったのは他でもないぼくだ。
ぼくみたいな猫素人に飼われる猫たちの不憫さを思ったら、とてもじゃないが大手を振って『うちにおいで~』なんて言えっこない。
でも神様が『おまえの家しかない』と言うのなら全力で二匹をしあわせにしようじゃないか!

ツイートして30分くらいした頃、結果が出る。
300達成。
それどころかぐんぐん伸びる。
どこまで伸びるかわからないくらい本棚の数が増えていく。

――もしかして、ぼくは見張られているんだろうか?

ツイッターをやっているNNNのエージェントがいて

『二匹の子猫を送り込んだ紫藤咲が迷っている。本棚が300に到達したら腹をくくるらしい。総員、小説サイトを登録。紫藤咲の作品を本棚に入れよ!』

なんて命令をNNNメンバーに飛ばしているんじゃなかろうか。
と本気で疑いたくなるような現象だった。

 

覚悟のツイート

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――わかったよ、(猫の)神様。あなたが本気でぼくに保護しろとおっしゃっているんだと受けとめます。

『二匹をぼくの子にします』

そうツイートした。
腹は決まった。
もう迷わない。
たとえひなさんやライが受け入れない方針を貫こうと、気長にやっていく。
そう決めた直後だった。

『覚悟決まった?』

ハットリから連絡が来る。
SNSは一切やっていないハットリ。
実はNNNのエージェントとなにかしらの契約を結んでいて、ぼくのことを聞いたのだろうかと疑いたくなるレベルのタイミングだった。
電話に出ると、開口一番でそう尋ねてきた彼に、ぼくは「二匹ともうちの子にするよ」と答えた。

『まあ、そうなるとは思ってたし。俺は今回の二匹についてはおまえ以外に声掛けはしてないんだよ』
「は? なんで?」
『おまえが一番信用できたから。瀕死のちーたをでかくできたおまえなら二匹育てられると思って。他はまったく信用できないからな。おまえでよかった』
「つーか、今回はおまえが話を持ってきたんだからな。援助しろよな!」
『わかってるよ』
「絶対だからな!」
『わかってるよ!』

こうしてハットリから物資援助の確約をとりつけたぼくは二匹を引き取ることになった。
だがしかし……このあと、ぼくの心を急速にしぼませるできごとが起きるとは、このときのぼくはまだ思ってもみなかったのである。

 

 今のねこさんの様子は?

 

――ねこさん、増えました・つづく――

作:紫藤 咲
 ▶ 作者の一言
 ▶ 紫藤 咲:猫の記事 ご紹介

――次話――

ぼくの部屋は両親の分譲マンション。つまり親が大家。
本来なら大家に二匹を飼う許可が必要だが、ぼくは話さなかった。
反対されると分かっていたから。
そんなある日だった。ぼくの不在中に、両親が部屋に入った。
――発覚!

――前話――

二匹を引き取ると、ぼくは獣医さんに連れて行った。
検査とノミ、爪の処理を済ませた後、いよいよぼくは先生に相談を持ち掛けた。
一匹ならなんとかなる。でも二匹は自信が無かった。
さて、先生の回答は?

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――本作の第1話目です――

運命ってあるのだろうか?
だとしたら、今回がきっとそうだろう。
きっかけは、1枚の画像――、子猫が写っていた。
『もらう?』友人のハットリ君が訊いてきた。

犬派の僕が猫と暮らす理由

運命の日――
ぼくは猫を拾った。

犬派だった著者が、猫を拾ってからの悪戦苦闘を描くエッセイ。
猫のいない日常に、飼ったこともない猫が入り込んでくる話。
「ぼくらの物語はこの日から始まった」

猫を拾ったら読む話

『猫を拾った』をテーマにした、エッセイのセレクションです。
猫を飼うノウハウ、ハウツーをまとめた記事はネット上に沢山あるのですが、飼育経験の全くなかった方にとっては、そのような記事を読めば読むほど、「大丈夫かな?」と不安になるはずです。
猫未体験、猫初心者の方に是非読んでいただきたいです。

紫藤咲の執筆作品

 

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