犬派の僕が猫の多頭飼いを始めた理由

ブログタイプのエッセイ作品で、面白いことが起きた時だけの不定期更新となります。
どうぞお楽しみください。
猫の多頭飼いをしてみたい|多頭飼いは初めてだけれど、大丈夫だろうか?|経験者の体験談を読んでみたい
実は両親が大家である
ぼくは今、自分の両親が買った分譲マンションに賃貸契約を交わして暮らしている。
血のつながった実の両親が、ぼくの大家さんということになる。
そこにひなさんとライと暮らしていたのだが、今回のことでちびーずが加わることになった。
ちびーずを保護して引き取ることを、本来ならば両親に相談するべきだったのだが、このところ関係がかなり冷え切っていたため、ぼくは相談を省いて二匹を飼うことにした。
相談したところでどうせ反対されるのは自明の理だった。
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ライのときはしぶしぶ了解はしてくれた。
猫も悪くはない――くらいの気持ちになってくれていたのも知っている。
だけど基本犬派の人たちである。
猫と一緒に暮らしたことはほとんどないし、良さもわからない。
「猫ってなつかないじゃない。勝手だし、しつけもできないし」
とは母である。
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猫スキーとしては猛反発したいとんでもない偏見だ。
勝手なところがないとは言いきれない。
だけどなつくし、小さい頃ならしつけだって可能だ。
猫は賢い。
犬と比べて劣っている部分はまったくない。
というか、犬と猫を比べること自体が間違っている。
それぞれにいいところがある。
かわいいところがある。
両方と一緒にいると、それがよくわかる。
発覚、ちびーず
そんなある日のことだ。
ぼくが会社に行っている日中に両親がマンションを訪問。
ちびーずの存在が両親にばれる。
その日のうちに両親に尋ねられる。
『二匹をどうしたの?』
「保護した。これからうちの子として育てる」
『バカじゃないの』
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両親が投げたひと言に、ぼくは大いに傷つき、腹が立った。
両親がバカじゃないのと言った理由は以下の通りだ。
・裕福でもないのに四匹も育てられるわけがない。
・生活が荒れているのにペット増やしてどうするんだ。
・老犬にお金がかかるのにわかってるのか。
・猫は犬に比べてリスクが高い(家具や家が傷む)
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仕事で疲弊していたぼくは両親の言葉をどうやってもポジティブには捉えられなかった。
批判されまくっているように感じた。
明日が期限だと言われた命を、見捨てるのが正解だと言われているような気がした。
普通じゃない。
判断能力が低下している。
正しい決断ができない。
そんなふうに言われているようにしか思えなかった。
頑な――、なのか?
『話し合いましょう』
そう言われたけれど、ぼくは『お断りします』と返した。
『頑なね』
違います。
ぼくの心が頑ななのではなく、あなた方のほうが頭が固すぎるんです。
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ぼくにはわからない。
命をふたつ拾ったことがどうして責められることになるのか。
たしかに部不相応なことをしているのかもしれない。
生活を圧迫してまでやるようなことではないのかもしれない。
大家でもある両親にきちんと説明してからするべきだったのかもしれない。
だけど聞いてしまったら。
見てしまったら。
なかったことにできないじゃないか!
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むしろ命を見捨てなかったことを、ぼくはもっと誇らしく思ってもらいたかった。
世の中には簡単に命を捨てる人間がいる。
物みたいに扱って、無責任に放り投げる人間がいくらだっている。
なぜ命を奪ったわけではないのにとがめられないといけないのか。
心が病んでいたから素直に聞けなかっただけかもしれない。
もっと心を開いて話し合うべきだったのかもしれない。
だけど、ぼくが小さい頃から抱いている親への不信はここで爆発してしまうことになったのだ。
決意のとき
――それならば……
彼らがぼくらにとって必要な家族であるのだと考え直させるくらい、みんなでしあわせになろう!
胸を張って言えるようにしよう。
ぼくの選択は間違いではなかったと!
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かくして、ぼくは俄然やる気になった。
ぼくの子になってよかったと彼らが思ってくれるようにたっぷりの愛情を注いでいこうと決意したのだった。
今のねこさんの様子は?
――ねこさん、増えました・つづく――
作:紫藤 咲
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▶ 紫藤 咲:猫の記事 ご紹介
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――次話――
2匹をうちの子にすると決めたぼく。
しかし大問題が残っていた。先住(犬+猫)たちとの相性はどうなのか?
折り合いが悪いと、みんなでしあわせワッチョイ生活にはならない。
ぼくは慎重に、ニャンズと先住たちの接触を試みていった。
――前話――
ねこさんを引き取るかどうか――、神様に委ねたぼく。
なぜならその頃のぼくには、神様のご褒美みたいな奇跡が幾つも起きていた。
ぼくは一つの願掛けをした。
願いが叶えば、ねこさんは二匹とも引き取ろう。
そう思った。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――本作の第1話目です――
運命ってあるのだろうか?
だとしたら、今回がきっとそうだろう。
きっかけは、1枚の画像――、子猫が写っていた。
『もらう?』友人のハットリ君が訊いてきた。
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犬派の僕が猫と暮らす理由
運命の日――
ぼくは猫を拾った。
犬派だった著者が、猫を拾ってからの悪戦苦闘を描くエッセイ。
猫のいない日常に、飼ったこともない猫が入り込んでくる話。
「ぼくらの物語はこの日から始まった」
猫を拾ったら読む話
『猫を拾った』をテーマにした、エッセイのセレクションです。
猫を飼うノウハウ、ハウツーをまとめた記事はネット上に沢山あるのですが、飼育経験の全くなかった方にとっては、そのような記事を読めば読むほど、「大丈夫かな?」と不安になるはずです。
猫未体験、猫初心者の方に是非読んでいただきたいです。
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紫藤咲の執筆作品