犬派の僕が猫の多頭飼いを始めた理由

ブログタイプのエッセイ作品で、面白いことが起きた時だけの不定期更新となります。
どうぞお楽しみください。
猫の多頭飼いをしてみたい|多頭飼いは初めてだけれど、大丈夫だろうか?|経験者の体験談を読んでみたい
先住たちとの相性は?
うちの子にすると決めたのはいいけれど、最大の問題はノミでも回虫でもない。
先住たちとの相性だ。
健康体で問題なくスクスク育ったとしても、先住たちが受け入れてくれないことには、みんなでしあわせワッチョイ生活にはならないからだ。
相性が悪くていつもケンカが絶えないとなっては、ぼくの気持ちも落ち着かない。
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特にオス猫の場合はむずかしいとも聞いている。
相手がメス猫なら比較的受け入れやすいらしいとも。
うちのねこさんことライはひなさん以外に対して非常にきびしい性格をしている。
友好的とは言い難い。
小さい頃に実家に連れて行ったこともあるが、そこで対面したコーギーさんやダックスさんにはフーフー、シャーシャー言っていたからだ。
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ならば先住たちとどうやって仲良くなってもらうか。
ここがポイントになるような気がした。
そこで猫スキー仲間に相談してみた。
すると以下のようなアドバイスをもらった。
・はじめのうちは先住さんたちと棲み分けをしたほうがいい。(部屋を変える)
・ちびーずたちに先住さんたちの匂いを覚えさせる。
・ちびーずたちに先住さんたちの匂いをつける。
・ご対面はケージ越しから始める。
・急がない。
・長い時間がかかることを覚悟する。
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これを踏まえた上で、ちびーず二回目のノミ駆除スプレー塗布のときに先生にも相談。
すると、先生はこう言った。
「めげないことだよ。仲良くなれないとひと月くらいで諦めちゃう場合が多いけど、とにかく根気よくねばること。それと犬に育てられた猫の場合は大らかな正確になりやすいから、受け入れも簡単な場合が多いよ。猫が先にいて犬が後からってパターンは厳しい場合が多いけどね」
だそうだ。
一つずつ試していくぞ
ライはひなさんに育てられた。
猫風邪をこじらせたときもひなさんがいたからこそ、彼は必死で肺炎と戦ってくれた。
大好きなおばあちゃんにおおらかさを教わってきたのかどうかはまったくわからない。
普段はたいへんツンツンで、ぼくに対しても超厳しいのだ。
しかし優しい子ではある。
ぼくが疲れてぐったりしていると寄りそって寝てくれる。
癒そうとしてくれているのか、ゴロゴロ声を聞かせてくれる。
お腹の上に頭を預けても決して怒らない(ただしぼくが疲れ切っている状況限定)。
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――まあ、やるだけやりますか。
そんな気持ちで、まずはちびーずに先住さんの匂いを覚えてもらうことから実践する。
ライが普段ケージの敷物として使っていたひざ掛けをちびーずの箱の敷物にした。
ライが小さい頃に使っていたお気に入りのモフモフタオルはちびーずのベッドの敷物にした。
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ライの匂いがついた敷物をくんくんと嗅ぎまわるちびーず。
しばらく嗅ぎまわったあと、落ち着いて過ごしはじめる。
自分の匂いがついた子たちならライも拒否しないかもしれない。
普段リビングで生活している先住さんたちとの棲み分けも実践中である。
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興味を持ち始めたらしめしめだ。
先住さんたちのご機嫌を損ねないように、ぼく自身がちびーずたちと適度な距離を保ちながら過ごすこと3日目。
ご飯の匂いが気になって、ひなさんはちびーずの部屋の前で待機していることが多くなった。
ライも気になって部屋の前をうろうろすることが多くなった。
そこでちびーずのお世話の時間のときだけ、部屋の扉を開けてみることにした。
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気になって部屋の中までやってくる2匹。
ちびーずそれぞれをダンボールから出して、先住2匹にお尻の匂いを嗅がせてみる。
もちろん、まだノミが絶滅していないので部屋に放出はできないから、ぼくが抱っこして2匹の鼻先に近づける。
お尻の匂いをめっちゃ嗅ぎまくる先住さんたち。
噛みつかない。
嫌な顔もしない。
充分にお尻の匂いを嗅いで部屋を去る2匹。
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これを何度か繰り返すと、だ。
ぼくの後から部屋にやってくる2匹。
ひなさんはとにかくご飯が気になってしかたない様子。
耳も聞こえていないため、ちびーずの鳴き声には一切反応しない。
反対にライはダンボールから「みいみい」と鳴き声がしているのを必死に耳で追っていた。
そしてライ、ダンボールを見上げる。
ぼくは息を潜ませて、ライの動向を見守った。
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ライ、ダンボールにそっと前足をかける。
最長70cm近くになる大型猫のライ。
50cmはあるダンボールの壁から中を覗きこむ。
その光景はまるで某人気巨人アニメの冒頭シーンのようだった。
ダンボールを凝視すること数秒。
何事もなかったようにそっと立ち去るライ。
その後、彼は何度かダンボールの中を覗き見することを繰り返した。
興味は持った(らしい)。
――これならイケるかも!
もう一歩かも
ダンボールハウスから出してくれの訴えがひどく、脱出を試みようとすることもあり、ちびーずが来て1週間後、居室をひなさんのケージに移しかえることにした。
柵ごしならかみ殺される心配もない。
一緒の空間にいることで、互いの声や匂いを知って仲良くなれるかもしれない。
ちびーずをひなさんのケージに移したあと、ぼくは予想もしていなかったとんでもない事態と遭遇する。
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威嚇することなく近づく先住2匹。
ケージの真ん前に2匹が陣取る。
ライがケージ越しに2匹を凝視する。
鼻先をケージの中に突っ込む。
匂いを確認して、そっと2匹のケージに手を差し入れるライ。
――まじか!?
ライが友好的であることから、ちびーずを思い切ってケージの外へ出してみることにした。
ちびーずを保護して1週間後。
奇跡のような出来事がたしかにぼくを待ちうけていたのである。
それでは、ファーストコンタクトを解説しよう
今のねこさんの様子は?
――ねこさん、増えました・つづく――
作:紫藤 咲
▶ 作者の一言
▶ 紫藤 咲:猫の記事 ご紹介
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――次話――
ちびーずを迎えてから1週間
先住たちとの初対面で好感触を得たぼくは、ゼロ距離での接触を試みることにした。
どきどきしながら二匹をリビングに出してみる。
ライはどう出るのか!
――前話――
ぼくの部屋は両親の分譲マンション。つまり親が大家。
本来なら大家に二匹を飼う許可が必要だが、ぼくは話さなかった。
反対されると分かっていたから。
そんなある日だった。ぼくの不在中に、両親が部屋に入った。
――発覚!
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――本作の第1話目です――
運命ってあるのだろうか?
だとしたら、今回がきっとそうだろう。
きっかけは、1枚の画像――、子猫が写っていた。
『もらう?』友人のハットリ君が訊いてきた。
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犬派の僕が猫と暮らす理由
運命の日――
ぼくは猫を拾った。
犬派だった著者が、猫を拾ってからの悪戦苦闘を描くエッセイ。
猫のいない日常に、飼ったこともない猫が入り込んでくる話。
「ぼくらの物語はこの日から始まった」
猫を拾ったら読む話
『猫を拾った』をテーマにした、エッセイのセレクションです。
猫を飼うノウハウ、ハウツーをまとめた記事はネット上に沢山あるのですが、飼育経験の全くなかった方にとっては、そのような記事を読めば読むほど、「大丈夫かな?」と不安になるはずです。
猫未体験、猫初心者の方に是非読んでいただきたいです。
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紫藤咲の執筆作品