犬派の僕が猫と暮らす理由
撮影&文:紫藤 咲
ねこさんが元気になったその日の夕方、二回目の抗生剤を打ちに出掛けた。
会社から帰ってきたときも、ねこさんはとても元気で、カプセルの中でじっとしていることがなかった。
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獣医さんはいつものごとく大変混みあっており、診察まで二時間あまり待つことになった。
ぼくが通っている獣医さんは口コミで噂が広がった名医さんで、二時間待ちは当たり前。一時間待って受診できるならばラッキーであり、早いほうで、日の出が早く、寒くない夏の日などは朝の五時前から診察の順番どりが始まっている。
診察開始の九時に行こうものなら、十五番目くらいになってしまうのだ。
一匹につき二十分近くの診察時間だとすると、十五番目では昼近くにしか診てもらえなくなる。それでも、この先生に診てもらいたいと、隣の市町村から噂を聞きつけた人まで来るのである。
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